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《デボラの壁掛け》より《シセラとバラクの戦い》

© 1998 Musée du Louvre / Martine Beck-Coppola

工芸品
17世紀

執筆:
Ribou Marie-Hélène (de)

この「タピスリー」は3点で構成される壁掛けの1点であり、枢機卿フランチェスコ・バルベリーニの注文で、王妃アンヌ・ドートリッシュへの贈物として制作された。本作品は「強い女性」を讃えるものである。デボラの物語は聖書の「士師記」を出典とする。デボラは預言者を務め、エフライムの地を裁いていた。彼女はナフタリ人の長バラクを呼び寄せてイスラエルの人々を迫害するカナン人と戦わせ、勝利へ導いた。

戦いの場面

デボラはバラクに、彼がカナン人の将軍シセラを打ち負かすと預言した。1万人の軍隊を率い、バラクは敵のいるタボル山に向う。聖書の記述では戦いはくどくどと描写されず、ただ次のように述べられている。「主は、シセラとそのすべての戦車、すべての軍勢をバラクの前で混乱させられた。(……) バラクは、敵の戦車と軍勢をハロシェト・ハゴイムまで追いつめた。シセラの軍勢はすべて剣に倒れ、ひとりも残らなかった」(旧約聖書「士師記」第4章15–16節)この場面は戦いのすさまじさを表している。馬上で一際目立つバラクは、槍を振りかざして逃げるカナン人を追撃している。イスラエルの人々は歩兵も騎兵もバラクと共に突撃する。前景では、ひとりが敵と取っ組み合ってその喉を掻き切ろうとしている。

アンヌ・ドートリッシュへの贈り物

枢機卿フランチェスコ・バルベリーニは、この壁掛けを1644年以前に注文した。枢機卿はこの年、ドイツ出身の刺繍工ジギスモント・リベナウアーに、「デボラの物語からの多数の人物と馬のいる戦いの場面を描いた(……)金糸の織物に(……)金糸で装飾を施したことに対して」支払いをしている。1646年にロマネッリがフランスから枢機卿に宛てた手紙で、画家は「王妃の寝室用の作品らしいので、作品制作を続ける」準備ができていると述べている。また1646年4月の日付が入った文書では、作品がフランスに宛てたものだと記されている。バルベリーニ家が教皇の不興を買ったため、フランチェスコ・バルベリーニはフランスにいる弟の枢機卿アントニオ・バルベリーニのもとへ亡命を余儀なくされた。フランチェスコは王妃とマザランに対し、保護してもらったお礼として数々の贈り物をしており、この未完の壁掛けもそのひとつである。この2点はマザラン・コレクションに加わり、1653年の目録に早くも記載されている。おそらく3点目の制作はこのマザランに帰されるだろう。

きわめて贅沢な技法

この壁掛けの布は、マザランの目録には「フィレンツェの無地の金襴」と記されているが、実際は金ラメの織物である。人物は、イタリア語で「スッキ・デルバ」(草本の樹液)と呼ばれる植物性の顔料を用いて褐色の単色画法で描かれ、金銀糸で飾られる。縁取りは金糸で刺繍されている。使われた用語から、この金または銀の織物へ絵画を加える技法がイタリアで盛んに行われていることがわかる。事実フィレンツェの工房は、きわめて高価な織物の生産で中心的な位置を占め、特に当時金襴、銀欄と呼ばれた織物で知られていた。またこの技法は、フランスよりもイタリアで好まれたと思われる。空気の乾燥した南での方が、良い状態で保存されるからである。

出典

- MICHEL Patrick, La Tenture de L’Histoire de Déborah du Louvre. Un rare exemple de « tapisserie de peinture du XVIIe siècle, in La Revue du Louvre et des Musées de France, n°4, 1999, pp.51-71, résumé en anglais p.118, en allemand p.119

作品データ

  • ピエトロ・ダ・コルトーナ(図案)、ジョヴァンニ=フランチェスコ・ロマネッリ(絵画)、ジギスモント・リベナウアー(刺繍)、フィレンツェの工房(金ラメ)

    《デボラの壁掛け》より《シセラとバラクの戦い》

    17世紀前半、1644年5月以前

    マザラン・コレクション

    イタリア、フィレンツェ(ラメ)とローマ(絵画と刺繍)

  • 絹と金のラメの織物に絵画と金銀糸の刺繍

    縦3.84m、横3.50m

  • 王室コレクション

    SN 527

  • 工芸品

    リシュリュー翼
    2階
    スキピオのギャラリー
    展示室20

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月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

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