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《ホメロスの神格化》

© 2006 RMN / Thierry Le Mage

絵画
フランス絵画

執筆:
De Vergnette François

多数の人物像が描かれたこの作品は、ルーヴルにあった「シャルル10世美術館」(今日のエジプト美術展示室)の天井を装飾するためにアングルに依頼され、1855年に取り外されている。ラファエロの《パルナッソス(アテナイの学堂)》から強い影響を受けているこの絵画には、「天井」画にふさわしい仰視法構図といったものは何ら見られず、神格化されたホメロスが古代の偉人や近代の芸術家から賛辞を受けているところが描かれている。ホメロスの足元には『イリアス』と『オデュッセイア』の擬人像が描かれている。

古典美術の神とその信奉者たち

詩人ホメロスは、その名が刻まれた破風(はふ)の神殿の前に、神のごとく座しており、その頭上に勝利の女神が月桂樹の冠を授けている。ホメロスの足元には二人の女性が座り、詩人の代表的な叙事詩を擬人化している。こうして、剣を携えた女性が『イリアス』、櫂を持つ女性が『オデュッセイア』を象徴している。神格化された詩人は、総勢46人の古代の偉人や近代の芸術家たちから敬意を捧げられているところである。古代の人物は、ホメロスから最も近い場所に全身像で描かれているが、その中で、左側に羊皮紙の巻物を持った悲劇詩人アイスキュロス、絵筆とパレットを持った画家アペレスが見分けられる。右側には、竪琴を持った詩人ピンダロスと木槌を持つ彫刻家フェイディアスが描かれている。近代の芸術家としては、ダンテとラファエッロの2人だけがこの一群の中に加えられている。その他の近代の芸術家たちは、より低い場所に半身像で描かれており、ラシーヌ、ボワロー、モリエール、コルネイユ、ラ・フォンテーヌといった作家や、画家ニコラ・プッサンといった、とりわけルイ14世時代の古典主義芸術家である。

ルーヴル宮殿の天井画

この作品は、ルーヴル宮殿のシャルル10世美術館の第一室の天井を装飾するために、王室から1826年にアングルに依頼された注文が実を結んだものである。アングルはこの大作を1年で仕上げ、1827年のサロンに出品した。画家は、この絵で古典主義を高らかに宣言したかったのである。美術界における過去の革命家アングルは、若い頃の評判が非常に悪かったが、1824年にパリに戻って以来、ダヴィッドの後継者と見なされるようになり、ドラクロワに対抗して古典主義の伝統を守り抜こうとした。しかしながら、《ホメロスの神格化》は大した評価を得られず、次に制作された大作《聖サンフォリアンの殉教》(オータン、大聖堂)も、1834年のサロンで、とりわけ古典主義陣営からさらなる非難を浴びた。憤慨したアングルは、再びパリを離れてローマへ向かうことになる。

古典主義への意志

古典古代の芸術家たちを賛美するという主題と一致して、構図も大部分が古典的な形式に拠っている。この絵が天井を飾るために制作されたにもかかわらず、アングルは、バロック画家に好まれた仰視法を用いていない。構図は正面観で構成され、人物像は、ピラミッドの頂点に位置するホメロスの両側に左右対称に配置されている。アングルは、ヴァティカン宮殿の署名の間にあるラファエッロのフレスコ画《パルナッソス(アテナイの学堂)》に想を得ている。しかしながら、アングルが手本としたラファエッロの作品と比べると、アングル自身の作品には流麗さが欠けている。ここでアングルは、例えばプッサンの《自画像》(ルーヴル美術館)といった、偉人の著名な肖像画を並置しただけのように思われる。アングルは、そうした肖像画を写真に匹敵する正確さで模倣したのである。同時に、画面全体の遠近感は、アングルが過去に制作した最も斬新な作品(《グランド・オダリスク》、ルーヴル美術館)におけるように、否定されている。おそらくここには、この絵の装飾性にふさわしいように、壁を穿つような印象をあまり与えまいとするアングルの意志が存在するのであろう。立体感と色調が抑えられていることも、それに寄与していると言える。

出典

- ROSENBLUM Robert, Ingres, Cercle d'art, Paris, 1968, p. 130-133.

作品データ

  • ジャン=オーギュスト=ドミニック・アングル(モントーバン、1780年-パリ、1867年)

    《ホメロスの神格化》

    1827年制作、1826年注文

  • 油彩、カンヴァス

    縦3.86 m、横5.12 m

  • 別称《ホメロス礼賛》

    INV. 5417

  • 絵画

    ドゥノン翼
    2階
    ダリュ 新古典主義
    展示室75

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

左下に署名:I. INGRES PINGbat右下に年記:ANNO 1827