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作品 《ダフネに恋するアポロン》

素描・版画部門 : 17世紀

Apollon amoureux de Daphné

素描・版画
17世紀

執筆:
Prat Louis-Antoine

1664年にローマで、プッサンは、友人で未来の枢機卿たるカミッロ・マッシミ(1620-1677年)に未完成の絵画を献上した。プッサンは、絵画を完成させるには疲弊し過ぎていたのである。この絵画作品は、今日ルーヴル美術館に所蔵されている(MI 776)。プッサンは、この絵のために数多くの習作素描を制作した。ここに複製されている素描は、その中で最も完成度が高いものである。その主題は、常に報われない恋に身を焦がすアポロンの不幸に関連している。

オウィディウスの物語を再訪して

プッサンがこの最終的な作品の着想を得たのは、オウィディウスの『変身物語』やその他の古典を読んだことからだった。豊饒と生の神であるアポロンは、画面左側に腰かけ、ダフネに恋焦がれている。画面右端に見えるダフネは、父の河神ペネイオスに腕を回して抱き締めている。この恋は結局成就しないのだが、それというのもアポロンが逃げるダフネを追いかけてまさにつかまえたと思った途端に、ダフネが月桂樹に変身してしまうからである。ここでは、他のいくつかのエピソードも描かれている。画面左側では、メルクリウスがアポロンの矢筒からこっそり矢を引き抜いている。木には(アポロンが殺す)大蛇ピュトンがとぐろを巻いている。中央では、アモルがダフネに向かって先の尖っていない矢を射かけているが、この矢はダフネにアポロンから逃れようという気しか起こさせないのである!この素描にはないがこれを基にした油彩画には、背景の右側にナルキッソスないしはヒュアキントスの死も描かれている。

念入りな制作

この作品が形成されていく過程は複雑で、ルーヴル美術館所蔵の素描の前に少なくとも8枚の習作素描が存在する。プッサンは、まずアポロン・サウロクトノス、すなわちニンフに囲まれた「とかげを殺すアポロン」を描こうと考えた。次いでプッサンは、このテーマを、偶然と運命を象徴する骰子で遊ぶ憂鬱(メランコリック)なニンフたちのテーマと結びつけ、こうした様々なテーマを一つにまとめ上げた。ルーヴル美術館所蔵の素描は、全ての習作素描の中で最も複雑であり、愛の不可能性、運命の戯れ、永劫に続く自然を前にしての人生の短さについての思索となっている。

遺言としての素描

登場人物や要素が完璧に配置された、この素晴らしい素描のところどころには、老いた巨匠の手の震えの跡が認められる。淡彩はきわめて繊細にほどこされ、黒チョークは、左側に寝そべっている犬に見られるように線をなぞって強めるために用いられている。絵画面を巧みに段階的に重ねて空間を構成する壮大な構想は、不可能の理想郷アルカディア、失われた黄金時代を想起させるにふさわしい。

出典

PRAT Louis-Antoine, ROSENBERG Pierre, Nicolas Poussin, 1594-1665 : Catalogue raisonné des dessins, 1994, II, n 381.

作品データ

  • ニコラ・プッサン(1594-1665年)

    《ダフネに恋するアポロン》

    1660-1664年頃

  • クリーム色の紙にペン、褐色インク、褐色の淡彩、黒チョーク、黒チョークのます目

    縦30.7 cm、 横43.9 cm

  • サン=モリス・コレクション、 1793年に亡命貴族の財産として接収

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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