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作品 《アルノ川を眺望するイタリアの風景》

素描・版画部門 : 17世紀

Paysage italien avec vue sur l'Arno

素描・版画
17世紀

執筆:
Boyer Sarah

「水浴する人」に関する最初の構想を表わしたこの素描は、イスラエル・アンリエが1630年から1635年頃にかけて編集した、一連の『イタリアの風景』を構成する10枚の版画の中4枚目に当たり、ほとんど特徴のない風景の習作となっている。それは、カロが1612年から1622年まで住んでいたフィレンツェの眺めである。デヴォンシャー公爵のコレクション(チャッツワース)に属していた別の素描、および水浴する人々を個々に描いた習作とが、このカロのフィレンツェ滞在の最後に制作されたエッチング作品の基礎となっている。

フィレンツェの眺め

左右逆に版画におこされ、その際細部がいくつか異なっている、このフィレンツェのアルノ川のグラッツィエ橋上流の眺めでは、前景の左側に1870年に破壊されたサン・ニッコロの水車小屋が描かれているのに対し、小船の周りでは人々が水浴している。素描の背景には、ヴェッキオ橋も描かれているが、最終的にエッチングでは消し去られることになる。こうした場の特定ができたのは、カロの素描ではなく、同じ主題を扱ったフェデリーコ・ツッカロの版画のおかげであった。この二つの作品を比較することによって、風景画家としてのカロの特徴を明らかにすることができる。すなわち、ローマの画家ツッカロとは逆に、カロは場の景色を写実的に表現しようとせず、簡単に描いた装飾のように風景を扱ったのである。

ロランに近い風景画家

独立したジャンルとしての風景画芸術は、17世紀初頭にとりわけ国際色豊かなローマで、前例のない豊かさで開花した。プッサン、ロラン、デュゲ、フォキュス、あるいはここでのカロといった例が、こうした風景画の隆盛を物語っている。また、カロのフィレンツェ滞在中に親交があったと思われるフィリッポ・ナポレターノとのつながりが、南欧の光の効果に対するカロの関心と感受性を高めたものと思われる。こうしてカロは、この素描において、風景の本質的な要素を幅広い淡彩のタッチで表し、余白との明確な対比を生み出している。こうした光と空間に対するカロの詩的な感覚はロランに近い。

念入りに準備された版画

この全体構図の習作は、エッチングに対応しているが、黒チョークと濃褐色の淡彩で描かれた別の全体構図の習作(以前チャッツワースのデヴォンシャー公爵のコレクションに所蔵)にも対応しており、そこに水浴する人についての個々の習作も加わる。こうした個々の習作にせよ全体構図の習作にせよ、きわめて小さい人物は、力強く生き生きとした線描で、軽快に素早く描かれている。人物の姿が正確に描かれていることから、現実の風景を直接観察した様がうかがえるのに対し、カロの巧みなペンや素早い筆遣いは、ここにとりわけ明らかなあまたの生活の息吹を生き生きと伝えている。

出典

- BROTHERS ANN, Worlds in miniature : the etchings of Jacques Callot and Wenceslaus Hollar, cat. exp. Melbourne, National Gallery of Victoria, Robert Raynor Gallery, 20 mars-15 juin 1998.

- TERNOIS Daniel, L'Art de Jacques Callot, Paris, F. de Nobele, 1962, p. 322, n 21a, d.

- TERNOIS Daniel, Jacques Callot : 1592-1635, cat. exp. Nancy, Musée historique lorrain, 13 juin-14 septembre 1992, pp. 299-302, n 386.

- TERNOIS Daniel, Jacques Callot (1592-1635) : actes du colloque organisé par le Service culturel du musée du Louvre et la ville de Nancy à Paris et à Nancy les 25, 26 et 27 juin 1992, Paris, Klincksieck, 1993.

- TERNOIS Daniel, Jacques Callot : catalogue de son oeuvre dessiné, supplément (1962-1998), Paris, F. de Nobele , 1999.

作品データ

  • ジャック・カロ(ナンシー、1592-1635年)

    《アルノ川を眺望するイタリアの風景》

    1616-1620年

  • 黒チョークにペン、褐色と黒色のインク、褐色と灰色の淡彩

    縦18.4 cm、横32.3 cm

  • サン=モリス・コレクション、1793年に亡命貴族の財産として接収の後、1796-1797年に中央美術館に収蔵

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

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