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作品 《エラスムス》

絵画部門 : ドイツ絵画

《エラスムス》

© 2011 Musée du Louvre / Martine Beck-Coppola

絵画
ドイツ絵画

執筆:
Collange Adeline

ホルバインは著名なオランダ人人文主義者を、バーゼルに保存されている非常に似通ったもう一つの絵画との比較が指し示しているように、室内の書見台の上で聖マルコによる福音の論評に勤しむ姿で描いている。作品は非常に簡素で、モデルの関心を反映するために、その顔と手つきに注目が置かれている。横向きの描写は、古代のメダルに彫られたローマ皇帝の肖像を明らかに暗示している。

執筆中の人文主義者

この絵画は、ロッテルダムのエラスムス(ロッテルダム1469年-バーゼル1536年)を描いた最も有名な肖像画の一つである。ホルバインは、ルネッサンスの偉大な道徳主義者の一人でもあるこの高名なオランダの人文主義者を、室内に描いている。画面の背景は架空の動物や黄色や赤の花が描かれた緑色の壁掛けと板張り(おそらく扉の枠ぶち)で覆われている。ビレッタ(聖職者の黒い帽子)を被り、暖かい衣服に身を包んだ学者は、傾いた赤い装丁の本の上に置かれたおそらく羊皮紙と思われる紙の上の書き物に没頭している。
バーゼルの美術館は、背景が中間色で塗られたルーヴルの作品と異なるもう一つのエラスムスの肖像画を所蔵している。バーゼルの作品では、人文主義者は立ったまま聖マルコの福音の論評を書いているところである。この論評は1523年に編纂され、翌年に彼の友人のヨハン・フローベンによって出版された。おそらくフローベンの仲介を通して、エラスムスは若きホルバインにバーゼルで知り合ったものと考えられている。ルーヴルの作品の中で未だ解読することのできる幾つかの文字の縦線の比較から、この文章がバーゼルのものと同一であることが判明している。

私的かつ公式の肖像画

観衆の視線は、暗緑色の布地の上に浮かび上がった下げられた目線の横顔と、執筆に勤しむ手つきの繊細さに引き寄せられる。実際に、ルーヴル美術館に保存されている下絵が示しているように、ホルバインは両手の描写を入念に仕上げていることが分かる。構図はモデルの関心を反映するために控えめで、学者は文学的な作業に専心している。厳格な横顔という選択は、ホルバインには非常に珍しいのだが、古代のメダルに彫られたローマ皇帝の肖像を明らかに暗示している。こうして、この肖像画は親近感に満ちた描写の特徴にもかかわらず、非常に公的な様子を帯びている。ホルバインはこの偉大な文学者の真のイコンを我々にもたらしているのであり、軽く結ばれた学者の口元は、道徳的な気難しさを露にしている。自らのイメージに多大な関心を持っていたエラスムスはアルブレヒト・デューラーが刷り上げた譲歩のない肖像画に失望したが、この巧妙で穏やかな肖像画を湛えたに違いない。

人文主義者の友人への記念作品?

ホルバインによって描かれたエラスムスの肖像画は三点知られているが、それらが誰に宛てられたのかは未だ判明していない。バーゼルの作品は、制作された後、画家によって王の庇護を受けるためにフランソワ1世の宮廷に持ち込まれたが、失敗に終わっている。エラスムス自らはその他二点の作品をイギリスの知人に送っている。今日ロンドンのナショナル・ギャラリーに保存されている肖像画は、間違いなくエラスムスの知人かつ援助者であるウィリアム・ウォーラムへの贈り物であったと思われる。ルーヴルの作品に関しては、エラスムスはもう一人の人文主義者で彼の忠実な友人であったトマス・モアに送ったと考えられている(非常に興味のある解釈であるが、証明されていない)。『ユートピア』の有名な著者は、エラスムスの勧めもあってホルバインの庇護者となり、画家を英国宮廷へと導くようになる。

出典

- FOUCART WALTER Elisabeth, Les Peintures de Hans Holbein le Jeune au Louvre, catalogue d'exposition, musée du Louvre, 1985,  Éditions de la Réunion des musées nationaux, Les Dossiers du Département des peintures, musée du Louvre,  n 29, Paris, 1985, pp.9-26.

作品データ

  • ハンス・ホルバイン(子)(アウグスブルグ1497年-ロンドン1543年)

    《エラスムス》

    1523年頃

    アダム・ニュートン卿、英国王チャールズ1世、リアンクール公爵、アンリ・ロメニ・ド・ブリエンヌ伯(1662年)、エバーハルト・ヤーバッハ(1671年)、ルイ14世、フランス王室所蔵

  • 油彩 木(菩提樹)

    縦43cm、横33cm

  • INV. 1345

  • 絵画

    リシュリュー翼
    3階
    ゲルマン語圏諸国 16世紀 展示室I
    展示室8

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

収集家エバーハルト・ヤーバッハの紋章(中央部、蝋印)、チャールズ1世の蝋印と王冠(中央右上)