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作品 《ドミニコ修道会8聖人の崇拝を受ける十字架のキリスト》

絵画部門 : フランドル絵画

《ドミニコ修道会8聖人の崇拝を受ける十字架のキリスト》

© 2001 RMN / Hervé Lewandowski

絵画
フランドル絵画

執筆:
Collange Adeline

アドリアーン・ロメリン(1616年頃‐1673年以降)の版画作品のモデルとして用いられたグリザイユの技法で描かれた作品で1652年に制作され、アントワープの新司教となったドミニコ修道会のアンブロシウス・カペロに奉納された。描かれている聖人たちの生涯によって、賢明な教義、聖母マリアの熱情、勇気、純潔な信仰心、司教職に対する熱意、宣教における公正さ、慈悲と分別といった司教に望まれる要素が体現されており、これら全てが十字架の印、Verbum Cruci(十字架の言葉)の下に配されている。

版画の下絵としての作品

ファン・ディーペンベークは書籍の挿絵や版画作品のために多数の草案を制作しており、この習作も光と影の演出を直接版画家に支持するために主に白黒を用いて描かれている。この絵画作品を基に1652年にアドリアーン・ロメリンによって版画が制作された後、40部ほど印刷され、そこにはラテン語の記載、すなわち献呈の辞が記されている。作品の注文はアントウェルペンのドミニコ修道会から出され、旧修道院院長マリウス=アンブロシウス・カペロに奉納された。アントウェルペンに居住するイタリア貴族出身であったこの旧修道院長は、イーペルの司教に昇進したところであった。その数年後、1654‐1676年に、彼はアントウェルペンの7代目司教となる。修道士が、司教に十字架の下に集うドミニコ修道会の8聖人による徳を立証しようと希望したのである。聖人たちは全員、小天使が掲げる巻物にラテン語で書かれた「わたしたちは、十字架につけられたキリストを宣べ伝えています」というVerbum Crucis(十字架の言葉)を言明している。

ドミニコ修道会の図像学

各々に属する象徴で素性が明らかにされている聖人たちは、司教としてカペロが模範とすべき特性を表現している。聖霊の鳩から直接感化を受けてまさに字を綴ろうとしている聖トマス・アクィナスは教義の賢明さを、クラクフの聖ヒアキントゥスは聖母の像を見せながら聖母マリアの熱情を、短刀と短剣による拷問を受けた後に死刑に処されたヴェローナの聖ピエトロは言うまでもなく勇気を象徴している。荊冠を戴き聖痕を受けたシエナの聖カタリ−ナは純潔な信仰心の象徴、聖母マリアの清純の百合を手にした聖ドミニコは司教の熱意を体現している。彼の名前domini canis、すなわち主の犬は、彼の足下にいる白黒の犬の存在を説明している。最後の審判を喚起するために空を指さす聖ビンセンチオ・フェレルからは、宣教者としての熱意を感じずにはいられない(小さな子供は、聖人の起こした神秘的な治癒を暗示している)。カトリックにおける秘跡と悔悛の神学者であるペニャフォルの聖ライムンドは、用心と公正さの模範である。最後にフィレンツェ大司教であった聖アントニーノは、公正な分別と同時に慈悲を象徴している。彼のもつ秤はDeo Gratias(神よ感謝します)と書かれた紙(版画作品の中でのみ判読できる)が載っている方に傾き、私利私欲に埋もれた農民から捧げられた果実より重いことを示している。

色彩のバリエーション

こうしてファン・ディーペンベークは版画家の制作を容易にするためのグリザイユを用いた原作を制作したわけだが、色彩の繊細な変化が見事なこの作品を単なる習作とみなすことは出来ない。天上界の薄紫がかった灰色は、聖人たちのいる地上界の茶色や金色と対比を成し、枯れた木の冷たい灰色は十字架の生命を抱いた木の暖かい茶色と対照的である。たっぷりとした手法であると同時に軽く振動するラインを用いるファン・ディーペンベークによる作品は、ルーベンスの1630年代の作品を最も巧みに模倣出来る画家と彼を鳴らしめたのである。

出典

- FOUCART Jacques, "Le Christ en croix adoré par divers saints dominicains par Abraham Van Diepenbeeck" Tableau du mois, novembre 2001.

- FOUCART Jacques, "Acquisitions", in La Revue du Louvre, 2001, n 5, p. 82.

作品データ

  • アブラハム・ファン・ディーペンベーク(スヘルトゲンボス、1596年‐アントウェルペン、1675年)

    《ドミニコ修道会8聖人の崇拝を受ける十字架のキリスト》

    1652年

  • 縦68cm、横48cm

  • 2001年、アンヌ=マリー・グリマルディ女史の遺贈に際するルーヴル友の会による取得。

    R.F. 2001-2

  • 絵画

    リシュリュー翼
    3階
    ルーベンスと17世紀のフランドル絵画
    展示室17

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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