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《クロトナのミロ》

© 2010 Musée du Louvre / Philippe Fuzeau

彫刻
17-18世紀のフランス

執筆:
Montalbetti Valérie

数々のオリンピア競技やピュティア競技で勝ち名乗りをあげたギリシアの闘技者ミロは、老いつつもその剛力を試そうと既に裂け目のある木の幹を引き裂こうとした。手が木の幹に挟まって抜けなくなり、オオカミに喰い殺された。ピュジェは、オオカミをより気品ある動物であるライオンに置き換え、バロックの激烈さと劇的効果を狙う構図を作り上げる。身体は苦痛で捩れ、肉体は彫刻刀の下で震えあがる。

人間についての瞑想

イタリアのバロックの修行を受けたマルセイユの彫刻家ピエール・ピュジェは、トゥーロンの港で未使用のまま眠っていたカㇽラーラ産大理石3塊の使用許可をコルベールから得て、1671年から《クロトナのミロ》の制作に着手し、1682年にやっと完成させる。
彫刻の分野ではそれまで未知だったこのテーマは「時」により制覇される「力」の考察のみならず、人間の傲慢さをも思考するものである。年齢に因る弱さを拒絶したミロはその虚栄心に負かされたのである。その苦痛は精神的であると共に肉体的でもある。意味なく地面に横たわる競技で勝ち取った賞杯が象徴するように人間の栄光は果敢ない。
この様なテーマの選択は、王の為の作品としてはかなり奇抜である。ピュジェはその後も、ルーヴル所蔵の浅浮彫作品《アレクサンドロスとディオゲネス》でその大胆さを見せることになる。

魅了する構図

作品のあらゆる表面を均質な巧みさで制作しているものの、ピュジェは正面視点を優先している。作品は正面と反側面から鑑賞される。苦痛で捩れたミロの体は大きなジグザグを描く。漸次小さくなる3つの対角線が重なり合い、うめき声をあげ後方へと傾く頭が頂点を成す。
体が寄りかかる木の幹がこの構図の軸である。大理石の中央は闘技者のシルエットを浮き出させるため、二カ所刳り貫かれているが、この土台からの刳り貫きは彫刻では珍しく、離れ業である。

ピュジェと古典

ピュジェは、アーティストにとって英雄の苦痛表現の好作品例である法王のコレクションの《ヘレニズム時代のラオコーン》を覚えていたに違いない。老いたトロイアの大司祭は、神が送った蛇に締めつけられストイックに死ぬ。ピュジェはこれを現代的な作品にする。英雄を理想化するのではなく、古典の静謐さを苦痛の激烈な表現に置き換える。体は苦痛で弓なりとなり、顔は単なる渋面どころではなく、引き攣った足指は地にしがみつく。
1683年にヴェルサイユで作品が公開された際、王妃マリー・テレーズは「かわいそうな人」と叫んだと言われる。ピュジェの彫刻刀裁きの見事さは大理石を忘れさせ、ライオンの爪が肉体の中に食込むが如くに見える。緊張した筋肉、浮き上がった静脈、表面の微妙な転調が、肉体が震えている感じを与える。
彫刻家は、身体部分に極限に磨きをかけと他の部分はそのままに残し双方を対立させている。ライオンの毛はビュランで削り、木の幹と地面は錐で筋を入れている。また、人間、獣、自然という三つの歴史上の主人公を表面仕上げにより区別をつけている。

出典

- LAGRANGE Léon , Pierre Puget. Peintre, sculpteur, architecte, décorateur de vaisseau, Paris, 1868, rééd. Marseille, 1994, pp.192-194.

- HERDING Klaus, Pierre Puget, das Bildnerische Werk, berlin, 1970, pp.94-103 et pp.167-173.

 - WALTON Guy, "Le Milon de Crotone de Puget", Actes du colloque oct. 1971, Provence historique, tome XXII, fasc. 88, Marseille, avril-juin 1972, pp.43-53.

- Pierre Puget. Peintre, sculpteur, architecte, 1620-1694, catalogue d'exposition, Marseille, musée des Beaux-Arts, 1994.

- BRESC-BAUTIER Geneviève, Pierre Puget, Milon de Crotone, Paris, 1996.

作品データ

  • ピエール・ピュジェ

    《クロトナのミロ》

    1671年と1682年の間に制作

    1683年にヴェルサイユ庭園内に設置。

  • カ・ラーラ産大理石

    高さ2.70m、幅1.40m、奥行き0.80m

  • ヴェルサイユ、フランス派美術館収蔵。1819年3月の許可によりルーヴルのアングレーム・ギャラリーに収蔵。

    M.R. 2075

  • 彫刻

    リシュリュー翼
    地上階
    ピュジェの中庭
    中庭

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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