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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《フュリスとアリストテレス》

Phyllis assise sur le dos d'Aristote qui marche à quatre pattes

素描・版画
16世紀

執筆:
Grollemund Hélène

1503年作とされるこの素描は、今日残されているものの中では、確実にバルドゥングの手になると思われる最初の作品群に含めることができる。おそらくこの作品は、作者がニュルンベルクへ赴いてデューラーのアトリエに入門した頃に描かれたものであろう。女の尻に敷かれた哲学者のテーマは、中世に小話の題材となり、細密画や象牙細工などによく表わされた。この素描の要は、興趣あふれる写実的な表現、闊達で伸び伸びとした風景描写にある。

知性に対する誘惑

このできる限り写実的に見せようとして描かれた風景の中の諷刺的場面は、当時流行の服に身を包んだ美しい遊女が、四つんばいにさせられたアリストテレスの背の上に横乗りになり、強圧的な鞭の脅しでこの哲学者を屈従させている様を描いている。左には、ドイツの城塞の銃眼を備えた城壁と塔が建っている。フュリスとアリストテレスの寓話の主題は、13世紀の聖職者ジャック・ド・ヴィトリの作品にその起源を求めることができる。ライン上流地方とバイエルン地方の間を発祥の地とする15世紀の喜劇『アリストテレス先生物語』がよく示しているように、ライン流域諸邦はこの主題を採り入れた。16世紀にきわめて喜ばれたこの主題は、男性的知性に対する女性の誘惑の支配を表わしている。バルドゥングの構想はこの伝統に基づくものであり、その揶揄と滑稽味への好みがこの素描にかなりはっきりと表現されているのが窺われる。

すでに確かな筆致

明確な構想をもとに、作者は人物像に注意を傾け、自ら楽しみながら、それを生き生きと描き出している。バルドゥングのペンの運びは正確で抑制されており、1494年から1500年にかけてのデューラーの描法にきわめて近いが、元々波打っているその描線のリズムをバルドゥングはさらに引き伸ばしたり、柔らか味を与えたりしている。バルドゥングは輪郭をはっきりと定め、フュリスのスカートのひだの窪みを「冠状に」配置し、部分によっては立体感を与えるために並行にハッチングを施している。バルドゥングの初期の作風を示すもう一つの素描、1504年から1506年頃の作の《風景の中の聖カタリナ》(バーゼル、銅版画室)は、同様の秩序に基づいたリズミカルな構図を採り入れている。すなわちそこでは、中央には集団あるいは人物像、左には城塞が垣間見え、右の木立の後ろには素早く描かれた事物が並ぶ地平線が望まれる。その描法は、バルドゥングのこの時期の多くの素描や版画に見られる通りである。

ニュルンベルクとデューラー

この素描はバルドゥングの素描作品全体のなかでも重要な位置を占めている。署名されていないとは言え、他の二つの素描、すなわち、モデナの《歩兵と死神》(エステ家美術館)、およびロンドンのシリング・コレクション中の《三日月の上の聖母子》と同様、今日残されているもののなかでは、確実にバルドゥングの作と思われる最初の作品群に入る。1503年作とされるこの素描は、同年にバルドゥングがデューラーのアトリエに入門する前に描かれたのかもしれないが、その作風が示しているのは、バルドゥングがデューラーの素描作品をすでに知っていたに違いないということである。いずれにせよ、その個性は、ふくよかで肉感的な女性像の描き方、そして巧みなハッチングのあやにすでに見て取ることができる。十年後、デューラーの影響を脱したバルドゥングは、木版画の中でこのテーマを再び取り上げることになるが、そこでは、描く光景を直接眼にしながら、そのきわめて独自性と諷刺に富んだ見方をはっきり示すことによって、自己自身を描き出すことになるのである。

出典

- CALVET Arlette, Le XVIe Siècle européen, dessins du Louvre, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1965, notice 53.

- SÖDING Ulrich, "Hans Baldung Grien in Freiburg : Themenwahl und Stilentwicklung", cat. exp. Hans Baldung Grien in Freiburg, Fribourg-en-Brisgau, Augustinermuseum, 2000-2001, pp. 67-68.

- STARCKY Emmanuel, Dessins de Dürer et de la Renaissance germanique dans les collections publiques parisiennes, LXXXXVIIIe exposition du Cabinet des dessins, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1991-1992, notice 126.

- VIATTE Françoise, Il Paesaggio nel Disegno del Cinquecento Europeo, cat. exp. Rome, Villa Médicis, Académie de France à Rome, 1972-1973, notice 21.

作品データ

  • ハンス・バルドゥング、通称バルドゥング・グリーン(シュヴェービッシュ・グミュント ? 1484-85年-シュトラースブルク、1545年)

    《フュリスとアリストテレス》

    1503年

  • ペンおよび黒インク

    縦28.1 cm、横20.2 cm

  • 旧王室コレクション

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

中央下の、切り株の部分にペンおよび黒インクで年記あり:1503年