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作品 《サン=ジェルマン=アン=レイ城の眺め》

素描・版画部門 : 19世紀

Vue du château de Saint-Germain-en-Laye

素描・版画
19世紀

執筆:
Grollemund Hélène

際立ってみずみずしいこの水彩画は、ターナーの最も熱狂的な讃美者の一人であり、また遺言執行人の一人でもあったヒューグ・A・J・マンロー・オブ・ノヴァーがかつて所蔵していた。この作品は、19世紀のイギリスで大変人気があり、ターナーが1828年から1839年にかけて挿絵を描いた年刊誌『ザ・キープセイク』誌上に複製された17枚の水彩画の中の1枚である。この水彩画は、1976年に初めてルーヴル美術館入りしたターナーの素描である。

ターナーとフランス

ターナーは、1802年以降、幾度もフランスを訪れた。ターナーにとって旅行は、主に素描帳にあらゆる印象をスケッチすることを可能にする、短期間の遠出のための格好の口実であった。こうして積み重ねられた習作を基に油彩画が描かれることはほとんどなく、逆にそのままで出版可能な完成した素描として扱われたのである。この《サン=ジェルマン=アン=レイ城の眺め》の場合もまさにそうであり、1832年に出た年刊誌『ザ・キープセイク』のためにロバート・ウァリスが版画におこした。

『年刊誌』

チャールズ・ヒース(1785-1848年)が、1827年以降、毎年11月か12月に刊行した優雅な画集『ザ・キープセイク』において、イギリスの大衆はセーヌ川の風景を見出したのである。この刊行のためにターナーは、大衆向けに完成され、出品や売却の可能な水彩画を準備し、次号を予告した。『ザ・キープセイク』誌上に掲載され、フランスをテーマにした水彩画はすべて、最初ペンとインクで小さな青い紙の上に描きとめられた構想を基にしている。こうして、《サン=ジェルマン=アン=レイ城の眺め》のための習作は、ターナーがパリとその近郊を描きとめた素描帳(ロンドン、テート・ギャラリー)に見られる。ターナーのこうした習作は、次いでより練り上げられた素描となるが、サイズはより小さくなっている(ロンドン、テート・ギャラリー)。ここには、完成作の水彩画のあらゆる主な線描が見られる。

パノラマ風の眺め

サン=ジェルマン城は、そこでジェームズ2世スチュアートが逝去したため、イギリスの歴史に結びついた王館であるが、1820年代には悲惨な状態にあった。セーヌ川を見下ろすテラスだけが訪問者を惹きつけ続けたのである。この《サン=ジェルマン=アン=レイ城の眺め》のために、ターナーは、セーヌ川の辺で城に向き合い、河岸に座っている人物とセーヌ川を横切る橋に設置された足場を強調して描いている。前景では、女性が絵のようなものを吟味しており、おそらく城の過去の豪奢を暗示しているのだろう。ターナーの創作活動の盛んな時期に制作されたこの水彩画は、流麗なタッチと、赤や黄土色や黄色が際立つ美しい色彩によって魅惑的な作品となっている。光の描写によって超越的な感じを与えるこの旅の思い出は、はかなく叙情的な、晩年のターナーの風景画の大胆さをすでにはっきりと予告している。濃い紫とばら色の色調の戯れによってのみ構成された彩色習作(ロンドン、テート・ギャラリー)も、この作品に結び付けられる。

出典

- JOLL Evelyn, J.M.W. Turner, cat. exp. Paris, Grand Palais, 1983-1984, n 188.

- SERULLAZ Arlette, Nouvelles acquisitions du Cabinet des Dessins, 1973-1983, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1984, n 153.

- SERULLAZ Arlette,  D'Outre-Manche : L'Art britannique dans les collections publiques françaises, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1994, n 183.

- SHANES Eric, Turner's Watercolour Explorations 1810-1842, cat. exp. Londres, Southampton, 1997, n 22-24.

- WARRELL Ian, Turner et la Seine, cat. exp. Londres, Paris, Le Havre, 1999-2000, p. 65-66, 206-213, n 46-47.

作品データ

  • ジョーゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(ロンドン、1775年-ロンドン、1851年)

    《サン=ジェルマン=アン=レイ城の眺め》

    1830年頃

  • 水彩

    縦29.6 cm、横46.2 cm

  • 1877年6月2日にロンドンのクリスティーズでH.A. J. マンロー・オブ・ノヴァー・コレクションの競売(36番)。1900年6月23日にロンドンのクリスティーズでJ.A. ボンバック・コレクションの競売(34番)。1930年2月28日にロンドンのクリスティーズでバーネット=ルイス・コレクションの競売(51番)、ロンドンのアニューズが購入。G. ブッシュビー・オブ・シバースフィールド・ホール・コレクション、1974年にロンドンのリチャード・グリーン、アニューズ・アンド・コルナギにより購入。1976年にルーヴル美術館により取得

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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