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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《ポンパドゥール侯爵夫人の全身像》

Portrait en pied de la marquise de Pompadour

Musée du Louvre, dist. RMN-Grand Palais - Photo M. Beck-Coppola

素描・版画
18世紀

執筆:
Chabod Christine

このパステルの肖像画は、18世紀の芸術、知性、政治の世界において主要な役割を演じた稀有な女性の一人を描いている。ルイ15世の寵妃、次いで親しい友人となったポンパドゥール侯爵夫人は、国王の趣味の指南番でもあろうとした。同時代で最も著名であり、最も才能に恵まれていたパステル画家モーリス=カンタン・ドラトゥールに依頼された肖像画は、画家と夫人の間の特別な感情と関係の進展に合わせて制作された、この野心的な傑作におけるポンパドゥール夫人の意図を明らかにしてくれる。

計画的な作品

ポンパドゥール侯爵夫人は、青緑の色調に塗られ、金色で引き立てられた木工細工で飾られた一室に腰かけている。侯爵夫人の豪華な衣裳―1750年頃流行したフランス風の絢爛なドレス―が、誇示する意図を示しているのに対し、夫人が宝石を身に付けておらず、髪型も簡素なことから肖像画の私的な性格が強調されている。夫人は、文学、音楽、天文学、版画を象徴する持物(じもつ)に囲まれ、芸術の庇護者として描かれている。テーブルの上には、素晴らしい静物として、グアリーニの『パストール・フィード』、『百科全書』、モンテスキューの『法の精神』、ヴォルテールの『アンリアード』、球体、ピエール=ジャン・マリエットの『石版彫刻に関する概論』や、ここでは「ポンパドゥール夫人彫る」とドラトゥールが署名したケイリュス伯爵の版画がとなり合って並んでおり、夫人が版画に関心を寄せ、実際に制作していたことをほのめかしている。美術と文学のこうした典拠は、夫人の計画と読まれるべきである。ルイ15世を変わらず愛していた夫人は、国王を変え、礼儀作法と原則に凝り固まった宮廷には届かない、当時パリを活気付けていた知性、道徳、哲学、政治の並外れた発展を国王に見出させようともくろんだ。国王はこの肖像画を見たはずだが、果たして侯爵夫人の選んだ著作がほのめかした意味を理解したのであろうか。国王と侯爵夫人の間のやり取りは分からないままであろうが、寵妃がほのめかしたかくもリベラルな計画を国王が受け入れなかったのは明らかである。

困難な制作

この肖像画の計画は1748年に遡り、1749年に注文があった。ドラトゥールは、この肖像画を制作するにあたり、フランスを支配する女性のために、その卓越した技法と心理分析の感覚を発揮するよう求められていることを理解していた。ドラトゥールとそのモデルは、この肖像画の注文時にはすでに知り合いであった。この二人は、1748年のサロンに出品されたルイ15世のパステルの肖像画(ルーヴル美術館、INV 2761)の準備の際に出逢っていた。しかし、このつながりにもかかわらず、ポンパドゥール夫人の肖像画の計画が完成するまでには、やはり一筋縄ではいかなかった。ドラトゥールは、気晴らしもあって、体のいい言い訳と自己欺瞞との間を揺れ動き、侯爵夫人の変わりやすい要望に応えようと四苦八苦した。ドラトゥールと、姉ポンパドゥール夫人の意向をとりなしたマリニー侯爵の間には、長い書簡のやり取りが続き、マリニー侯爵は、肖像画の制作を決心したように見えないドラトゥールを急かしたのである。ドラトゥールはこの肖像画を完成したが、それは1755年のサロンまでお目見えしなかった。

肖像画の転機

ドラトゥールは、ポンパドゥール侯爵夫人の役割と野心に見合うイメージを与えることによって、注文主の要望を満足させることができた。ドラトゥールは、パステル用クレヨンだけを用い、グワッシュでわずかに補うことによって、この公式の肖像画において、親密な雰囲気を表わすことができたのである。ここで侯爵夫人は、室内で意味深く親しんだ物に囲まれている。この作品とともに、決まりきった公式の肖像画の流行が終わり、ドラトゥールのおかげで、心理的な真実を表わすとともに意味も担った表現がその後に続くようになったのである。

出典

- GALLET Danielle, Madame de Pompadour ou le pouvoir féminin, Paris, Éditions Fayard, 1985.

- JONES Colin, SALMON Xavier (sous la dir. de), Madame de Pompadour et les arts, Versailles, Musée national des châteaux de Versailles et du Trianon, 14 février-19 mai 2002, Munich, Kunsthalle der Hypo-Kulturstiftung, 14 juin-15 septembre 2002, Londres, National Gallery, 16 octobre 2002- 12 janvier 2003, Paris, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 2002.

- MEJANES Jean-François, Maurice-Quentin Delatour. La Marquise de Pompadour, Paris, Éditions de la Réunion des musées nationaux, collection "Solo", n 19, 2002.

作品データ

  • モーリス=カンタン・ドラトゥール(サン=カンタン、1704年-サン=カンタン、1788年)

    《ポンパドゥール侯爵夫人の全身像》

    1748-1755年

  • 青い紙にパステル、グワッシュのハイライト、顔の部分を貼付

    縦1.77 m、横1.30 m

  • レスピナス・ダルレが中央美術館に提供を申し出るが美術館が拒否。1803年7月11日に競売。パイエが取得し、1804年にヴェルサイユのフランス派特別美術館に送付

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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