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作品 《フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻、リーザ・ゲラルディーニの肖像》

絵画部門 : イタリア絵画

《フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻、リーザ・ゲラルディーニの肖像》

© RMN-Grand Palais (musée du Louvre) / Michel Urtado

絵画
イタリア絵画

執筆:
Scailliérez Cécile

この肖像画はおそらくフィレンツェで1503-1506年の間に制作されたものと思われる。作品はフィレンツェの織物商人フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻、リーザ・ゲラルディーニの肖像であると考えられており、苗字の女性形ジョコンダが作品の「異名」の由来であり、それをフランス語化したものが「ジョコンド」である。《ラ・ジョコンド》は、作品の依頼主には引き渡されなかったものと思われる。レオナルドは作品をフランスまで持ち運び、彼の弟子で後継者でもあったサライがイタリアに一度持ち帰っている。その後作品がどのようにしてフランソワ1世のコレクションに入ったのかは不明のままである。

リーザ・ゲラルディーニ、デル・ジョコンドの妻

《モナ・リザ》の歴史は未だ闇に包まれている。モデルの素性、肖像画の発注、レオナルドが制作にかけた時間、さらには画家が作品を保有していた期間、そしてフランス王室コレクションに収蔵された経緯、これら全てが未だ明らかになっていない事柄である。
フランチェスコ・デル・ジョコンドとリーザ・ゲラルディーニの夫婦関係における二つの出来事が、この肖像画の制作のきっかけとなったと考えられる。一つは、1503年に自宅を手に入れたことと、もう一つは、1502年12月に二人目の息子アンドレアが生まれたことで、このアンドレアの誕生は1499年に娘の一人を亡くした悲しみの埋め合わせとなるものであった。髪を覆う暗色の薄いヴェールは、時には喪のしるしとされる服装であるが、実際には平時にも用いられ、貞節な品行の象徴であった。ドレスの黄色い袖、皺のよったブラウス、肩の上で繊細な襞をなすショールといった衣服の要素のどれを取っても、注目すべき点や特別な意味は見られない。ここには貴族階級を示す要素は何も存在していないのである。

新様式

《モナ・リザ》に先立つイタリア肖像画には、この作品ほどゆったりとした枠取りでモデルの半身像全体を捉えたものは存在しない。しかも腕や手は枠にぶつかることなく収まり、この構築された空間内にこれほど自然に鎮座して、丸彫りのような彫塑性を獲得しているものはないのである。腰まで描かれたモナ・リザは、椅子に腰掛けており、小柱で支えられた椅子の肘掛は彼女の左腕を支えている。モナ・リザはロッジア(吹き放しの廊下)の前に配されているが、ロッジアの存在は彼女がもたれかかる欄干および、その肖像を間に閉じ込めて風景に面した「窓」を形作っている小円柱の二つの断片によって示唆されている。入念に作り上げられた様式の完成度は、この作品が16世紀初頭のフィレンツェとロンバルディアの肖像画芸術の系譜に直接連なっていることを示している。風景を背にした斜め前からの配置、建築風の枠組み、前景で合わされた両手は、15世紀後半のフランドル肖像画において、なかでもメムリンクによって活用されているが、ここに見られるような空間の一貫性、ぼかされた空気による遠近感、その荘重さ、その均衡は、フランドル肖像画には存在しないものである。もっとも、このことは、かつてこれほどの抑制された威厳をもった肖像画を描いたことのなかったレオナルド自身についても言えることである。

象徴的微笑

描かれているモデルの微笑は彼女の「アトリビュート(持物)」となっている。ネズの木の枝がジネヴラ・ベンチ(ワシントン)の、白テンがチェチリア・ガッレラーニ(クラクフ)のものであるように、微笑みはリーザ・デル・ジョコンドのものであり、それは「ジョコンダ」という語の中にも含まれている幸福の観念を写し出している。レオナルドはこの観念をその肖像画の本質的なモチーフとしており、それがこの作品のもつ理念的な意味合いの理由となっているのである。風景のもつ特徴もそこに寄与している。モナ・リザの胸元と一致する背景の中線の高さ、暖色調の色合い、そして蛇行する道と橋があることから人間の存在が感じられる風景は、モデルのいる空間との移行を可能にしている。一方、背景においては、風景が厳然たる岩と水でできた生(き)のままの自然の光景へと変化しながら、レオナルドが賢明にも視線と一致させた水平線のあたりへと消え入っている。

出典

- ARASSE Daniel, Léonard de Vinci,  Éditions Hazan, Paris,1997.

- BEGUIN Sylvie (sous la dir. de), Musée du Louvre. Hommage à Léonard de Vinci, catalogue de l'exposition, Éditions des Musées nationaux, Paris, 1952.

- BEGUIN Sylvie,  Léonard de Vinci au Louvre,  Éditions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1983.

- CLARK Kenneth, Léonard de Vinci, Éditions Le Livre de poche, Paris, 1967.

- CHASTEL André, L'illustre incomprise. Mona Lisa, collection "Art et Écrivain", Éditions Gallimard, Paris, 1988.

- CHASTEL André, Léonard de Vinci, Traité de la peinture, Éditions Calmann-Lévy, Paris, 2003.

- KEMP Martin, Leonardo Da Vinci : the marvelous Works of Nature and Man, Cambridge Mass. : Harvard University Press, 1981.

- MARANI Pietro C., Léonard de Vinci,  Éditions Gallimard-Electa, Paris, 1996.

- SCALLIEREZ Cécile, La Joconde, collection "Solo", Éditions de la Réunion des musées nationaux,  Paris, 2003, n°24. 

- ZÖLLNER Frank, Leonardo da Vinci, Mona Lisa, Das Portrât der Lisa del Giocondo, Legende und geschichte, Francfort, 1994.

- ZÖLLNER Frank, NATHAN Johannes (sous la dir. de), Léonard de Vinci, 1452-1519 : tout l'oeuvre peint et graphique, Cologne, Londres, Paris, Éditions Taschen, 2003.

作品データ

  • レオナルド・ディ・セル・ピエーロ・ダ・ヴィンチ、通称レオナルド・ダ・ヴィンチ(ヴィンチ、1452年-アンボワーズ、1519年)

    《フランチェスコ・デル・ジョコンドの妻、リーザ・ゲラルディーニの肖像》

    1503-1506年

  • 木(ポプラ材)に油彩

    縦77cm、横53cm

  • 1518年フランソワ1世によって取得

    通称《モナ・リザ》、《ラ・ジョコンダ》もしくは《ラ・ジョコンド》

    INV. 779

  • 絵画

    ドゥノン翼
    2階
    国家の間
    展示室6

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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