Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《イカロスの墜落》

La chute d'Icare

RMN-Grand Palais - Photo M. Bellot

素描・版画
16世紀

執筆:
Mancini Federica

《イカロスの墜落》は、その枠飾り付けの仕方から、かつて、ジョルジョ・ヴァザーリがその主著『画家・彫刻家・建築家列伝』(1568年)のために作成したコレクションに属していたことがわかる。一冊の書物にまとめられた素描は『列伝』に添付され、そのうちもっとも見事なものには解説が付された。この《イカロスの墜落》もその一枚である。この素描は、中央美術館(大革命時のルーヴル)において、その開館当初から1845年以降に至るまで展示されていたが、後に紛失したとされ、最終的には1979年に「再発見」されたことになっている。

太陽への欲望

物語によれば、父ダイダロスに導かれたイカロスは、太陽の戦車に近づきすぎて、その蠟でできた翼が融け、墜落する。太陽の戦車の存在は、それを引く四頭の馬が短縮法で描かれていることから察することができる。中央には、身体の捩れたイカロスの姿がある。今にもばらばらになりそうなその翼と、蒼ざめた顔が恐怖にひきつるさまとがきわめて写実的に描かれている。左側では、ダイダロスが息子の方を振り返っているが、若い息子を助けることのできぬもどかしさと苦悩が相俟って表われていると同時に、親子が互いに交わす視線からは、最悪の事態が起こるであろうことを二人とも理解しているのが見て取れる。画面上部には、黄道十二宮の二つの星座、蟹と獅子とが天空に配されている。激しく渦巻く雲が、下から上に向かう遠近法を強調しているが、その遠近法の迫力は驚くべきものだ。素描の飾り付けにはマントルピース型の装飾枠が用いられ、その両端には横向きに描かれた二つの胸像柱が取り付けられている。下部の飾り枠の中には作者の名が記されている。素描上部は切り取られているが、その部分には元々ペディメント(破風)およびヴァザーリの肖像を配したメダイヨン(円形装飾)が描かれていたのである。

もう一つの《墜落》

ヴァザーリは、その『列伝』で、《イカロスの墜落》の装飾絵画が、マントヴァのパラッツォ・テの玄関天井にあるとしているが、この図像表現に合致するようなフレスコ画はまったく存在しない。唯一、これに近い主題が描かれているのは、石膏地に描かれた八角形の油彩画《ファエトンの墜落》がある「鷲の間」である。それについてはさまざまな推測がなされた。例えばこの素描をもとに、あるフレスコ画が描かれたものの、その絵は何らかの理由で取り壊されたのではないか、とか、その絵が《ファエトンの墜落》の挿話で置き換えられたのではないか、とかである。もう一つの可能性は、次のように考えることである。すなわち、ヴァザーリは重要な仕事をなした年代記作者であることに変わりはないが、時折、既知の資料や、明らかにされた事実との不一致を見せることがある、と。

写実的に描かれた悲劇

1536年前後の作とされるこの大型の素描は、原型を描くために通常用いられる機械的な作法とは一線を画している。というのは、この構図がきわめて高度な技巧によるものであるとともに、その完成度の高さが、薄く引かれたます目と、確かで緻密な筆致によってはっきりとわかるからだ。すなわち、これはそのまま転写できる状態の素描なのである。その生き生きとした挿話の語り方も、作品を仕上げる最後の段階に至って失われてはいない。なぜなら、ペンによる加筆修正が、ジューリオ・ロマーノのこのタイプの作品にはめずらしい、自然な効果を生み出しているからである。

出典

- BACOU Roseline, Autour de Raphaël, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1983-1984, n 76.

- BERZAGHI R., Giulio Romano, cat. exp. Mantoue, Palazzo del Te, 1989, notice p. 394 et 395.

- MONBEIG GOGUEL Catherine, "Giulio Romano et Giorgio Vasari : le dessin de La chute d'Icare retrouvé", in La Revue du Louvre et des Musées de France, n 4, 1979, p. 273-276.

作品データ

  • ジューリオ・ピッピ、通称ジューリオ・ロマーノ(ローマ、1492年と1499年の間-マントヴァ、1546年)

    《イカロスの墜落》

    1536年頃

  • 黒チョークによる下絵に、ペンおよび褐色インク、褐色の淡彩、白のハイライト(一部酸化)、ます目

    縦38.8 cm、横58.3 cm

  • ジョルジョ・ヴァザーリ・コレクション、エヴァーハルト・ヤーバッハ・コレクション、1671年に国王美術品蒐集室に収蔵

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する