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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《ティモファネスの死》

La Mort de Timophane

素描・版画
18世紀

執筆:
Marescalchi Consuelo

プルタルコスが扱ったテーマである「ティモファネスの死」は、マリー=ジョゼフ・シェニエ(1764-1811年)が再び取り上げ、1795年にティモファネスの悲劇を出版したことで、流行の主題となった。アントワーヌ=ジャン・グロは、この素描を他の一連の習作とともに1798年にミラノで描いた。この一連の習作は、おそらく絵画制作を目指していたと思われるグロの構想の重要性を物語っている。

プルタルコスの流行

グロの《ティモファネスの死》は、プルタルコスが取り上げ、シェニエが再び評判を高めたこのテーマを扱った特殊な例ではない。シャルル・メニエ(1768-1832年)は、すでに1791年にローマでこの主題を扱った絵を描いていた。エヴァリスト・フラゴナール(1780-1850年)は、1793年のサロンにこのテーマを描いた絵を出品し、シャルル・ラフォン(1774-1835年)も1796年のサロンに同主題の作品を出品した。グロがこのテーマを描いたのは、1798年初頭のミラノである。当時ソルベッローニ宮殿に滞在していたグロは、何枚かの下絵を描いてフランスに持ち帰ったものと思われる。一連の習作(ブザンソン美術館、ドレスト・コレクション)は、おそらく絵画制作を目指していたと思われるグロの構想の重要性を示している。

大胆な構図

この画面構成の大胆さには驚かされる。グロは、劇的効果をつくり出すためならどんなからくりを用いることもためらわなかった。どっしりした壁と陰鬱な光が犯罪現場を刑務所のような閉ざされた空間に変える。しかし、最も大胆な舞台装置の要素は、中央にあるモティーフである。煉瓦造りの二つの小アーケードを支える角柱は、ダヴィッドが《ホラティウス兄弟の誓い》のために描き出した空間を思い起こさせる。前景の建築を主要人物に変えるこの突飛な構図は、3つの効果を狙っている。まずは、劇的効果である。これによって画面に枠が設けられ、画面が場面に変わり、悲劇の偉大さが回復される。次いで、異化効果である。この舞台装置によって、観者が画面全体に素朴に一体化することが阻まれる。こうしてエピソードが「歴史」にも属していることを観者に思い起こさせ、この距離感によって自由な批判が可能になる。そして最後に相反する効果である。中央の柱によって、場面が、幕によってきっちり区切られた、それぞれほぼ等しい2つの部分に分けられている。

民主主義と革命

画面左側では、政治的行為である殺害が行われている。それに対し右側では、市民的行為である葬送が行われている。左側は、専制政治の世界であり、ティモレオンの命によってアイスキュロスとサテュロス(ないしはオルタゴラス、プルタルコスによれば、この人物の特定に関しては異本があるからである)が、ティモレオンの兄で暴君のティモファネスを殺害している。右側は、民主主義の世界であり、その象徴たる彫像が立っている。それは、ギリシア語でコリントスという名が記された台座の上にそびえ立つ戦争の女神アテナの彫像である。それゆえここでは、コリントスの二人の守護神アポロンとアフロディーテよりアテナが好まれたということになる。グロは、優れて民主主義的な都市国家であったアテナイの象徴を引き合いに出すことによって、この空間を民主主義的なものとしたのである。彫像の台座に槍の先にかけられたフリジア帽(フランス革命期に革命派のかぶった赤い縁なし帽)が明確に描かれているのは、ギリシアとフランス革命とのつながりを強調し、グロの共和制に対する信念を表明するためである。

ティモレオンの態度は、公共の領域(法)と私的な領域(感情)の間の葛藤を反映している。一方では、ティモレオンは、女神アテナの前で敬意を表しているように見える。他方では、ティモレオンは、頭にヴェールをかぶり、手で耳を覆って、殺害時の喧騒から逃れようとしている。この身振りには、カラヴァッジオ(1571-1610年)の《洗礼者の斬首》(マルタ、ラ・ヴァレッタ、サン・ジョヴァンニ教会)という特定の源泉がある。こうした源泉を参照することは、新古典主義の理論から見れば異端である。なぜなら、ヴィンケルマンは、カラヴァッジオを写実的な美術を創始した有害な人物と見なしていたからである。しかし、ティモレオンの葬送は、演劇にも由来している。というのも、シェニエの悲劇の中で、主人公が「マントをかぶって」殺害の合図を出すからである。

出典

- DELESTRE Jean-Baptiste, Gros et ses ouvrages, ou Mémoire historique sur la vie et les travaux de ce célèbre artiste, Paris, J. Labitte, 1867, pp. 60-65, n 19.

- GUIFFREY Jean, MARCEL Pierre, Inventaire général des dessins du musée du Louvre et du musée de Versailles. École Française, Paris, Librairie centrale d'art et d'architecture, t. X, 1927, n 4610, p. 64, repr.

- MICHEL Régis, Le Beau idéal ou l'art du concept, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1989, Éditions de la Réunion des musées nationaux, pp. 113-117.

- SERULLAZ Arlette, Dessins français de 1750 à 1825 dans les collections du musée du Louvre : le néoclassicisme, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1972, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1972, n 98.

En savoir plus :

- La Révolution Française et l'Europe (1789-1799), cat. exp. Paris, Galeries nationales du Grand Palais, 1989, Éditions de la Réunions des musées nationaux, p. 297, repr.

- The Age of Neo-Classicism, cat. exp. Londres, The Royal Academy and the Victoria and Albert Museum, 1972, Arts Council of Great Britain, 1972, n 632.

- BRACHLIANOFF Dominique, Triomphe et mort du héros : la peinture d'histoire en Europe de Rubens à Manet, cat. exp. Lyon, Musée des beaux-arts, 1998, Milan, Electa, Lyon, Musées des beaux-arts, 1988, p. 413, n 146.

- LICHTENSTEIN S., "The Baron Gros and Raphaël", in The Art Bulletin, 1978, vol. 60, n 1, pp. 133-135, n 14.

- MICHEL Régis, "Meynier ou la métaphore parlementaire. Essai sur la Sentence de Ligarius", in Revue du Louvre, 1987, n 3, pp. 188-200.

- TRIPIER LE FRANC J., Histoire de la vie et de la mort du baron Gros, le grand peintre : rédigée sur de nouveaux documents et d'après des souvenirs inédits, Paris, J. Martin, J. Baur, 1880, pp. 160-161.

作品データ

  • アントワーヌ=ジャン・グロ(パリ、1771-1835年)

    《ティモファネスの死》

    1798年

  • ペンと黒の淡彩、白のハイライト

    縦44.4 cm、横57.6 cm

  • 1842年に画家の未亡人グロ男爵夫人(デュフレンヌ生れ)の遺贈

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

ペンで裏面に書き込み:Timoléon dessin de Antoine-Jean Gros. Légué par Madame Augustine Dufresne veuve d'Antoine-Jean Gros. Décédée le 25 janvier 1842, au Musée Royal du Louvre(アントワーヌ=ジャン・グロによるティモレオンの素描。1842年1月25日、アントワーヌ=ジャン・グロの未亡人オーギュスティーヌ・デュフレンヌ夫人逝去によるルーヴル王立美術館への遺贈)