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作品 《「豊饒」の擬人像(泉の彫像の下絵)》

素描・版画部門 : 16世紀

Allégorie de l'Abondance (projet de fontaine)

素描・版画
16世紀

執筆:
Chabod Christine

このヘンドリック・ホルツィウスの素描に見られる奔放な空想力および装飾の巧みさは、イタリア、中欧、および北方諸国におけるマニエリスムの多様な発現形態に共通した特徴をなしていると考えられる。その筆致の闊達さ、洗練された色調表現により、この素描は、国際マニエリスムの動きの中で代表的な存在であったこの作者の作品の中でも、さらに稀有なものとなっている。

「豊饒」の擬人像、それとも川のニンフか

ふくよかな体形の女が、2頭のイルカに付き従われた亀の上に立っている。花と果物で一杯になった角を抱えているところから、この女は「豊饒」を表わしているものと思われる。しかし、水に関連する要素がきわめて多く描かれていることから、この説明は再検討されざるを得ない。というのも、王冠型の髪飾りと、左手で押さえている乳房からは、水が細い線となって迸っているからである。両脚に張り付いた透明なヴェールが、足元まで段々に垂れている。一方、画面左に見られる、同じ像を横から描いた粗描は、すらっと伸びた身体の輪郭と、腰の片方に体重をかけ傾きを強調した姿勢とを、はっきりと描き出している。

未完の計画の一部か、あるいは独立した作品か

論者によっては、この素描はモニュメントとしての彫刻作品、すなわち、明らかに泉の彫像のための準備習作であるとされているが、それがどの作品を指すのかは未だに分かっていない。ウェンデル・ディッターリーン(1550-1599年)やハンス・フレデマン・デ・フリース(1526-1609年)のような芸術家らの版画作品に見られる、泉制作のための多数の下絵は、16世紀末のマニエリスムの画家たちの間で、このモチーフが大変好まれたことを物語っている。こうした構想は、現実の制作へと移行する意図はまったくなくして、きわめて自由かつ突飛な様式を編み出すきっかけとなるだけのこともしばしばであった。その流行ぶりはと言えば、17世紀中頃になって、ミシェル・ド・マロールのような蒐集家により、庭園と泉の景観を描いた412枚の版画を集めた画帖(『庭園と泉』)が作られるほどであった。

繊細な芸術

1598年の作とされ、台座部分にモノグラムにより署名されたこの素描の作風は、ヘンドリック・ホルツィウスの素描作品において最も明らかな特徴の一つをはっきりと示している。色付けされたハイライト、人物像の長く引き伸ばされた身体比例、片足に体重をかけたコントラポスト・ポーズ、空想力豊かな寓意表現、そして装飾的要素を主調とした構図、これらはすべて、同時代のマニエリスムに共通した特徴である。その才知溢れる描法、およびその色調表現の類まれな繊細さは、ホルツィウスの芸術の高い洗練度を物語っていると同時に、マニエリスム理論家であるカレル・ファン・マンデル(1548-1606年)を通してホルツィウスが知った、フランドルの画家バルトロメウス・スプランヘル(1546-1611年)の影響をも示している。ファン・マンデルはホルツィウスの創作を世に大いに広め、二人は共にハールレムのアカデミー創設に協力することとなる。

出典

- BACOU Roseline, Dessins du Louvre : écoles allemande, flamande, hollandaise, Paris, Flammarion, 1968, notice 73.

- BONNEFOIT Régine, Largesse, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1994, Éditions de la Réunion des musées nationaux, coll. "Parti pris", 1994, notice 26.

- DUCLAUX Lise, Le XVIe siècle européen, dessins du Louvre, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1965, Éditions de la Réunion des musées nationaux, notice 181.

- LEEFLANG Huigen, Hendrick Goltzius (1558-1617). Drawings, Prints and Paintings, cat. exp. Amsterdam, Rijksmuseum, New York, The Metropolitan Museum of Art, Toledo (Ohio), The Toledo Museum of Art, 2003-2004, n 88.

- MONNIER Geneviève, Rembrandt et son temps : dessins des collections publiques et privées conservées en France, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1970, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1970, notice 4.

- REZNICEK Emil Karel Josef, Die Zeichnungen von Hendrick Goltzius mit einem beschreibenden Katalog, Utrecht, Haentjens Dekker & Gumbert, 1961, pp. 114-117, n 158, pp. 300-301.

作品データ

  • ヘンドリック・ホルツィウス(ミュールブラハト、1558年-ハールレム、1617年)

    《「豊饒」の擬人像(泉の彫像の下絵)》

    1598年

  • ペンおよび褐色インク、褐色の淡彩、水彩および白のハイライト

    縦32.7 cm、横19.5 cm

  • J.トンネマン・コレクション、1754年10月21日よりアムステルダムにて競売、フォッケにより落札(画帖N、45番)、サン=モリス・コレクション、1793年に亡命貴族の財産として接収の後、1796-1797年に中央美術館に収蔵

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

台座部分に、ペンと褐色インクで署名および年記 :A H.G. 98