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作品 《ヘラクレスの棍棒で弓を作るクピド》

彫刻部門 : 17-18世紀のフランス

《ヘラクレスの棍棒で弓を作るクピド》

© Musée du Louvre/P. Philibert

彫刻
17-18世紀のフランス

執筆:
Montalbetti Valérie

エドム・ブーシャルドンの作品は、ヘラクレスに悪戯をする、既に少年姿のクピド(アモル、愛の神)を表す。神の顔はこの悪戯に満悦の様子。しなやかな線と螺旋を描く体の動きが鑑賞者を彫刻の周りを巡るように誘う。彫刻家はまったく理想化をすることなく、少年の裸体の人体解剖学に基づく真実を追求し、この大胆な作品はその陳腐さをして人々にショックを与えた。

生きたモデルを使っての綿密な制作

もう少年姿のクピドは、軍神マルスからは武器を、英雄ヘラクレスからは棍棒を盗んだ。この恐ろしい二神から武器を奪い得意気なクピドは、悪戯っぽく笑い、弾力性を試しながら棍棒で弓を作る。ブーシャルドンは、テラコッタ像を1739年のサロンに出展し、1740年には王室建築監査官フィリップ・オリーから制作注文を受ける。グルネルの噴水彫刻制作に追われていたため、仕事にとりかかったのはやっと1745年になってからである。自然な外観を与えようと、生きたモデルを使っての習作を繰返した。石膏像は1746年のサロンに展示された。1747年7月から1750年5月まで、大理石像に専念し、通常手伝いに任せるヤスリ磨きと最後の磨き仕上げまで自ら行った。彫刻家はその仕事に見合う報酬を請求し、2万1千リーヴルという法外な額を受け取った。

大胆な自然主義的仕上げ

ブーシャルドンは、古代とルネッサンスとをモデルの自然な仕上げの中に両立させる大胆な作品を構想する。ローマのカピトリーノ美術館にある古代彫刻⦅弓を射るクピド⦆から大きな羽、弓を試すモチーフを採用する。また、パリ、パレ・ロワイアルのオルレアン公のコレクションの、イタリア人画家パルミジアーノ(1503-1540)作の絵からも想を得ている。その姿は優雅だが、渦巻く動きは実際のモデルより誇張され、長い螺旋が振り向く少年の体を生き生きさせている。丸い台とカーヴを描くように置かれたオブジェ(縄、矢筒の紐、ライオンの尾)がこの効果を高めている。ヴェルサイユ宮殿の「ヘラクレスの間」の中央に設置されるように構想された為、この彫刻作品は、その周囲を一巡する鑑賞へと誘う。

革新的な作品、人夫姿のクピド

目に瞳を入れていない顔は規則的で古典的な美しさがある。だが、彫刻家は理想的な姿を神に与えるどころか、少年の体の真実を追求している。この年代では、体つきはまだ未熟で、部分的に他より早く成長しているところも見られる。ブーシャルドンはこの身体の不規則さをそのまま留めている。この作はこの時代には革新的過ぎた。クピドが手仕事に専心という発想はよかったものの、1739年には、突飛過ぎるとの批判をヴォルテールから受け、またディドロを怒らせてしまう。1750年にヴェルサイユ宮殿に置かれたが、王や宮廷からは、クピドの人夫姿は陳腐だとされ、気にいられなかった。数人の愛好家やアーティスト、そして、ルイ15世の愛妾、ポンパドゥール夫人にだけは賞賛された。夫人からは、ベルヴュー城の「愛の森」向け模刻作品の注文を受けた。(模作は制作されなかったようである。)クピド像は1752年にショワジー・ル・ロワ城のオランジュリーに寄贈された。こういう事情にもかかわらず、作品は一躍有名になった。デッサンや絵画に登場し、その一例は、1758年のフランソワ゠ウベール・ドルーエのアカデミー入会作品《ブーシャルドンの肖像》である。彫像は1768年からセーヴルの素焼き磁器で複製されるが、トリアノン宮の「愛の神殿」用の模作をルイ゠フィリップ・ムシーに作らせる為、1778年にルーヴル美術館の古典部門室に移された。1783年には、対を成す作品がオーギュスト・パジューに注文され、題は《捨てられたプシュケ》となった。(ルーヴル美術館、MR SUP 62)

出典

- L'Art et la pensée française, catalogue d'exposition, Vienne, Belvédère, 1956, n 116.

- BOBER Phyllis, RUBINSTEIN Ruth, Renaissance Artists and Antique Sculpture. A handbook of sources, Londres, 1986, n 50.

- BRESC-BAUTIER Geneviève, Sculpture française XVIIIe siècle, Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, coll. "Notices d'histoire de l'art", 1980, n 10.

- DIDEROT Denis, "Sur Bouchardon et la sculpture", in Correspondance littéraire, livraison des 1er et 15 mars 1763.

- KRAUSE Katharina, "Ein ungleiches Paar. Amor von Edme Bouchardon und Psyché von Augustin Pajou", Städel Jahrbuch (Annuaire Städel), Neue Folge (nouv. série), n 14, Munich, 1993, pp. 289-302.

- ROSEROT Alphonse, "La statue de l'Amour d'Edme Bouchardon (1739-1750)", in GBA, 1906, pp. 308-324.

- SALMON Xavier (sous la dir. de), Madame de Pompadour et les arts, catalogue d'exposition, Versailles, Munich, Londres, Paris, 2002.

- SCHERF Guilhem, "Madame de Pompadour et la sculpture", in Dossier de l'Art, février 2002, pp. 60-73.

作品データ

  • エドム・ブーシャルドン(ショモン・アン・バシニー、1698年-パリ、1762年)

    《ヘラクレスの棍棒で弓を作るクピド》

    1750年

  • 大理石

    高さ1.73m、幅0.75m、奥行き0.75m

  • 1752年にショワジー・ル・ロワ城のオランジュリー、1778年にルーヴル美術館古代部門室、王政復古期の1824年にルーヴル美術館が完全取得

    M.R. 1761

  • 彫刻

    リシュリュー翼
    1階
    ブーシャルドン
    展示室23

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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