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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《アルプスの風景》

Paysage alpestre

Musée du Louvre, dist. RMN-Grand Palais - Photo M. Beck-Coppola

素描・版画
16世紀

執筆:
Gardon Michèle

この素描は、大蒐集家であり商人であったマリエットが所有していたものである。クロザ・コレクションの目録を作成している最中にこの素描を見つけたマリエットは、この作につき次のように記している。「私はクロザ氏宅で、イタリアで描かれたものと思われる大ブリューゲルの2枚の素描を見た。それはアルプスの山々の景色で、1553年との記入があり、細部はというと、これが実に見事に、美しく描かれている。」

宇宙を思わせる景観

この雄大かつ壮観なアルプスの景色は、ピーテル・ブリューゲル(父)により描かれたものである。そこでは、この作者の風景画すべてにおいてそうであるように、自然が称揚され、一義的な役割を占めている。山は、画家の眼差しにより、崇高なものとして捉えられている。幾人かの極小の人物像があちこちに撒き散らされているのは、山の峰々を、より圧倒的で、より威厳に満ちたものとするためのようである。このパノラマ的景色の中では、山が力強く描かれ、その細部は隅々に至るまで表現されているのに対し、人物像や建物はというと、そのサイズはきわめて縮小されている。この素描は実際の眺望を直接写生したものではないようである。これは、作者が旅行中に観察し、描き留めておいたものを基に後に描かれたのだ。

霊感あふれる風景画家

新しい主題を常に追求し、インスピレーション豊かな風景画家であったピーテル・ブリューゲルは、1552年、最初のイタリア旅行を行う。ブリューゲルは往路も復路もアルプスを越え、フランスを通るが、1553年には、チロル地方およびスイスを経由して故郷に戻る。素描に記された制作年、そして何よりもその作風から、これがイタリアで描かれた最初の風景画群の一枚であると見ることができる。画家ヨアヒム・パティニールから受け継いだパノラマ的眺望に、ブリューゲルはイタリアの風景画家、例えばティツィアーノ、カンパニョーラ、あるいはムツィアーノらに影響された空間構成を融合させている。ブリューゲルは山に対して深い感動を覚え、その眺望の壮大さのみならず、眼に止まった細部の様子をも同時に表現しようとする意志をもって、それを観察したのである。

版画のための手本

ヒエロニュムス・コックがおそらくブリューゲルに、版画の題材として、新しい風景画の手本をイタリアで探すよう求めたのであろう。というのも、ヒエロニュムス・コックは、ブリューゲルが描いた多くのアルプス風景を版画に彫ったり出版したりしており、それがブリューゲルの作風を一般に広める結果ともなったのである。しかしながら、《アルプスの大風景》の名で知られる版画の中で、残存する1553年作の素描作品群をもとにして刷られたものはまったくない。これらの素描は、どちらかと言えばそれらの版画のための手本を先取りして描いたものであろう。こうした版画は2枚しか残存しておらず、そのうち1枚は1555年作とされ、ルーヴル美術館に所蔵されている。

出典

- DUCLAUX Lise, Le Cabinet d'un grand amateur, Pierre-Jean Mariette, cat. exp., Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1967, n 156.

- LIESS Reinhard, "Die kleinen Landschaften Pieter Bruegels d. A. im Lichte seines Gesamtwerks (Teil 2)", in Kunsthistorisches Jahrbuch Graz, 1981, pp. 35-150, fig. 102.

- MALKE Lutz, Pieter Bruegel d. A. als Zeichner : Herkunft und Nachfolge, cat. exp. Berlin, Kupferstichkabinett, 1975, n 3, pl. 67.

- MIELKE Hans, Pieter Bruegel : die Zeichnungen, Turnhout, 1996, n 16.

- MÜNZ Ludwig, The Drawings of Bruegel, Londres, 1961, n 5, repr. pl. 5.

- OBERHUBER Konrad, "Bruegel's Early Landscape Drawings", in Master Drawings, n 2, 1981, pp. 146-156, repr. pl. 25.

- ORENSTEIN Nadine M., SELINK Manfred, MÜLLER Jürgen (sous la dir. de), Pieter Bruegel the Elde : Drawings and Prints, cat. exp. Rotterdam, Museum Boijmans-Van Beuningen, Rotterdam, 24 mai-5 août 2001 ; New York, Metropolitan Museum of Art, 25 septembre-2 décembre 2001, n 12.

- TOLNAY Charles de, The Drawings of Pieter Bruegel the Elder, with a critical catalogue, Londres, 1952, p. 44 et p. 57, n 10, repr. pl. 6.

作品データ

  • ピーテル・ブリューゲル(父)(ブリューゲル ?、 1525年頃-ブリュッセル、1569年)

    《アルプスの風景》

    1553年頃

  • ペンおよび褐色インク

    縦23.6 cm、横34.3 cm

  • ピエール・クロザ・コレクション、1741年4月10日-5月13日にパリでその競売(904番ないしは908番)、ピエール=ジャン・マリエット・コレクション、保存の際の飾り枠付き表題:PETRUS BREUGHEL Senior(ピーテル・ブリューゲル父)、1775年11月15日にパリでその競売(840番の一部)、国王美術品蒐集室により購入

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

中央下にペンで「1553年」という年記、およびその下に「ブリューゲル」と書き込みあり