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《クロトナのミロ》

© 2007 Musée du Louvre / Pierre Philibert

彫刻
17-18世紀のフランス

執筆:
Montalbetti Valérie

その力で有名なギリシアの闘技者ミロは、老いつつも自分の剛力を試そうと、既に裂け目のある木の幹を引き裂こうとした。手が幹の中に挟またまま抜けなくなり、野獣に食い殺されてしまった。目をライオンに据え、絶望的に振り絞った力で筋肉を引き攣らせ、自分の無力さに嘆き叫ぶ。ファルコネは、この主題を扱うにあたって、絶対的な参照であるピュジェに対抗しようとする。

石膏像から10年後の大理石像

ファルコネは王立絵画彫刻アカデミーの入会資格承認作品としてこの石膏像を提出した。アカデミーは1744年8月29日に入会資格を承認したものの、作品がピエール・ピュジェの作品(ルーヴル)に酷似していると非難し、入会作品には他の主題の「彫刻の精」で提出する様強要した。1745年にこの石膏モデルが承認されている。考えを変えたアカデミーは、《ミロ》での大理石像制作を要求した。ファルコネがこの大理石像を提出し、正式会員として承認されたのは、結局10年待っての1754年8月31日だった。

ファルコネとピュジェの《ミロ》

ファルコネは明らかに、主題の選択、制作の力強さにより、常に深い崇拝を抱いていた高名な先輩に挑もうとする。アカデミーから嫌疑をかけられた盗作疑惑は明らかに不当である。ピュジェの《ミロ》は立ち姿で、噛み付くライオンの頭を押し返している。もし、もう一方の手が挟まっていなければ打ち勝っていただろう。ファルコネの《ミロ》は地面に覆され、既に負かされており、左足を支えきれず、右足は宙にあがく。ピュジェの作品の構図では木の裂け目は重要だが、ここでは二義的である。ピュジェは、苦しむ人間の方に注意を集中し、ライオンを英雄の後ろに追いやるが、ファルコネは逆に人間と野獣の格闘を取り上げる。2者の頭は同位置にあり、獰猛さと苦痛とが対比する。ピュジェの獣の方は、ほとんど紋章のようであるのに対して、ここではライオンの体と表情が、強調された自然主義で表現されている。

自然主義、陳腐さにまで及ぶバロックの息吹

その劇的要素と技術の巧妙さにより、作品はバロックの息吹に活気づく。大きな対角線の構図、体の動きと捻り、肉体の生き生きしたテクスチャー、陰影の対比、苦痛の極限の表現(ミロの顔はローマのサンタ・マリア・イン・セラート所蔵のベルニーニ作《地獄に堕ちた魂》に想を得る)がその要素である。ファルコネは構図、解剖学、巧みな彫刻刀裁きによる技を展開する。ライオンの姿はその短縮法の見事さを見せる。1755年のサロンに大理石作品を提出した時点では、古典趣味回帰の為、その美意識は既に時代遅れとなっていて、一般的には好評を博したのも束の間、気品に欠けるとして批判された。身体の理想化をせず(ファルコネは胸部の襞、体毛をも表現)、顔の理想化も無い(鼻が反り返った自分の肖像)彫刻家の自然主義はショックを与える。その誇張された表情は、瀕死の英雄に対して古典主義が描くストイックな控えめさとは相対立するものである。

出典

- REAU Louis, Étienne-Maurice Falconet, Paris, 1922, I, p. 127-132.

- VALLON Fernand, Falconet, Grenoble, 1930, p. 53-55.

- LEVITINE George, The Sculpture of Falconet, New York, 1972, p. 22-25.

作品データ

  • エティエンヌ゠モーリス・ファルコネ(1716-1791年)

    《クロトナのミロ》

    1754年

    1754年アカデミー入会作品

  • 大理石

    高さ66.8cm、幅64.9cm、奥行き51.2cm

  • 1793年革命期アカデミーコレクションから接収、恐らく1849年にルーヴル収蔵。

    M.R. 1847

  • 彫刻

    リシュリュー翼
    1階
    アカデミーの小ギャラリー
    展示室25

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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