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作品 《ハールレムの聖バヴォ教会内陣と架空の司教の墓》

絵画部門 : オランダ絵画

《ハールレムの聖バヴォ教会内陣と架空の司教の墓》

© 2005 RMN / Franck Raux

絵画
オランダ絵画

執筆:
Collange Adeline

南側周歩廊を眺める北側からの光景。奥にはブレーウェル礼拝堂が見える。画家の空想により描かれた司教の墓はおそらく、カルヴァン派宗教改革を経たにもかかわらず、カトリシスムとハールレム司教区の存続を明示するために置かれているに違いない(ある司教の死後の威光を讃えているラテン語の銘を参照)。カトリック教徒の依頼人のために描かれた作品だと思われるが、いずれにせよ画家が聖バヴォ教会をモチーフとして頻繁に用いた最も古い作品群のひとつ(知られている最初の作品は1628年制作)であることは確かである。

測量技師の画家

オランダ教会の「肖像画家」であるピーテル・ヤンス・サーンレダムは、この作品の中で「フローテ・ケルク・デ・ハールレム」、すなわち聖バヴォのゴチック教会を描いている。画面は教会内部の横断面を内陣から眺めた描写である。三つの大きなアーチが周歩廊の南側に面している。右奥では、柔らかな光が醸造業組合の脇聖堂を照らし出している。建築物を描いた絵画は数十年来発達してきているだけに、教会内部を描いた画家もサーンレダムが最初ではない。しかしながら、先人たちの幻想的芸術とは異なり、サーンレダムの描く光景は厳密な正確さによってその場所を描き出している。サーンレダムはまさしく画家であると同時に測量技師であり、実際、サン・バヴォ教会の再測量を他の測量士と協力して行っている。いつものサーンレダムの手法通り、この作品のためにも2点の習作が描かれている。現場で一気に描かれた鉛筆による最初のデッサンは構図を定めており、コンパスと定規を用いて鉛芯で描かれた二つ目のデッサンは、遠近法が厳密に適用されている。

ローマ教会への控えめな従属

一方でサーンレダムは現実世界を自由に解釈している。例えば左側の塞がったアーチや、跪(ひざまず)く司教の彫像のある巨大な墓は、完全に画家による創作である。墓の上には、次のように訳されるラテン語の銘が近代的な書体で書かれている。「司教を司教たらしめるのはその冠と杖ではなく教義の真理および成聖であり、永遠の栄光によって司教は死後も生かされ続ける」。すなわち作品は、公的な権力を失いつつも(司教冠と司牧杖の欠如)、使徒らを継承するに相応しい者として神への信仰を守り続けるオランダの司教たちの徳を讚えているのだ。これらの加筆はおそらく、宗教改革後もなお数多く残っていた、注文主であるハールレムのカトリック共同体の一員の希望に応えたものだろう。

「白く輝く教会の画家」

作品はサーンレダムの「白く輝く教会の画家」の異名にふさわしい特徴を示している。聖バヴォ教会はこの画家が最も好んだモチーフで、30点近い素描と12点あまりの絵画が制作されている。画家は薄い上塗りを用いて大気の透明感や大理石の石目の繊細さに優美な変化をもたらしている。その洗練された彩色は、灰色と非常に薄い金色の色調でゆらめき、純白の建築物の上に柔らかな光を放っている。全体はほとんど単色に近く、冥想に適した空間と静寂の印象をもたらしている。抽象的と言ってもよいほどの詩情をもった、純化された垂直線のリズムが、驚くほど近代的な響きを我々の眼の前に描き出している。

出典

- RUURS Rob, "Un Tableau de Pieter Saenredam (1597-1665) au Louvre : intérieur de l'église Saint-Bavon à Haarlem", in La Revue du Louvre, 1988, 1, p. 39-42.

- FOUCART Jacques (dir.),  Nouvelles acquisitions du département des peintures : 1983-1986, , Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1987, p. 93-95.

作品データ

  • ピーテル・ヤンス・サーンレダム(1597‐1665年)

    《ハールレムの聖バヴォ教会内陣と架空の司教の墓》

    1630年

  • 木、油彩 

    縦41cm、横37cm

  • 1983年、ロンドンの美術品売り立て(スピールマン、ハラリ、ジョーンズ)にて取得。

    R.F. 1983-100

  • 絵画

    リシュリュー翼
    3階
    オランダ 17世紀前半
    展示室29

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

銘:P. SAENRED. FE ANO 1630. (S.D.B.D.)墓の上、左側に金文字の銘あり:DOCTRINA VERA, ET SANCTITAS/NON MILTRA NEC PEDUM NOTANT/EPISCOPUM, QUEM GLORIA/AETERNA POSTMORTE