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作品 《カラカラ帝(在位 211-217年)》

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術部門 : ローマ美術

《カラカラ帝(在位 211-217年)》

© 2011 Musée du Louvre / Thierry Ollivier

古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術
ローマ美術

執筆:
Lepetoukha Charlotte

この確固たる表情をもつ胸像は、211-217年に皇帝の位にあったカラカラ帝を表わしたものである。まさにこの君主の心理、政治表現であるこの胸像は、3世紀初頭の政治における軍部の役割を表している。アントニヌス期のバロック的表現とかけ離れたその力強い表現は、セウェルス朝の第2世代の肖像の、より簡潔化したモデリング技法の先駆けである。

カラカラ帝(在位 211-217年)

カラカラ帝は、ここでは軍隊の長を示す印となるパルダメントゥムで覆われた胴鎧をまとった胸像で表されている。頭はやや右を向いている。丸くてどっしりとした頭部の髪形は、短く、きつくカールされてまとめられている。表情は、水平に二本の皺が刻まれた額の筋肉の収縮と、口角の皺により表わされている口の緊張感の中に、はっきりとした決意が宿っている。突出したアーチ型の眉が影を落とす視線は、はっきりと描かれた口と引き締められた顎と同様、この表情に見られる強い集中の特徴を持ち合わせている。

軍人皇帝

カラカラ帝は、父セプティミウス・セウェルス帝(在位193-210年)の様に軍人皇帝であった。帝国の国境がおびやかされ、領土征服の政策を再び打ち出そうとしていた時期、軍隊は権力執行において、本来の重要な役割を再度帯びるようになった。自らの権力への支持を確保することは、皇帝にとって必要不可欠であった。軍人の短いあごひげと短髪を取り入れた上にパルダメントゥムで覆われた胴鎧をまとったカラカラ帝は、こうして彼の兵士たちに自分を似せているのである。一方、まるで敵意を抱いたような荒々しい人相の軍人の顔立ちをした皇帝の肖像は、特にマルクス・アウレリウス帝の肖像に見られる公式美術により、伝統的に伝えられた高貴で公正な君主の姿とは一線を画している。カラカラ帝は、彼の相手をこわばらせる恐い雰囲気を自らに与えることを何よりも重視した。

肖像の新たなアプローチ

この種の肖像は、いくつかある他の複製により知られているのだが、そのうちの一例が発見された場にちなみ、 ティヴォリ型 と呼ばれる。これらの肖像は君主の人相を特定できる特徴があるが、ファルネーゼ型 と呼ばれるもう一種の肖像を特徴づける、額の筋肉や首の荒々しいねじれなどの大げさな緊張はここにはない。ファルネーゼ型は、カラカラ帝が、共冶帝で実の弟のゲタを殺害させ、帝国の唯一の長になった時期にあたる212-215年に位置づけれれる。よって、荒々しい指導者の印象を残したこの皇帝の、より和らいだ形態での表現方法は、この型が統治初期のものであったと思わせる。しかしながらこの仮定には議論の余地が残る。ティヴォリ型は極端な表現のファルネーゼ型の反動として、統治末期に制作されたと見るものもいる。
いずれにせよ、加工技術の簡潔さはローマ肖像芸術に一つの段階を印した。自然主義的な表現方法、穿孔機の扱いの巧みさがもはや目立たない、ボリュームの抑えられた頭髪は、マルクス・アウレリウス帝の時代より流行していた、面と過多な装飾の効果の拒絶を物語っている。線の明快さと顔の肉付きの簡素化は3世紀以降のローマの肖像芸術の中に浸透する簡略化の傾向の前兆を表している。

出典

- WIGGERS H. B., WEGNER M., Das römische Herrscherbild, Caracalla, Geta, Plautille, Macrinus bis Balbinus, Berlin, 1971, p. 75.

- KERSAUSON K. (de), Catalogue des portraits romains, II, Paris 1996, n 176, p. 384.

作品データ

  • 《カラカラ帝(在位 211-217年)》

    212-215年頃

  • 大理石、丸彫

    高さ51cm

  • 旧ヒルシュ・コレクション、1957年購入

    N° d'entrée MND 2118 (n° usuel) Ma 3551

  • 古代ギリシア・エトルリア・ローマ美術

    ドゥノン翼
    1階
    スフィンクスの中庭
    展示室31

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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