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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《「悪徳」に打ち勝つ「節制」》

La Tempérance triomphant du Vice

素描・版画
16世紀

執筆:
Mancini Federica

ルーヴルの素描は、おそらくヴェロネーゼの円熟期のものと考えられる。これは7枚の女性寓意像の連作の一枚である。そのうち残されている5枚の素描は、主題、作風、明暗法ともに似通っている。ルーヴルの《「節制」》像はその中で最初に描かれたものと思われるが、それはこの作品が、立体感および形態を柔らかく表現していながら、それらが他の素描に比べ力強く感動的であるからである。

「悪徳」と「美徳」

場面の中心では、地面に横たわった男を女が足で踏みつけ、左の方を向いている。手に持っているのは振り子時計であるが、敷物代わりの男を気にするそぶりもなく、それをきわめて注意深く扱っているようである。そばには、煙を発している二つの壺が描かれている。左の壺からは炎が立ち上っているが、右のもう一方は、一人のプット(小児像)が蓋をしようとしている。画面左端にはもう一人のプットが描かれ、構図に均衡を与えている。後景の装飾として、左上には木の枝が、右には短縮法で描かれた記念碑があり、これらが背景の大きく開けた空間へと視線を導く。見る者の注意が集中するのは中央の擬人像の周囲であり、擬人像は白のハイライトおよびインクの淡彩による、ひだのある衣裳の表現によってとりわけ際立たせられているが、この技法は作者が生涯にわたり好んで用いた技法である。

'「限りなく美しき女性…」

素描の裏面には長い説明文が書き込まれており、16-17世紀に遡るその綴りはほとんど読み取れないが、女を「美徳」、横たわった「青白い顔の」男を「悪徳」と記している。「節制」の象徴である振り子時計の存在、そして但し書きが断片的であることから、おそらく寓意画連作の一部をなすこの素描の図像表現は、さまざまな解釈が可能である。「美徳」の擬人像は、ヴェロネーゼが1580年代初めに用いていた他の人物像の形、例えば《「愛徳」像》(ヴェネチア、マルチアーナ図書館)、あるいは《エリエゼルとリベカ》(ブロックレズビー・パーク、ヤーボロー伯蔵)のそれにきわめて近く、そのことにより、この作品がヴェロネーゼの晩年の作であると推論することができる。

一生を通じて取り組んだキアロスクーロ

ヴェロネーゼは60歳でこの世を去るが、その生涯の最期に至るまで制作意欲は衰えなかった。芸術に対するその尽きることのない情熱から、ヴェロネーゼは厖大な数の素描を残しており、それらの作品に見られるキアロスクーロ(明暗法)は、とどまることのないその作法の変遷を示している。ルーヴルの素描はその晩年のものであり、筆致は柔らかいが、まだ凝った技巧は見られず、そのことによって、この素描が、複雑な寓意画連作のうち最初のものの一つであると考えることができるのだ。

出典

- BACOU Roseline, Dessins du Louvre, Ecole Italienne, Paris, 1968, notice 64.

- REARICK William R., Maestri Veneti del Cinquecento, Biblioteca di Disegni, Vol. VI, Istituto Alinari, Florence, pp. 45, 46, n 23.

- REARICK William R., Paolo Veronese, disegni e dipinti, cat.exp. Venise, Fondation Giorgio Cini, 1988, p.70, n 29.

- REARICK William R., Il Disegno Veneziano del Cinquecento, Milan, 2001, p.168.

作品データ

  • パオロ・カリアーリ、通称ヴェロネーゼ(ローマ、1528年-ヴェネチア、1588年)

    《「悪徳」に打ち勝つ「節制」》

    1581年-1582年?

  • 筆、灰色の淡彩、白のハイライトの上に褐色インク、灰色の淡彩で下塗りした紙

    縦0.362 m、横0.274 m

  • W. A. レステヴェノン・コレクション、ラゴワ子爵蔵、エメ・シャルル、通称オラース・イス・ド・ラ・サル蔵、1878年寄贈

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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