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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《トロイアの木馬》

Le cheval de Troie

素描・版画
19世紀

執筆:
Marescalchi Consuelo

ウェルギリウスの『アエネイス』から取られたテーマである、トロイアの木馬をペンと褐色インクで描いたこの素描は、描法の力強さと生き生きとした線によって、おそらくジロデの最も驚くべき作品の一つであろう。実際、ペンの描法こそが、まさにこの素描の主題なのである。なぜなら、線描のエネルギーがこの紙葉を震わせているからである。実のところ、ジロデは、この作品において線の描法を革新している。

隠れていた闖入者たち

このペンと褐色インクで描かれた素描は、ウェルギリウスが『アエネイス』の中で語った、トロイアの町のただ中にギリシアの侵略軍が到来した場面を表わしている。エペオスによって作られた木馬(エペオスの名は、木馬の左前脚に書き込まれている)が、市中に運び込まれ、ギリシア人が隠れていた穴からぞくぞくと出てきたところである。木馬の首からは、最後に兵士が飛び出してきているが、そこにはアテナイの梟が描かれ、侵略者がどこからやって来たのかが表わされている。

古典主義の翳り(かげり)

新古典主義が好んだ詩人はホメロスであり、18世紀末を通じて成功を収めた。しかし、1800年頃に、ホメロスに代わってウェルギリウスがその位置を占めるようになり、ディドは、1798年にウェルギリウスの著作集を出版している。ディドは、ダヴィッドが薦めた若い芸術家たちに挿絵を描かせることにし、その中でもジロデの貢献度は際立っていた。ホメロスからウェルギリウスへ、ギリシアの叙事詩からラテン詩へと、古典主義はその調子を変え、陰鬱さを増していた。なぜなら、『アエネイス』は、何よりもまず敗者の物語だからである。間違いなくフランス革命の時代に似ていたこの不吉な典礼は、騒乱と激昂の交錯するゆっくりとした叙唱であり、それはトロイアの陥落をもって最高潮に達する。

宮殿への侵入

ジロデは、トロイア側から見たエピソードを描くことにした。ジロデは、武具飾で飾られ、ギルランド[花綏(はなづな)](馬を讃える祝祭の暗示)でつながれた、2本の堅固な円柱によって構成された枠組みの中で、場面を展開している。前景に描かれ、プリアモスの宮殿をほのめかすこの建築物と、梯子を登ってギリシア人が侵入しようとしている様は、入り口を侵犯する象徴的な行為を暗示している。敵は、難攻不落の町に攻め入ったのである。さらに言えば、この枠組みは、ジロデがトロイア側に付くという視点を導入している。画面は、トロイア側の城壁から見て描かれている。それゆえ、挿絵画家ジロデが、無気力な護衛を前面に刻銘のようにくっきりと描き出しているのは偶然ではない。この護衛の存在には意味がなく、敗者の運命の悲壮な隠喩となっている。ここでジロデは、線描を革新している。場面の喧騒と襲撃の熱狂を表わすために、線描は、ジロデの筆によって、観念ではなく生の原則となり、動きを生々しく伝える。気紛れで曲がりくねり、常に変化する描線が、大洪水にも似た力強い空間に満ちている。こうした描線は、説明よりも描写を目指し、概念より効果を重視するのである。

出典

- BERNIER Goerges, Anne-Louis Girodet, 1767-1824, Prix de Rome 1789, Paris, Bruxelles, 1975, pp. 177-178, repr.

- BONNEFOIT Régine, Largesse, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1994, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1994, n 38.

- BOUCHER Henri, "Girodet illustrateur. A propos des dessins inédits de l'Énéide", in Gazette des beaux-arts, novembre 1930, pp. 304-319.

- MICHEL Régis, Le Beau idéal ou l'art du concept, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1989, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1989, pp. 67-69, 153, n 40, repr.

作品データ

  • アンヌ=ルイ・ジロデ・ド・ルシー=トリオゾン(モンタルジ、1767年-パリ、1824年)

    《トロイアの木馬》

    1810-1811年と1824年の間

  • ペンと褐色インク、褐色の淡彩

    縦36.9 cm、横32 cm

  • A. C.パヌティエ・コレクション。ラ・ボルド・コレクション、1867年4月15日にパリで競売(23番)。フィルマン=ディド家、1971年11月17日にパリのオテル・ドルーオで競売(15番)、この競売の際に購入

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

木馬にギリシア語でペンによる書き込み:(首に)Atenaios(左脚に)Epeos