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《フォンテーヌブローのニンフ》

© 2008 Musée du Louvre / Pierre Philibert

彫刻
イタリア

執筆:
Montalbetti Valérie

ベンヴェヌート・チェッリーニは、波瀾に満ちた人生を送った有名なイタリア人金属工芸家であるが、ルネッサンスの高貴な文芸擁護者であるフランソワ1世の注文でモニュメンタルな鋳造作品を制作した。森の世界の自然主義的で叙述的な喚起と共に、この長く柔軟に伸びた裸体の中に正に女性美讃歌を彫りあげる。

チェッリーニ初の大型鋳造

ベンヴェヌート・チェッリーニは1540年から1545年にかけてフランソワ1世の宮廷でフランスでの2度目の滞在をする。王は彼に、フォンテーヌブロー宮の正面入り口である「金色の扉」の装飾を注文する。アーティストは、タンパンに嵌め込む半円形のブロンズ製の巨大な浮彫り《フォンテーヌブローのニンフ》を構想した。王と彫刻家の関係が悪化し、チェッリーニは1545年にフランスを離れた。1547年に王が亡くなり、作品は設置されなかった。結局フィリベール・ドロルムが、アンリ2世の愛妾のディアーヌ・ド・ポワティエの為に建てたアネット城の門の上部に設置した。作品はチェッリーニの彫刻への確固とした方向転換を示す。フィレンツエに戻ったアーティストはモニュメンタルな鋳造作品《ペルセウス》(フィレンツェ、バルジェッロ)を完成させた。
《ニンフ》はアーティストにとって初めての大型ブロンズ像である。鑞型鋳造で複数部分を制作し、あとで組み立てた。アーティストは失敗しかかったこの鋳造の顛末を、詳細と共に述懐している。上塗りと彫金はフランス人彫刻家達に任せるが、其の中の一人がピエール・ボンタンである。しかしチェッリーニ独特の個性が表れ、下唇の中央に折れ曲りのある明瞭な線で描かれた口元、拡大した瞳孔、まぶたのデッサン、眉毛を表す短い筋の入った眉のカーヴにそれが見られる

直ぐ転換された巧妙な図像

浮彫りは、フランソワ1世のギャラリーの中央を占めるロッソのフレスコ画(破壊、版画により知られる)の図像を採用している。このフレスコ画はフォンテーヌブローで名前の由来と成った伝説を表す。狩猟の最中にブリオという名の王室狩猟犬が泉を発見した。これが「ブリオの泉」である。ギリシア・ローマ美術の中で見られる様に、泉は水瓶に肘をつくニンフによって擬人化される。チェッリーニはこの構図をもっと豊かにし、森を表す多数の動物を加える。ニンフはフランソワ1世のエンブレムの一つである鹿の首に手を回し、君主を迎える地であることの喜びを表す。
この構図の狩猟的性格から、アネット城では、ニンフは難なく狩猟の女神で城主の詩的モデルであるディアナになった。革命期、鹿は狩猟の封建主義的権利の象徴とみなされ一部破壊された。

理想と自然

チェッリーニは、マニエリスムのカノンに従い、すらりと引き締まった柔軟な体を彫る。極端に伸びた体は、装飾性への配慮からこの半円形パネルの空間にぴったりと適応する。顔には古代彫刻の厳格な美しさがあるが、この様式化された裸体には官能性が溢れる。肉体の滑らかな肉付けは布襞の詰まった平行したプリーツや水の渦巻きにより強調され、動物の毛とはコントラストを成す。
彫刻家は、女性像の理想化とは正反対に自然主義感覚で動物を表現しており、イノシシの毛深い剛毛、ノロの短い毛や犬の個性的特徴等にそれが見られる。

出典

-  GRODECKI Catherine, "Le séjour de Benvenuto Cellini à l'hôtel de Nesle et la fonte de la Nymphe de Fontainebleau d'après les actes des notaires parisiens", et PRESSOUYRE Sylvia , "Note additionnelle", in Bulletin de la Société de l'histoire de Paris et de l'Île-de-France, 98e année, 1971.

- POPE-HENNESSY John, Benvenuto Cellini, Paris, 1985, pp. 133-146.

- SCAILLIEREZ Cécile, François Ier et ses artistes, Paris, 1992, n 61, pp. 138-139.

- JESTAZ Bertrand, Benvenuto Cellini à la cour de France (1540-1545),  Bibliothèque de l'École des Chartes, janvier-juin 2003, t. 161.

作品データ

  • ベンヴェヌート・チェッリーニ(フィレンツェ、1500—1572年)

    《フォンテーヌブローのニンフ》

    1542—1572年

    フォンテーヌブロー宮の金の扉の為に1542—1543年制作(現地未設置)。フィリベール・ドロルムにより1551年から1555年の間にアネット城入り口扉上部に設置、革命期まで在留。

  • ブロンズ

    高さ2.05m、幅4.09m

  • 革命期解体、1797年ルーヴル美術館の前身の博物館に付与、1811年修復、1849年までカリアティドの間を装飾、モリアンの階段への移転の際アントワーヌ・バリーの鋳型制作品に代えられる。

    M.R. 1706

  • 彫刻

    ドゥノン翼
    1階
    王室コレクションのイタリア彫刻
    モリアンの階段

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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