Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《サテュロスに見つけられたヴィーナスとアモル》

作品 《サテュロスに見つけられたヴィーナスとアモル》

絵画部門 : イタリア絵画

《サテュロスに見つけられたヴィーナスとアモル》

© 2000 RMN / René-Gabriel Ojéda

絵画
イタリア絵画

執筆:
Scailliérez Cécile

地上愛の複雑な寓意を含んだこの作品は、ロンドンのナショナル・ギャラリー所蔵の、天上の愛を象徴しているであろう《アモルの教育》と、おそらく対を成していたものと思われる。2点の作品は1524-1527年頃に、おそらくフェデリーコ・ゴンザーガの友人であるニコラ・マッフェイ伯爵のために制作され、作品は1536年以降ゴンザーガ家に所蔵されていた。

作品の識別

18世紀には、この作品はユピテルとアンティオペを描いたものだと考えられており、今日もこの表題で知られている。しかしながら、確かに神話においては神々の中でも最も偉大なユピテルがサテュロスの姿でアンティオペと結合したと記されているものの、ユピテルが見つけた際アンティオペが眠っていたとは書かれていない。実際、小さな神アモル(エロス)と眠っている女性の間に置かれている火の灯った松明は、愛の女神ヴィーナスの持物(じもつ)であり、今日ルーヴルに所蔵されているマントヴァ公のために描かれたペルジーノの作品が示しているように、この松明を持ってヴィーナスは貞節の女神ディアナに立ち向かうのである。同時に松明は、矢と同様、ヴィーナスの子供たち、とりわけキューピッドの持物であり、愛情が遠くからでも感情を掻き立て心を捕らえることが出来ることを象徴している。
この作品の中のヴィーナスの横には、ヘラクレスとの戦いに勝利して疲れ果てて眠るエロスが見受けられ、ヘラクレスから勝ち取った、「力」の象徴であるライオンの皮の上に寝ている。半人半山羊の生き物であるサテュロスはギリシア・ラテン神話の中では自然の鬼であり、とかくニンフに専心している。彼は作品の中で自らの欲望を覆い隠そうとするしぐさを見せているにもかかわらず、無遠慮と色欲のイメージをもたらしている。1499年にヴェネツィアで出版された『ポリフィーロの夢』第一巻に描かれた全物の母であるヴィーナスを見つけたサテュロスのように、彼は右手で女神に陰を作ってやっている。

複雑な寓意と構成

古代神話にはサテュロスに追いかけ回されたり無理強いさせられたりする、眠る娘の物語(例:アミュモーネー)が存在するが、どの話もヴィーナスには関連していない。同様に、ティツィアーノの《パルドのウェヌス》(ルーヴル蔵)のように、コレッジォの絵画は特定の伝説を物語っているというよりは、寓意画であると言えるだろう。もっとも、この作品の古い複製が17世紀に《Venerie mundano(地上のヴィーナス)》として記されており、ゆえに作品は新プラトン主義の定義にしたがって、地上のヴィーナスと官能的な愛を表していると言えよう。一方でロンドンのナショナル・ギャラリーに保管されている対の作品の中には、翼をもったヴィーナスと人類の教育者であるメルクリウスの間で読みを習っているアモル(アンテロス)が見受けられ、この絵は天上の愛と、愛情の中における精神的なものを象徴していると思われる。最後にこの2点の絵画の解釈をより豊かにするものとして、ヴィンチェンツォ・カルターリによる1571年の『古代の神々の像』は、古代人が雄弁の神であるメルクリウスをヴィーナスとよく同一視していたということを引き合いに出し、それによって、甘美な言葉が人間たちの間に愛を芽生えさせ、永続させるものであると説いている。
コレッジォの教養は、図像表現の複雑さだけには留まらない。それは構図にも及んでおり、彼の最大の模倣者であるパルミジャニーノはそれを見逃すことなく、《聖ヒエロニムスの幻視》(1527年、ロンドン、ナショナル・ギャラリー所蔵)の下段で、その大胆な短縮法を採り入れている。一方で人物像の配置は、1509-1510年にミケランジェロによってシスティーナ礼拝堂に描かれたフレスコ画《原罪》におけるアダムとエバのそれを連想させる。さらに、眠るアモルのモチーフは、プラクシテレスの古代彫刻における主題と、そのミケランジェロによる近代的な解釈とを想起させる。ミケランジェロのこの作品を、当時イザベラ・デステは、ドゥカーレ宮殿にある書斎のグロッタ(人工洞窟)に収めていた。

気品と官能性

一方で作品の様式にはミケランジェロ的なところは何もない。身体の輪郭の気品は独特な手法で昂揚され、空間の表現は合理主義から解放されている。コレッジォの絵画は、主題の官能性に調和しているのである。すなわち、その曲がりくねった描線、ぼんやりと霞んだ色彩、黄昏時のような光、肉感的な身体の起伏。その点でこの作品は、1524-1528年頃、同時期にマントヴァでジュリオ・ロマーノの描いていた、より冷ややかで古代趣味的な絵画の対極にあるものであったが、コレッジォの作品も、その官能的かつ幻想的な奔放さによってロマーノの絵画と張り合っていたのである。
一方、17世紀にゴンザーガ家の財産中に記録されていたこの絵画とその対の作品は、マントヴァ公家、すなわちフェデリーコ・ゴンザーガもしくはその母イザベラ・デステのために制作されたものと考えられていた。しかし近年の研究で、2点の作品はフェデリーコ・ゴンザーガの時代から彼の友人の一人で、1536年に亡くなったニコラ・マッフェイ伯爵のコレクションに所蔵されていた可能性があることが判っている。

作品データ

  • アントニオ・アッレーグリ、通称コレッジォ(コレッジォ、1489年-1534年)

    《サテュロスに見つけられたヴィーナスとアモル》

    1524-1525年頃

  • 画布に油彩

    縦1.88m、横1.25m

  • 1665年、マザランの相続人からルイ14世によって取得

    旧題《ユピテルとアンティオペ》

    INV. 42

  • 絵画

    ドゥノン翼
    2階
    グランド・ギャラリー トスカーナと北イタリアの絵画 15‐16世紀
    展示室8

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する