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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《キリストの磔刑と二人の寄進者》

《キリストの磔刑と二人の寄進者》

© 1999 RMN / Gérard Blot

絵画
スペイン絵画

執筆:
De Vergnette François

十字架に架けられた瀕死のキリストが雷雨になりそうな空の上に浮かび上がっている。足元に、エル・グレコは伝統的な聖母や聖ヨハネを描かずに、二人の同時代の人物を配しており、彼らの特徴的な容姿は画家が特に好んだものであった。一人の素性は未だ判明していないが、彼がこの絵画をトレドの修道院のために注文したことが判っている。受刑者の身体のねじれや空中の雲の動きは画家のマニエリスム的な様式の特徴を表わしている。

個性的な磔刑図

イエスは十字架の上で死に瀕しており、その視線は自らの父の方角へと向けられている。彼の姿は死の際に世界に訪れた闇を象徴している雷雨になりそうな空の上に浮かび上がっている。十字架の足元に、画家は二人の同時代人の肖像を配している。一人は祭服を纏った聖職者で、もう一人はひだ襟のついた薄暗い衣服を着た一般信徒である。二人ともキリストを見上げながら祈りを捧げている。この福音書の有名な箇所をグレコは非常に個性的に捉えている。その結果十字架の下部は描かれておらず、同様に十字架の下に通常描かれている聖母や聖ヨハネの姿も見当たらない。風景も描かれていない。こうしてキリストの身体は他の十字架磔刑の作品と比べてより一層多くの注目を引き寄せているのだ。この絵画は聖体拝領の際に救世主の死を記念する祭壇の上に飾られていた。半身に切り取られた二つの肖像画は、神父の目の位置に現われるようになっており、こうしてこの二人の人物の代わりとしての神父の祈りが奨励されたのである。キリストの死という歴史的場面が、ここでは反宗教改革の動きに推奨された信仰画を生み出すきっかけとなっている。エル・グレコと彼のアトリエはこの主題を1600以降繰り返し頻繁に用いている。

トレドの画家

この絵画は、トレドの聖ヒエロニムス修道院の側面礼拝堂のために十字架の足元に描かれている二人の人物のうちの一人からグレコに依頼された。1590年頃にトレドで制作されたこの作品の注文主に関する素性は仮定のみが立てられている。エル・グレコはトレドに1577年に訪れ、1614年の彼の死まで留まった。クレタ島出身の画家は、まずヴェネツィアに赴き、そこでティツィアーノのアトリエに通った後、ローマに滞在している。その後すぐ近くのエスコリアス宮殿の建築現場に引き寄せられてトレドを訪れたが、スペイン王フェリペ2世の不興を招いてしまい、画家は専らアンダルシア地方の街の顧客のために制作活動を行った。

グレコのマニエリスム

キリストの身体は引き伸ばされた人体規範と天に向かって伸び上がるかのようなマニエリスム的なねじれを携えている。激しいマニエリスムを喚起させる1600年以降の複数の十字架磔刑図の中で、エル・グレコはキリストの身体を更に引き伸ばして描くようになる。この作品のキリストには、画家によるその他の作品には珍しい完璧なボリュームと起伏が備わっている。二人の寄進者はグレコが好んで用いたスタイルで小さな頭と細長い顔つきで描かれている。受刑者と同様、ジグザグ状のデッサンで描かれた雲は空中で動きを見せており、画家による表現主義の特徴を表わしている。光と影の効果は場面における劇的かつ神秘的な雰囲気に寄与している。画家は黒青、緑、灰色、白といった寒色を用いて、描かれている出来事に調和させている。エル・グレコはこの作品を急いで制作したかのように思える。

出典

- GERARD-POWEL Véronique, in Écoles espagnole et portugaise, catalogue du département des peintures du musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 2002, pp. 123-127.

作品データ

  • Domenico THEOTOCOPOULOS, dit EL GRECO (Candie, 1541 - Tolède, 1614)

    《キリストの磔刑と二人の寄進者》

    Vers 1590

  • Huile sur toile

    H. : 2,60 m. ; L. : 1,71 m.

  • Acquis en 1908

    R.F. 1713

  • 絵画

    ドゥノン翼
    2階
    ムリーリョ スペインの黄金期 16‐17世紀
    展示室26

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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