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作品 《〈ロザリオの聖母〉のための二つの習作》

素描・版画部門 : 17世紀

Deux études pour la 'Madone du Rosaire'

素描・版画
17世紀

執筆:
Grollemund Hélène

アロンソ・カーノは、スペイン美術界に独特な位置を占めている。彫刻家であり画家でもあったカーノは、ルネサンスのユマニスト(人文主義)芸術家の多面的な伝統の継承者であった。カーノは、毎日素描を描き、この二つの習作に見られるように、カーノ自身ペンのみによる素描を好んだとしても、彼はその時代に用いられていたあらゆる素描の技法を駆使した。カーノの作品の中で特異なこの素描は、カーノの最後の素描だと考えられている。

晩年の素描

大きい方の素描は、完成作の絵画とは相当異なるとはいえ、マラガ大聖堂(ロザリオ礼拝堂)の上部の《天使に囲まれた聖母子》のグループの準備習作に当たる。マラガ大聖堂の絵画は、カーノがグラナダに最終的に帰還する前に、マラガに滞在した1665年から1666年にかけて行われた。全てカーノの手になるこの大きな絵画は、マラガの新しい司祭ドン・アロンソ・デ・サント・トマスの注文による。カーノが歿する1年前に描かれたこの絵画は、最も重要な作品である。構想の異なる上部の(小さい方の)素描は、同じく幾何学的に描かれた楕円形の聖母の顔と幼子イエスの描き方に、下部の(大きい方の)素描と共通点があり、同時に描かれたものと思われる。背景に幕のある上部の(小さい方の)素描は、より古典的であり、《ロザリオの聖母》のグループのための最初の構想を示していると考えられる。しかしながら、上部の(小さい方の)素描の巧みで正確な線描は、地方の蒐集家から同時期に注文された別の絵画も思わせる。

簡潔な線描

ここでカーノは、絵画化することを目指して2つの素描をそれぞれ枠で囲んだ。カーノは、最初の線描の段階から、カーノの絵画や彫刻、さらには偉大なマドリード時代以降制作された素描と同様の優美さ、容易さ、バランス感覚をもって、この作品の全体の動きを生み出している。これらの素描が絵画化されたものは、その当初の構想をとどめており、各々の細部、各々の人物は、元通りの位置に配置されている。この晩年においてカーノは、すでに重要な傑作《聖クララとトゥールーズの聖ルイ》(ルーヴル美術館、RF43241)に見られる、常に研ぎ澄まされていく簡潔さをもって、素描をそれ自体独立した筆法へと変えたのである。カーノは、この最後の素描に至るまで、多彩な技法を駆使しつつ、厳密な構図上のバランスを保つことにこだわり続けた。ここでカーノは、《洗礼者聖ヨハネ》(ルーヴル美術館、RF43243)に見られる、きわめて繊細で目の詰まったハッチングを再びほどこしている。

ヴェネチアとティツィアーノ

カーノは、淡彩なしのペンだけの素描全てにおいて、ヴェネチア派の素描の精神に近い。おそらくカーノは、アルカサールのフェリペ4世のコレクションの中で、ルネサンスのヴェネチア派の素描を目にしたと思われる。素描上部の聖母は、カーノがオリジナルを見たか、それとも工房作の複製あるいは後年の作に基づく版画を通して知った、ティツィアーノ作とされる《聖母子と洗礼者聖ヨハネと聖アグネス》(ディジョン美術館)を思い起こさせる。カーノは、様々な作品の手本のレパートリーとして、きわめて頻繁に他の芸術家の版画や素描を用いた。こうして、おそらくシモーネ・カンタリーニの2枚の版画がルーヴル美術館所蔵のカーノの素描の手本になったと思われる。多様な手本に想を得、それを再解釈することによって、新たに創造するこうしたやり方は、聖母の顔の落ち着きのある内面的な表情とともに、カーノの晩年の制作において達成されたレベルの高さを反映している。

出典

- BOUBLI Lizzie, Inventaire général des dessins : Ecole espagnole XVIe-XVIIIe siècle, RMN, 2002, pp. 60-65

作品データ

  • アロンソ・カーノ(グラナダ、1601年-同地、1667年)

    《〈ロザリオの聖母〉のための二つの習作》

    1665-1666年頃

  • ベージュの厚紙にペンと褐色インク。ペンによる二つの構図の縁取り

    縦0.147 m、横0.075 m

  • アドルフ・ステン・コレクション、1992年に取得

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

後世になって、左下に、ペンと褐色インクで書き込み:Cano f.