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作品 《プシュケを持ち上げるメルクリウス》

彫刻部門 : 北ヨーロッパ

《プシュケを持ち上げるメルクリウス》

© Musée du Louvre/P. Philibert

彫刻
北ヨーロッパ

執筆:
Montalbetti Valérie

メルクリウスはオリュンポスに連れて行く為にプシュケを空へ持ち上げる。数々の至難を乗り越え、此処でとうとうプシュケは恋人のクピドと結ばれ不死を得る。アドリアーン・デ・フリースはモニュメンタルで巧妙なブロンズ像を制作する。その大胆な均衡と渦巻く螺旋が飛翔感を与え、彫刻の周りを回る様に鑑賞者を誘い込む。

ルドルフ2世の宮廷

16世紀と17世紀の境目で、ドイツ人皇帝ルドルフ2世(1552—1612年)は天文学者(ティホ・ブラヘ等)や作家やアーティストを擁護することにより、首都プラハを文化の中心地とした。画家のバルトロメウス・スプランヘル(ルーヴル所蔵《正義と賢明の寓意》)や彫刻家のアドリアーン・デ・フリースのようなフランドル地方出身の数多くのマニエリストのアーティスト惹き付けた。後者はオランダ人で、フィレンツェではジャン・ド・ボローニュの優れた弟子だった。1593年にプラハで、《メルクリウスとプシュケ》と《アモル達に運ばれるプシュケ》(ストックホルム)のモニュメンタルな2つの傑作を鋳造した。

プシュケの神格化

プシュケの美しさに嫉妬する女神のヴィーナスは、ただの人間が息子のクピドと結ばれることに腹を立て、この若い娘に一連の試練を科したが、プシュケはそれをくりぬけた。ユピテルは彼女に不死を与え、ヴィーナスも彼女を許した。使者のメルクリウスはプシュケをオリュンポスの山へ運んできた。ここでプシュケは恋人と結ばれた。この話は、ラテン語作家アプレウス(125−170年頃)によって『黄金のロバ』の中で語られている。
メルクリウスは踵に小翼、そしてペタソス(小翼付き兜)をつけているので問題なくそれとわかる。ストックホルムにある群像のように、プシュケは優雅に壷を持ち上げている。この壷は、プシュケが美の香油を少々プロセルピナからもらう為地獄で危険を冒す逸話を暗示している。
プラハの宮廷の知的環境を考慮にいれると、この彫刻の寓意を無視することはできない。メルクリウスとプシュケは、「芸術」と「天才」という二つの概念を擬人化している。群像はこのように「芸術」が「天才」を育て不死身(神)になるということを意味するのであろう。これは自分の作品の価値に対しての彫刻の誇り高い確信である。

マニエリスム

アドリアーン・デ・フリースは彫刻の境界を斥け、自分の師を超えようするかのようである。ジャン・ド・ポローニュ作《飛翔するメルクリウス》(一作品はルーヴル)の重心に挑む大胆な均衡を採用している。神の使いの足だけがまだ地面に着いているように見える。実際は、二つの体の間に落ちる布が軽やかさを失う事無くこの群像の支えとなっている。彫刻家は「体の結び目」を作り、その流動的で波打つ線が上向きの螺旋を成し、空中への上昇感をもたらす。ジャン・ド・ボローニュ作《サビナの女達の略奪》(フィレンツェ、ロッジア・デイ・ランツィ)同様、一視点を優遇するのではなく、様々な視点を提供するこの群像は鑑賞者を像の周りを巡回するように誘い込む。すらりとした体、引き締まった滑らかな肉付け、極端に伸びた手にほっそりとした指、姿勢の優雅さ、動きの活力は、ヨーロッパのフィレンツェ、フォンテーヌブロー又はプラハで広まるマニエリスムの特徴である。

出典

- Le Baroque en Bohême, catalogue d'exposition, Paris, Grand Palais, 1981, p.50.

- BRESC G. et PINGEOT A., Sculptures des jardins du Louvre, du Carrousel et des Tuileries (II), Paris, 1986, p.165.

- Adrien de Vries (1556-1626), catalogue d'exposition, Rijksmuseum Amsterdam, Nationalmuseum Stockholm, The Jean Paul Getty museum Los Angeles, 1999, n 3, p.109.

- Praga magica 1600 : L'art à Prague au temps de Rodolphe II, catalogue d'exposition, Dijon, Musée Magnin, 2002, notamment p.68.

作品データ

  • Adriaen de Vries

    《プシュケを持ち上げるメルクリウス》

    1593年

    プラハ

  • ブロンズ

    高さ2.15m、幅0.92m、奥行き0.72m

  • 1850年後ルーヴルへ持ち込まれ、1876年8月2日チュイルリー設置。恐らく1877年にルーヴル所蔵。

    M.R. 3270

  • 彫刻

    ドゥノン翼
    1階
    ギャラリー・ミケランジェロ
    展示室4

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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