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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《サタンとベルゼバブ》

Satan et Belzébuth debout, de face, dominant des nuées enflammées

Musée du Louvre, dist. RMN-Grand Palais - Photo M. Beck-Coppola

素描・版画
18世紀

執筆:
Morin Alexia, Grollemund Hélène

イギリス派の肖像画家として顕著な名声を博したトマス・ローレンスは、彼の作品にはほとんど馴染みのない側面と主題のこの「地獄の」素描で驚かせてくれる。ローレンスは、《軍団を集めるサタン》(ロンドン、ロイヤル・アカデミー)のためのこの習作で、グランド・スタイル(荘重様式)へのこだわりをあらわにし、それ自体にローレンスの師ジョシュア・レノルズ(1723-1792年)の影響がうかがえる。

好戦的なサタン

1797年にロンドンのロイヤル・アカデミーの入会作品として提出されたこの習作は、知られている8枚の準備素描の中で最も完成度が高い。ここでは、大きな2人の登場人物が、作品全てにわたって支配している。それは、正面を向いたサタンとベルゼバブであり、燃えさかる雲を見下ろしている。裸体で古代風の兜をかぶったサタンは、しっかりと両足を踏ん張り、力強い身振りで両手を挙げている。ベルゼバブも裸体で、両手で槍にもたれかかっている。この2人の人物像には、ミケランジェロとレノルズの影響があわせて見られる。悲痛な英雄であるサタンのイメージが、ローレンスの地獄の形而上学の主要な特徴、すなわち「壮大さ」と「闇」とを反映しているが、この作品は崇高さと誇張の間で揺れ動いている。

別の楽園へ向かって?

この素描は、1667年に最初に出版されたジョン・ミルトンの『失楽園』の一節を描いたものである。ミルトンは、『失楽園』で人間の堕落をそそのかすサタンの誘惑を書いている。ローレンスは、ミルトンが、忠実な供ベルゼバブに付き従われて「暗い海の辺で」誇らしげに立つサタンの様子を描いた一節に依拠している。サタンは、まさにこの時、悪魔の軍団を集め、新しい世界を征服するための戦いに立ち上がるよう高らかに演説するのである。ここでローレンスは、ロマン主義者を魅了したミルトン文学の野心的、情熱的、反逆的な英雄を絵画化している。

ユニークな作品

王室付画家とロイヤル・アカデミーの会員になったローレンスは、1795年頃、流行の肖像画家とばかり見られることに嫌気が差していた。ローレンスは、歴史画家として認められようとし、その少し前に歿した師レノルズの理想、グランド・スタイル(荘重様式)を継ごうとしたのである。もっとも、ローレンスがこの図像を選ぶことによって、革新的な作品を生み出したというわけではない。というのも、イギリスに帰化したスイスの画家ヨーハン・ハインリヒ・フュースリも、ローレンスのすぐ後にクリスティーズにサタンの絵を出品したからである。この作品は、1790年からスイス出身の画家フュースリが手がけていた、ミルトンに捧げる大規模な絵画の連作「ミルトン・ギャラリー」の中の一枚だった。フュースリは、1790年8月以前から最初のサタンの絵を完成しており、ローレンスのサタンの絵がきわめて似ていたため、フュースリはローレンスが剽窃したと非難したのである。
トマス・ローレンスの《軍団を集めるサタン》は、展覧会であまり成功を収めたわけではなかったが、それでもなおローレンスの初期の画業の中で最も驚くべき作品の一つであることに変わりはない。

出典

- ARMSTRONG Walter, Lawrence, Londres, 1913, p. 192.

- English Drawings and Watercolours, 1700-1920, Londres, Galerie Colnaghi, 1979, n 25, pl. III et couv.

- GARLICK Kenneth, A Catalogue of the Paintings, Drawings and Pastels of Sir Thomas Lawrence, Londres, The Walpole Society, t. 39, 1962-1964, p. 225, n 1.

- MICHEL Régis, Le Beau idéal ou l'art du concept, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1989, pp. 38-39, 158, n 18.

- POINTON, Milton and English Art, Manchester, Manchester University Press, 1970, p. 115, fig. 104.

- SERULLAZ Arlette, Acquisitions du Cabinet des dessins : 1973-1983. 81e exposition du Cabinet des dessins, Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1984, n 152, p. 100, repr. 101.

- SERULLAZ, "Un Dessin de Sir Thomas Lawrence ", in Revue du Louvre, 1981, p. 33-36, fig. 1.

- Sir Thomas Lawrence, PRA, 1769-1830, cat. exp. Londres, The Royal Academy of Arts, 1961, n 77.

作品データ

  • トマス・ローレンス卿(ブリストル、1769年-ロンドン、1830年)

    《サタンとベルゼバブ》

    1795-1797年

  • 褐色の紙に黒チョーク、白のハイライト

    縦12.7 cm、横7.1 cm

  • 画家のアトリエ、1831年6月18日にロンドンで競売(157番)、リー・ノウルズ卿(1857-1928番)とその子孫、W. A ブラント、コルナギ(ロンドン)、1980年に取得

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

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