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《オダリスク》

© 2005 Musée du Louvre / Angèle Dequier

絵画
フランス絵画

執筆:
De Vergnette François

アングルは、夢のオリエントの世界に、ルネサンスにまで遡る長い伝統を持つ、神話世界の裸婦のテーマを移し換えている。巨匠アングルの最も有名な裸体画を注文したのは、ナポレオン1世の妹で、ナポリ王妃のカロリーヌ・ミュラだった。アングルはここで、解剖的事実を無視し、引き伸ばされ、曲がりくねった描線で裸体を描いているが、布地の質感といった細部はきわめて緻密に描写されている。この作品は、1819年のサロンに出品された際、激しい非難を浴びた。

控えめな誘惑

長椅子に横たわった女性が、裸体をさらけ出し、観者の方を振り向いている。「ハーレムの女」を意味する作品の標題や、女性の周囲を取り巻くオリエント風の装身具が、官能的な東方世界をほのめかしている。一方で女性は背中と乳房の一部しか見せておらず、控えめでもある。西洋美術における主要なテーマである裸体は、ルネサンス以降とりわけ神話の世界に結びつけられていたのだが、アングルはここでそのテーマを地理上の別の場所へと移し換えている。オダリスクは、それ以前18世紀にブーシェを魅了した主題で、その後アングルの弟子テオドール・シャッセリオー(1819-1856年)によって再び取り上げられている。アングルの多数の作品は、その生涯に渡ってオリエンタリスム(東方趣味)と結びついており、その傾向は、とりわけ晩年に描かれた《トルコ風呂》(ルーヴル美術館)に顕著である。裸婦像は、歴史画や肖像画と共に、アングルが好んで描いたテーマである。

王妃のための裸体画

ナポレオンの妹でナポリ王妃であったカロリーヌ・ミュラ(1782-1839年)は、この作品を1813年に注文している。この作品は、1815年に破壊された、もう1点の裸体画《ナポリの眠る女》の対作品であったと思われる。《グランド・オダリスク》は、アングルがフランス・アカデミーの奨学生として1806年に訪れたローマで制作された。アングルは、パリで不評をこうむったため、イタリアに1824年まで滞在することになる。
実際、1806年のサロンに出品されたアングルの作品(《カロリーヌ・リヴィエール嬢》と《リヴィエール夫人》、ルーヴル美術館)と、ローマから送られた作品(《浴女》、通称《ヴァルパンソンの浴女》と、《スフィンクスの謎を解くオイディプス》、ルーヴル美術館)は、評価されなかった。さらに、1819年のサロンに展示された《グランド・オダリスク》は、アングルの様式に対する批評家の無理解を裏づけた。その際アングルが、師匠のジャック=ルイ・ダヴィッド(1748-1825年)とは異なり、解剖学的事実を無視したことに対して、とりわけ激しい非難が浴びせられたのである。

抽象化と客観性

実はこの作品の中で、アングルはデッサンに重点を置いている。アングルは、美と官能性を作り出すために、例えば女性の背中に見られるような、引き伸ばされ、曲がりくねった線を好んで用いた。光が一様に当てられた裸婦のヴォリューム感は、奥行きのない空間の中で抑えられている。アングルはこの点において、彼の好んだマニエリスム絵画や、おそらくペルシアの細密画から影響を受けたのだろう。こうした線描の抽象化とは対照的に、例えば布地の質感といった細部は、本物と見紛うほど写実的に描かれている。このように抽象性と写実性が逆説的に組み合わされた同様の例は、偉大な彫刻家アントニオ・カノーヴァの芸術(《アモルの接吻によって目覚めるプシュケ》、ルーヴル美術館)にも認められる。さらに《グランド・オダリスク》は、抑えられた繊細な色彩によっても、一線を画している。官能的なモティーフが、青い衣襞が生み出す冷ややかな調和の中で描かれている。金色に輝く布地が、このオダリスクを、夢想的で神秘的な人物にしている。

出典

- OCKMAN Carol, "A woman's pleasure : the Grande Odalisque", in Ingres's eroticized bodies. Retracing the serpentine line, New Haven and London, Yale university press, 1995, pp. 33-65.

- ROSENBLUM Robert, Ingres, Paris, Cercle d'art, 1968, pp. 104-107.

作品データ

  • ジャン=オーギュスト=ドミニック・アングル(モントーバン、1780年-パリ、1867年)

    《オダリスク》

    1814年

  • 油彩、カンヴァス

    縦0.91 m、横1.62 m

  • 1899年取得

    通称《グランド・オダリスク》

    R.F. 1158

  • 絵画

    ドゥノン翼
    2階
    ダリュ 新古典主義
    展示室75

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

右下に署名および年記:I. A. INGRES P. AT 1814 ROM.