Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《アンリ2世の心臓記念碑》

《アンリ2世の心臓記念碑》

© Musée du Louvre / Pierre Philibert

彫刻
ルネサンスのフランス

執筆:
Montalbetti Valérie

手を合わせ、背中合わせになった3人の若い女性がゆったりとロンドを踊るように見える。この女性達はフランス王アンリ2世の心臓を入れた壷を支える。優雅さを体現するこの像は、ジャン・グージョンと16世紀の双璧を成す偉大な彫刻家ジェルマン・ピロンの手によるものである。この記念碑は故人の妃のカトリーヌ・ド・メディシスによって立てられた。

心臓記念碑

この記念碑は、王妃カトリーヌ・ド・メディシスが、1559年のトーナメントでの負傷の後に亡くなった夫であるフランス王アンリ2世の栄誉の為に、1561年に注文したものである。王妃の心臓も入れる予定になっていた。パリのケレスティヌス会修道院聖堂の中に設置された。ジェルマン・ピロンはこの美神群像を彫り上げ、イタリア人のドミニック・フロランタンが三角形の台を制作し、銅製の壷(革命期に溶解され、鍍金された木製の複製がそれに代わる)の原型を提出した。
13世紀以来のフランス王国の習慣に従い、王の心臓は任意に選ばれた教会の独立した墓に置かれ、体のほうはサン=ドニに安置された。王アンリ2世がピエール・ボンタンに注文した、オット=ブリュイエールの大聖堂(イヴリーヌ県、現在はサン=ドニ修道院)に設置された父親のフランソワ1世の心臓記念碑によって、16世紀にこの伝統が再興した。伝統とは反対に、ボンタンは故人の肖像は彫らずに、装飾豊かな壷を彫り上げ、その非宗教的浅浮彫りは王の華麗なる文芸擁護者としての栄光を歌い上げている。
《アンリ2世の記念碑》は異教徒のエスプリの「三美神」の沈黙のロンドを使いその大胆さは一層顕著になっている。

「三美神」

記念碑の構想はプリマティッチオによるものであろう。アンリ2世の治下にフォンテーヌブローの造営責任者となった彼は、王妃から王室霊廟の総監の役を任せられた。「三美神」群像は恐らく古代群像のヘカテ三面像に想を得ている。またこの群像は、フランソワ1世の為にラファエㇽロが描き、マルカントワーヌ・ライモンディが版画にした香炉を喚起する。「三美神」についてはたくさんの解釈が生まれた。古代ローマ人にとっては夫婦の忠愛を意味した。台に刻まれた銘文は夫婦の永遠の結合を記念するもので、この解釈を支持する。よって記念碑は王国を牛耳るカトリーヌ・ド・メディシスの政治的役割を承認する。ケレスティヌス会修道僧達はこの全く宗教性の無いこの像に衝撃を受けいち早く教義上の徳の寓意に定義してしまった。

優雅さの彫刻

ピロンは3人の女性を大理石一塊から彫りあげ、細い糸巻きのようなヴォリューム感を出している。テーマ、軽いチュニック、ジェスチャーの中庸な優雅さ、表情の静謐さ、顔の規則正しさは古代を模範にしている。とは言えエスプリは異なる。ピロンは体を巨大な炎のように構想している。マニエリスムの細く伸びたカノンを採用し、シルエットは伸び、小さい胸は高い位置にあり、首が長く、手足も細長い。この滑らかで引き締まった体に、膨らんだり、張り付いたりしている繊細な布が炎の波をほのめかす。アーティストは材料を深く刻み込み、光線を捕らえる布襞の山を切れるような鋭角に彫りながら、表面にリズムを与え軽いダンスの動きを刻む。腕の柔軟な演技はロンド(円舞)の感じを強調する。大理石制作の極度の繊細さがこの群像の美しさを完璧なものにしている。

出典

- BABELON Jean, Germain Pilon, Paris, 1927, pp. 16-19 et pp. 58-59.

- TERRASSE Charles, Germain Pilon, Paris, 1930, pp. 22-36.

- BEAULIEU Michèle, Description raisonnée des sculptures du musée du Louvre, tome 2, Renaissance française, Paris, 1978, pp. 126-128.

 - BASSETT Michele Beth, The Funerary patronage of Catherine de Medici : the tomb of Henri II, Heart monuments and the Valois chapel, thèse, Columbia University, 1999, pp. 23-33.

作品データ

  • ジェルマン・ピロン、ドメニコ・デル・バルビエーレ、通称ドミニク・フロランタン

    《アンリ2世の心臓記念碑》

    1561—1566年、1561年6月18日付契約による注文

    パリのケレスティヌス会聖堂内オルレアン礼拝堂に立てられたこの記念碑は、1561—1563年制作のドミニク・フロランタン作の台と、ジェルマン・ピロン作の「三美神」群像によって構成。群像頭上の木製鍍金の壷は、革命期に溶解された王の心臓を入れた銅製鍍金の壷に代わるもの。

  • 大理石

    M.R. 1591 A : 高さ1.50m、幅0.75m、奥行き0.75m M.R. 1591 B : 高さ1.05m、幅1.01m、奥行き1.01m

  • 革命期接収、1791—1792年オーギュスタン保管所蔵、1895—1816年フランス記念物博物館、1817年4月8日付省令によりルーヴル付与

    「三美神」と台

    M.R. 1591 A, M.R. 1591 B

  • 彫刻

    リシュリュー翼
    1階
    ピロン
    展示室15a

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する