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《リュートを持つ道化師》

© 2005 RMN / Franck Raux

絵画
オランダ絵画

執筆:
Collange Adeline

ユトレヒトのカラヴァッジォ派画家としての輝かしい時期である1624‐1626年頃に制作されたと思われるこの作品には、演劇世界の暗示(古典風な衣装)と、おそらくは聴覚もしくは「この世の虚しさ」(音楽と快楽の儚(はかな)さ)の寓意が含まれている。不当ながら以前から有名となっている模写が、アムステルダム国立美術館に存在する。

役者あるいは道化師?

中間色の背景に半身で描かれた一人の若い男が、リュートを奏でている。ハルスは人物を描写するために、作品の額から人物が飛び出すかのような非常に狭い枠取りを用いている。こうして、頭と胴のねじれによって強調されたリュート奏者の躍動感が、さらに強調されている。この人物が誰であるのかは未だに不明である。単なる演奏中の音楽家だろうか?もしくは極度の快活さがそう思わせているように、道化役を演じている人物なのだろうか?それとも古典的で優雅な幻想的な衣装(16世のもの?)が示すような、演劇の登場人物だろうか?

風俗肖像画

リュート奏者の相貌は非常に生き生きと描かれている。茶目っ気のある鷹揚な微笑は、皮肉が交えられているのかもしれないが、顔全体を活気づけている。画面から発される生来の自然さは、間違いなく実際の男性モデルの習作を基にしていることを示しており、実際にこのモデルは画家の他の作品の中でも見受けられる。しかしながらこの作品は、ハルスの名を有名にした、いわゆる肖像画のジャンルではない。そもそも肖像画の注文は上流階級、貴族、ブルジョワ階級、知識階級に限られ、彼らはあまり動きのない慣習的なポーズで描かれるものである。農民、陽気な酒飲みやはしゃぐ娘といった「庶民」を描いた場面は、明らかに社会的認知を目的とするものでは全くなかった。風俗画と呼ばれるジャンルに属するそれらの作品は、感覚の快楽やそれらの危険性に対する道徳的思索の土台として頻繁に用いられている。すなわちこのリュート奏者は、聴覚の寓意、もしくは本質的に儚いものである音楽の虚しさに対する教訓を表しているのであろう。

カラヴァッジォ風の時期

半写実的、半寓意的なこの風俗画は、ユトレヒトのカラヴァッジョ派画家によって取り上げられた同様の主題に近いものである。起伏を浮かび上がらせる横からの強い光による人物の照らし方は、カラヴァッジォ派の特徴である。とは言え、このハールレムの巨匠がヘンドリック・テルブルッヘン(1588‐1629年)やヘリット・ファン・ホントホルスト(1590‐1656年)といった画家たちと交流があったという確証はどこにもない。おそらく、こうした作風の類似性は、おそらくヨーロッパ中に広まっていたこのタイプの絵画の流行によって説明できるだろう。しかし、きわめて強烈な絵画的処理によって、ハルスはやや紋切り型のこれらの描法から隔たっている。大色彩画家であるハルスは、金色の輝きをもつ黒と赤による彩りをより引き立たせている。このリュート奏者は、その活力によって、有名な《ジプシー女》(ルーヴル美術館蔵)で頂点に達する闊達な筆致を予告している。短い期間(1620‐1625年頃)ではあるが、このきわめて華々しいカラヴァッジォ風の時期は、19世紀にエドワール・マネの先駆者として見なされたハルスの驚異的な名声をもたらすこととなった。

出典

- GRIMM Claus, "Le Joueur de luth de Frans Hals au Louvre", in La Revue du Louvre, 1988, 5-6, pp. 399-408.

- SLIVE Seymour, Frans Hals, catalogue d'expositionMünchen, Prestel, 1989.

- FOUCART Jacques (dir.), Musée du Louvre. Nouvelles acquisitions du département des Peintures, 1983-1986, Éditions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1987, pp. 78-81.

作品データ

  • フランス・ハルス (アントウェルペン、1581/1585年頃−ハールレム、1666年)

    《リュートを持つ道化師》

    1624‐1626年頃

  • カンヴァス、油彩

    縦70 cm、横62 cm.

  • 1873年より、パリ、ギュスターヴ・ド・ロスチャイルド・コレクション蔵1984年、代物弁済に基づく取得

    R.F. 1984-32

  • 絵画

    リシュリュー翼
    3階
    オランダ 17世紀前半 ホントホルスト、フランス・ハルス
    展示室28

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

落款および銘(昔のもの。裏面):FH(組合せ頭文字)、F(ECIT) (M.H.D.) 、ETIENNE LEROY(インクで画布の上に記載)