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《エンデュミオン-月の印象》

© 2010 Musée du Louvre / Angèle Dequier

絵画
フランス絵画

執筆:
De Vergnette François

理想美を象徴する羊飼いエンデュミオンの許を、光の筋に姿を変えた女神ディアナが訪れているところである。女神はゼフュロスの助けを借りて、木の茂みの間を通り抜けている。ダヴィッドの弟子であった若きジロデは、この絵を1791年にローマで描いたが、ダヴィッドの様式からは意図的に遠ざかり、ロマン派の訪れを告げている。理想的な裸体像は、古代美術に想を得ているものの、月の光や謎めいた非現実的な効果は、新たな感受性に示すものと言える。

眠る美少年

神話によれば最も美しい青年である羊飼いのエンデュミオンが、プラタナスの木の下で眠っている。ユノはエンデュミオンに侮辱を受けたために、この青年を30年にわたる深い眠りに就かせたが、その間彼は若さを保つことができた。愛を拒む貞節な女神ディアナは、青年の理想的な美の魅力に屈し、夜毎彼の許を訪れるようになる。月と一体化した女神は、ここでは光の筋として描かれており、エンデュミオンの顔と上半身を愛撫している。ゼフュロスが月桂樹の枝をかき分けてくれたおかげで、月の女神は葉の茂みの間を容易に通り抜けることができたのである。

シャトーブリアン、バルザック、ボードレールから称賛を得た裸体習作

若きジロデは、この絵をフランス・アカデミーの奨学生であった1791年にローマで制作した。アカデミーの決まりとして、奨学生はその上達ぶりを示すために、毎年人物習作(フランス語で「アカデミー」と言う)を、パリの王立絵画アカデミーの会員に提出しなければならなかった。《エンデュミオン》は、ジロデがある歴史画の人物を描くために用いた裸体習作であった。ジロデは、作品を1793年のサロンに出品したが、その評判はまちまちであった。後にこの作品は、その詩情に魅せられたシャトーブリアン、バルザック、ボードレールといった、偉大なロマン派の作家たちによって称賛されるという異例の評価を得ることになる。文学的な画家であったジロデは、1808年にシャトーブリアンの小説に想を得た作品《アタラの埋葬》(ルーヴル美術館)を制作している。

「何か新しいことをやってみたい」

ジロデ自身が書いているように、彼はこの作品の中で「何か新しいことをしてみたい欲望」を抱いていたようだ。ダヴィッドの弟子であったジロデは、師匠ではなくバロックやロココの画家たちを魅了したであろう、神々の恋愛の場面に関心を寄せていた。この場面には何ら英雄的なところも道徳的なところもない。エンデュミオンは、ギリシア神話や、次いでルキアノスが『神々の対話』の中で語ったラテン寓話に登場する人物であるが、ジロデは、羊飼いエンデュミオンがセレネから愛されるというギリシア神話ではなく、ルキアノスの著作に想を得ている。この絵では、エンデュミオンの裸体が、マニエリスム的と言ってよいほど引き伸ばされたプロポーションで描かれていて驚かされる。エンデュミオンのポーズは、コレッジオが描いた神話上の人物やバロック時代に描かれた殉教者たちの姿を彷彿とさせる。そこには官能性と冷ややかさが漂っている。この絵は、照明効果の点でも、ダヴィッドやその一派の作品とは一線を画している。画面の大部分を包み込む深い暗がりの中を、青みがかった不思議な色調の光が通り抜けている。アモルの体をなぞる光の輪郭が、ジロデが関心を抱いていた謎めいたものの探求を表わしている。照らし出されたエンデュミオンの上半身は、当時プリュードン以外にはほとんど評価されていなかったダ・ヴィンチやコレッジオを連想させる、靄のかかったような効果を生み出している。こうした不思議な印象から、この絵はロマン派の美術を告げていると言ってよいだろう。

出典

- MICHEL Régis, "L'art des Salons", in Aux armes et aux arts. Les arts et la Révolution 1789-1799, Adam Biro, Paris, 1985, p. 42-43.

- CROW Thomas, "Girodet et David pendant la Révolution : un dialogue artistique et politique", in David contre David, II, colloque, Paris, Musée du Louvre, 1989, pp. 843-866.

- CROW Thomas, L'Atelier de David. Émulation et Révolution, Gallimard, Paris, 1997 pp. 159-168.

作品データ

  • アンヌ・ルイ・ジロデ・ド・ルシー=トリオゾン(モンタルジ、1767年-パリ、1824年)

    《エンデュミオン-月の印象》

    1791年

  • 油彩、カンヴァス

    縦1.96 m、横2.61 m

  • 1818年取得

    別称《エンデュミオンの眠り》

    INV. 4935

  • 絵画

    ドゥノン翼
    2階
    ダリュ 新古典主義
    展示室75

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

木の幹の上にギリシア語で二つの言葉の銘記、うち一つのみ判読可能:AEP