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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《ブラック家の祭壇画》

《ブラック家の祭壇画》

© 2001 RMN / René-Gabriel Ojéda

絵画
フランドル絵画

執筆:
Kazerouni Guillaume

個人の携帯用に制作された祭壇画。裏側に描かれた物質的で死を連想させる描写(骸骨、十字架、ブラック家およびブラバン家の紋章(ジャン・ブラックは1452年に死去しているため))は、表面の楽園的な光景と対比を成しており、そこではマリアと福音家聖ヨハネの間の輝かしい贖い主キリストが、祭壇画全体を統一している魅惑的な風景の上に正面観で聖画像と同様の配列順に描かれている。左面には洗礼者ヨハネが、右面にはマグダラのマリアが描かれている。

個人が使用するための記念的作品

ここに紹介する作品は開かれた状態の三連祭壇画で、中央部には聖母と福音史家聖ヨハネに囲まれたキリスト、左面には洗礼者ヨハネとその奥にキリストの洗礼の場面、右面には膏薬の壺を持ったマグダラのマリアが描かれている。キリストは正面観で、その他の者たちはキリストに向かった形で描かれている。裏面にはトゥルネーのジャン・ブラックとカトリーヌ・ド・ブラバンの紋章、月日に侵食された煉瓦の上にもたせ掛けられた頭蓋骨と、死に関する記載が記された十字架が描かれている。これらのモチーフの全てが、作品にもたらされた記念碑的な要素に関連している。三連祭壇画は通常閉じた状態でケースに収納されており、作品の本来の枠が未だ保存されている。作品はおそらく1452年に亡くなった彼女の夫の記念の品として1451‐1452年頃にカトリーヌ・ド・ブラバンのために制作されたものと思われる。この仮説は、ジャン・ブラック(彼と同様の名を持つ二人の聖人の姿)と彼の死(裏面に描かれている頭蓋骨の上の紋章)の周囲で明白に組み立てられている一連の図像学からもその信憑性が説明できる。彼の妻の紋章の側に配された十字架に記された記載は、幸福な人間に突然訪れた死の苦しみを象徴している。マグダラのマリアが描かれた面は、おそらくカトリーヌ・ド・ブラバンに捧げられているのだろう。裏面に描かれた十字架までもが、彼女の紋章から引用されており、聖女の涙は、夫を亡くしたことによる苦しみを想起していると思われる。彼女は1499年に亡くなるが、二度目の結婚をしていたにもかかわらず、遺体は最初の夫の側に葬られている。

ファン・エイクの影響

聖人たちは聖画像のように半身像で、彼らに奥行きを与えながら三つのパネルを統一している風景の前に描かれている。伝統的な金色の背景を、ファン・エイクの作品をモデルにした全景を見晴らせる風景画に置き換えることによって、図像学を含む聖画像のような作品に全く新しい一面をもたらしている。数年後のイタリアでは、フランドル画家たちの影響を受けてこのような風景を背景に描いた作風が用いられるようになる。人物像は本来の聖人肖像画のように扱われている。外側にあたる裏面には、memento mori(メメント・モリ、死を忘れるな)のように、人類の条件と生命の儚さへの忠告が描かれている。人物像の上でたなびく記載は同様に、贖罪というテーマが支配する作品の意義に重点が置かれるよう寄与している。十字架が載った地球儀を手にしたキリストは、「Salvator Mundi(世の救済者)」としての姿で描かれている。

光の役割

作品の中で光は全体の統一性および人物像と風景の構成をもたらす重要な役割を担っている。影の形から、光はおそらくキリストが手にする地球儀に反射して映っている窓という左側の外の光源から入り込んでいると思われる。光は色彩を震わせ、人物像にボリューム感をもたらしている。同時に、窓の存在は家庭で使用されていた作品のもつ個人的な役割にも関連している。

作品データ

  • ロヒール・ファン・デル・ウェイデン(トゥルネー、1399/1400年‐ブリュッセル、1464年)

    《ブラック家の祭壇画》

    1452年頃

  • 板、油彩

    縦40cm、横60cm

  • パリ出身トゥルネーに居住し、1450‐1451年に結婚したジャン・ブラックとその妻カトリーヌ・ド・ブラバンのために制作。1913年パリ、画商Fr.クラインベルジェから取得。

    R.F. 2063

  • 絵画

    リシュリュー翼
    3階
    ネーデルラント 15世紀 ヤン・ファン・エイク、ロヒール・ファン・デル・ウェイデン
    展示室4

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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