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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《クロード・ドリュエの肖像》

Portrait de Claude Deruet

Musée du Louvre, dist. RMN-Grand Palais - Photo S. Nagy

素描・版画
17世紀

執筆:
Boyer Sarah

カロの手になるペン画の数少ない例であるこの習作では、画家クロード・ドリュエが全身像でその息子アンリ=ニコラとともに描かれている。紋章の両側に垂れた緞帳(どんちょう)がこの2人の肖像を取り囲んでいる。この緞帳が肖像画にある種演劇的な趣を与えている一方、後景はナンシーの城砦と、1633年にルイ13世と王妃が滞在し、「ローマ館」と呼ばれたドリュエの豪奢な邸宅を思い起こさせる。

特定の場所を表わした風景

様々な時代と主題の168枚の素描を集めた合本の一部であるこの習作は、ビュランで強調したエッチングのための準備習作であり、エッチングの方は5つの異なる段階が知られる。この第3段階からは、「ポルトガルのシュヴァリエ受勲者クロード・ドリュエ・エスキュイエへ捧ぐ。忠実なる友ジャック・カロ」という献辞と、時にカロ作とされる詩が書かれるようになる。エッチングでは、とりわけ素描の背景に素早く描かれただけの場所がきわめて正確に見分けられる。左側には、ムーラン通りとエグリーズ通りと交差した角があり、右側では、角に突き出た二つの対称的な部分がオーソンヴィル稜堡とヴォーデモン稜堡を示し、サン=テピュール教会の鐘楼も見える。ファルスブール大公の庇護のおかげで、ドリュエがその傑作を制作したカルメル会教会は、ドリュエの姿態の背後に消え去っている。それゆえ、数多くの新たな細部描写が背景および衣装にほどこされたわけである。

描き直された肖像

1621年に貴族に叙されたドリュエは、ルイ13世から聖ミカエル綬を授けられた。1632年3月5日、ロレーヌ公シャルル5世は、ナンシーの宮廷画家および祭典責任者であったベランジェの昔の弟子ドリュエを上位貴族に任命する。カロがこの2人の肖像を描いたのは、おそらくこの機会であったと思われる。ドリュエは、立ち姿でほぼ正面を向いており、左手を息子の頭上に伸ばしている。息子は、ドリュエの絵画から想を得た、羽根飾りの付いた縁なし帽をかぶり、肩にマスケット銃を担いでいる。版画の第2段階からは、息子がかぶっていた縁なし帽の羽根飾りがなくなり、縦線の区切りの下に詩が書かれるようになる。第3段階と第4段階においては、再び顔に立体感がほどこされ、ドリュエの右手の親指がレースの袖口まで描き込まれるとともに、息子が担いでいるマスケット銃の銃口にも陰影がほどこされ、縁なし帽の羽根と巻き毛がより豊かに描かれている。また、「ローマ館」の屋根にも煙突が加えられ、左側の庭園は全て描き直されている。

カロを象徴する作品

版画の様々な段階においてカロが細かい変更を加えたことから、この注文に対するカロの関心の高さがうかがわれる。力強くきびきびとしたペンの線描と淡彩は、奥にわずかに描かれたパノラマとは対照的である。太く力強い線で描くカロの描法は、人物に堂々たる壮大さを与えるが、版画からはそれはほとんど伝わってこない。素描では、表現がより凝縮され、眼差しはより直接的で、力強い描線が人物の相貌に誠実な感じを与えているが、幾度も手直しをした版画ではこうした感じは失われてしまっている。しゃちほこばったこれ見よがしの構図を示すこの肖像画において、「もったいぶって見栄をはった」子供と、生き生きとした庭園とが描き込まれていることは、カロが貴族の生活とコメディア・デラルテ(16世紀から18世紀にかけてイタリアで発達した軽喜劇)に関心を寄せていたことを思い起こさせる。

出典

- Jacques Callot : 1592-1635, cat. exp. Nancy, Musée historique lorrain, 13 juin-14 septembre 1992, pp 332-333, n 458-459 bis.

- BROTHERS Ann, Worlds in miniature : the etchings of Jacques Callot and Wenceslaus Hollar, cat. exp. Melbourne, National gallery of Victoria, Robert Raynor gallery, 20 mars-15 juin 1998, pp. 38-39.

- TERNOIS Daniel, L'Art de Jacques Callot, Paris, F. de Nobele, 1962.

- TERNOIS Daniel, Jacques Callot (1592-1635) : actes du colloque organisé par le Service culturel du musée du Louvre et la ville de Nancy à Paris et à Nancy les 25, 26 et 27 juin 1992, 1992.

- TERNOIS Daniel, Jacques Callot : catalogue de son oeuvre dessiné, supplément (1962-1998), Paris, F. de Nobele , 1999.

作品データ

  • ジャック・カロ(ナンシー、1592-1635年)

    《クロード・ドリュエの肖像》

    1632年

  • 黒チョークにペン、褐色インク、褐色の淡彩

    縦26.6 cm、横17.7 cm

  • ピエール=ジャン・マリエット・コレクション、1775年11月15日にその売り立て(作品番号1185)、国王美術品蒐集室のために購入

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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