Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《トルコ風呂》

《トルコ風呂》

© 2007 Musée du Louvre / Angèle Dequier

絵画
フランス絵画

執筆:
De Vergnette François

アングルは晩年に、裸婦のモティーフとオリエントのテーマを結びつけたハーレムの場面を描くことで、最も官能的な作品を生み出した。アングルは、18世紀初頭にイスタンブールで女性専用の浴場を訪れたモンターグ女侯爵が、その時の様子を記した書簡に想を得ている。アラベスク風のうねるような曲線が乱舞するこの作品のために、アングルは以前の作品の中に描いた人物像を再び用いている。アングルの最後の傑作は、画家の死後何年も経ってから、ようやく世に知られるようになる。

夢見られたオリエント

10人ほどの裸体のトルコ人女性が、浴槽の周りのオリエント風の室内の中、ソファーの上に様々な姿勢で座っている。浴槽から出たばかりの多くの浴女は、手足を伸ばしたり、まどろんだりしている。その他の女たちはお喋りをしたり、コーヒーを飲んだりしている。奥では一人の女性が踊っており、前景で後ろ向きに座っている女性は、リュートの一種であるチェグールで音楽を奏でている。この絵の官能性は、とりわけ隣の女性の乳房を惜しみなく撫でている女の、あからさまな仕草によって高められている。こうして、1862年に制作されたこの絵画は、アングルが50年以上も前から好んで描いていた、裸体のモティーフとオリエントのテーマを結びつけたものである。これらの主題は、そもそも《グランド・オダリスク》(ルーヴル美術館)といった幾つかの傑作のインスピレーションの源であったが、アングルは晩年に最も官能的な作品を生み出したのである。ドラクロワとは対照的に、アングルは一度もオリエントを訪れたことがなかった。アングルは、読書や版画に表わされた光景を通して、この地方に思いを巡らしたのである。こうして《トルコ風呂》を制作するに当たって、アングルは、イスタンブールの英国大使の妻であったモンターグ女侯爵の『18世紀トルコの英国大使夫人の書簡』に想を得ている。アングルが多くの部分を取り入れた書簡の一つの中で、大使夫人は女性専用の浴場を訪れた時のことを語っている。

最後の傑作

ハーレムの場面を描いたこの作品を1848年頃にアングルに注文したのは、ナポレオン皇子であった。その後作品は1859年に引き渡されるが、皇妃に不快を与えたために間もなく返却されてしまう。アングルは、1862年という制作年を記入した後でさえも、1863年まで絵に手を加え続けた。この絵は、1905年にサロン・ドートンヌでアングルの回顧展が開かれた折に、ようやく世に知られるようになる。その際作品は、ピカソといった最も革新的な画家たちを魅了したのである。年老いたアングルによる傑作は、主題だけでなくその形式においても斬新なものであると言える。

アラベスクの勝利

《トルコ風呂》は、アングルにおける絵画の探求の到達点であると同時に、1807年からトルコの浴女というテーマで制作された素描と絵画の集大成であると言える。実際に画家は、以前制作した絵画の中の人物像を再び用いており、とりわけ《ヴァルパンソンの浴女》(ルーヴル美術館)に描かれた後ろ向きの女性が、ここでは前景で楽器を持っている。実際にモデルを使って描かれた裸婦は一人もいない。この構図では、奥行きがあるものの判然としない空間の中に、主要な2つの人物群が集められている。前景に描かれた一団では、解剖学的事実や奥行きの効果は犠牲にされ、アラベスク風のうねるような曲線が勝っている。とはいえ、構図からは見事な調和が生まれており、例えば枠の形は絵画の曲線に呼応している。ここでアングルは、彼にとって「神」であったラファエッロの幾つかの絵画のように、トンド(円形画)の円い枠を用いることにした。またアングルは、絵画に冷ややかな光を与え、画面の光を和らげることで、人物像の立体感を抑え、輪郭を際立たせている。

出典

- ROSENBLUM Robert, Ingres, Paris, Cercle d'art, 1968, pp. 170-172.

- TOUSSAINT Hélène, Le Bain turc d'Ingres, catalogue d'exposition, Paris, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1971.

- JAUBERT Alain, "Le Regard captif", in Palettes, Paris, Gallimard, 1998, pp. 159-169.

作品データ

  • ジャン=オーギュスト=ドミニック・アングル(モントーバン、1780年-パリ、1867年)

    《トルコ風呂》

    1862年

  • 板に貼り付けたカンヴァス

    縦1.08 m、横1.10 m

  • 1911年、モーリス・フナイユの賛助により、ルーヴル友の会からの寄贈

    R.F. 1934

  • 絵画

    シュリー翼
    3階
    アングル
    展示室60

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する


作品の補足情報

左下に署名および年記:J. Ingres Pinxt . MDCCCLXII Aetatis LXXXII