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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《「悪徳」の寓意画》

Allégorie des Vices, un jeune homme entrant dans le Jardin des Plaisirs

素描・版画
16世紀

執筆:
Bartolucci Sara

フェデリーコ・ツッカロは、《「悪徳」の寓意画》を、バッカス祭の最中に行われている儀式としてイメージしている。死神の太鼓に合わせ、ぶどう酒の神バッカスに導かれて、その忠実な相棒であるシレノスやバッカスの巫女たちが踊っている。この素描は、その対作品《「美徳」の寓意画》と同様、ローマにあるツッカロのアトリエで1577年から1578年にかけて描かれたフレスコ装飾画のための原型となったものである。

「悪徳」たちの舞踏

素描の前景は、死の舞踏のリズムで太鼓をたたく死神の回りで踊る、「悪徳」の擬人像の群れで埋め尽くされている。その集団を構成するのは、左から右に向かって、ロバに乗った「怠惰」の擬人化であるシレノス、「卑劣」の象徴であるヴェールをまとった女、「色欲」の権化であるバッカス、さいころを投げている「娯楽」、そしてその後ろに、剣を手にした「裏切り」を表わす半獣神がいる。背景では、「意志」が「慢心」(クジャクを手にした若者)に対して、左にある「淫蕩」と、右にある「色欲」との間でどちらを取るかを迫っている。「現世の悦楽」の園の中では、「虚しき喜び」と「偽りの楽しみ」から、未熟な「若さ」が「狂気」と「虚栄」とを導いている。もう一方の側では、すべてが「慢心」の周囲で賑わっている。ツッカロはこの場面をきわめて啓蒙的な仕方で表現すること、すなわち、それぞれの「悪徳」のそばに、その人物像の名をあらかじめ示しておくことを選んだ。チェザーレ・リーパが1593年に『イコノロジア』を著す頃には、寓意の象徴言語はきわめて広く知られていたため、擬人像を見分けるためにわざわざその名を書き示しておく必要はもはやなくなるのである。というのは、誰でも、擬人像をその持物(じもつ)によって見分けることが可能となるからである。

中世的イメージの転換

この場面が描いているのは、死の舞踏、および「死」との出会いのテーマであり、これらは中世末に非常に広まっていたと同時に、ドイツでよく描かれた主題である。見る者の眼にまず最初に飛び込んでくるそのイメージとは裏腹に、この素描がその死の舞踏の趣味への強い関心の表われではないかとする仮説は、すでに16世紀も中頃を過ぎたこの時期においては、いささか説得力に欠ける。むしろ、作者は中世から借りてきた図像表現の定型を用いて、その当初の意味を根本から変えてしまったのだと考えるのがより妥当であろう。ツッカロは、単に「死」の勝利のモチーフを描くだけではなく、それが「悪徳」を選び取る者らの運命となり得ることを強調しようとした、と見るのはおそらく正しいのである。

ユマニスト精神

《「悪徳」の寓意画》は、「自由学芸」の園にある若者を描いたもう一つの素描、《「美徳」の寓意画》(ニューヨーク、ピアポント・モーガン図書館、ヤーノシュ・ショルツ・コレクション)と対をなしている。これらの主題は、ツッカロが1577年から1578年にかけて自宅を装飾するため、おそらくはアトリエで描いたものである。「悪徳」と「勉学」とを相反するものとして対比させることにより、ツッカロは、きわめて純粋なユマニスト精神に則った、教訓の図像表現の範型を作り出したのだ。二つの素描の中で描かれている諸々のテーマは、フェデリーコが後の1581年に制作した有名なカルトン(下絵)《ポルタ・ウィルトゥーティス(美徳の門)》の図像表現と結びつけて考えられた。また《「悪徳」の寓意画》は、諷刺的な側面をも有している。というのは、この作品は作者にとって、自分に対するボローニャ派の批判への反撃の機会となったのであり、批評家らはそこで滑稽な悪徳へと扮装させられている。同時に、ツッカロはもっぱら当時のローマで噂の的となっていたのである。

出典

- ACIDINI LUCHINAT Cristina, Taddeo e Federico Zuccari fratelli pittori nel Cinquecento, vol. II, Florence, 1999, pp. 140-141, fig. 38.

- GERE John A., Dessins de Taddeo et Federico Zuccari, XLIIe exposition du cabinet des dessins, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1969, p. 63, notice 81, pl. XIX.

- MICHEL Régis, Les mots dans le dessin, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1986, pp. 37-38, notice 35.

- VIATTE Françoise, Le Seizième Siècle européen. Dessins du Louvre, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1965, p. 105, notice 255, pl. LXIX.

作品データ

  • Federico ZUCCARO (Sant'Angelo in Vado, 1540/1541 - Ancône, 1609)

    《「悪徳」の寓意画》

    1574年と1578年の間

  • ペンおよび褐色インク、褐色の淡彩、白のハイライト、サンギーヌによる粗描

    縦23.5 cm、横36.2 cm

  • シュヴァリエ・ド・ダムリー・コレクション、フランス大革命時にルーヴルに収蔵

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

中央の柱廊入口のペディメント(破風)にペンによる銘記 :GIARDINO DELLE DELIZIE MONDANE (現世の悦楽の園)。それぞれの「悪徳」の名は黒チョークあるいはペンにより記入