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作品 《ルイ=フランソワ・ベルタン》

絵画部門 : フランス絵画

《ルイ=フランソワ・ベルタン》

© 2010 Musée du Louvre / Angèle Dequier

絵画
フランス絵画

執筆:
De Vergnette François

この絵は、『ジュルナル・デ・デバ』紙の創設者で、ルイ=フィリップを支持していたルイ=フランソワ・ベルタンの個性と社会的地位を如実に物語っている。アングルはここで、1830年代の勝ち誇ったブルジョワ階級の典型的な姿を描き出した。それは、巨匠アングルが描いた最も写実的な肖像画であり、新聞紙の経営者であるモデルが、髪を振り乱しながら議論している真っ最中の姿を捉えている。この絵は、椅子に映った窓の反射といった細部の克明な描写で、さらに見る者を驚かせてくれる。

新聞紙の経営者

暗めの色のスーツに身を包み、肘掛け椅子に座った、灰白髪でずんぐりとした体つきの、60歳ほどの年輩の男性が、観者の方を向いてじっと見つめている。そのエネルギーは、顔の表情と、膝に手を当てるというお馴染みのポーズに読み取ることができ、男は今にも飛び掛からんばかりである。この肖像画は、新聞記者、実業家で、『ジュルナル・デ・デバ』紙の経営者であるルイ=フランソワ・ベルタン(1766-1841年)の個性と社会的地位を見事に表わしている。立憲君主制の支持者であったベルタンは、帝政期に投獄され、シャルル10世の体制に抵抗した人物であった。この肖像画が制作された七月王政当時、彼の新聞は、ルイ=フィリップの政府を支持するリベラルなブルジョワ階級に読まれており、ルイ=フィリップ体制の確立に貢献し、その勝利を導いたのである。

「ブルジョワ階級の仏陀」

アングルは、この肖像画を、1824年から1834年に渡るパリ滞在中の1832年に制作している。1806年の革命児は、パリに戻ってきてから、ダヴィッドの後継者にして、ドラクロワとロマン派に対抗する伝統の擁護者と見なされるようになっていた。この時期のアングルは、とりわけ《ホメロス礼賛》(ルーヴル美術館)といった新古典主義を「宣言」する絵画を描き、肖像画の制作は数点に留まっている。アングルは、他の時期にははるかに多くの肖像画を描いている。この絵は、アングルの芸術の進展を示すために、画家が以前に描いた肖像画《ドゥヴォセ夫人》(1807年、シャンティイ、コンデ美術館)と共に1833年のサロンに出品されたのだが、モデルのそぶりが滑稽で下品であるとの非難を巻き起こした。後にベルタンの娘は、「父は偉大な君主の風格を備えていたのに、アングルは父を太った農夫にしてしまった」と書き残している。アングルの描いた最も有名な男性肖像画であるこの作品は、しばしばある社会階級を体現したものだと見なされた。例えば、エドゥワール・マネにとって、それは「満足気で、裕福で、勝ち誇ったブルジョワ階級の仏陀」だったのである。

写真に匹敵する真実

この作品は、アングルが描いた最も写実的な肖像画と言ってよいだろう。《カロリーヌ・リヴィエール》(ルーヴル美術館)といった、アングルのその他の肖像画とは逆に、この作品におけるモデルの態度は、古典絵画やラファエッロの肖像画などに想を得ているわけではない。画家は、ベルタンを、ある日彼の自宅で議論の真っ最中に観察したままの姿で描き出しているのである。アングルは、容貌上の欠点や乱れた髪といった細部を、緻密で正確な筆遣いで描写している。写実的表現は、ヤン・ファン・エイクの芸術を彷彿とさせる手法である、肘掛け椅子の腕木に映った窓の反射の部分にも認められる。《グランド・オダリスク》(ルーヴル美術館)における輪郭線の抽象化はもはや見られないものの、ここでも人体は、アングルにお馴染みのやり方で、画家の思うままに変えることのできるものである。また、ベルタンの腕や肘掛け椅子の背もたれに、画家の曲線に対する好みが現われている。最後に、アングルの作品にしばしば見られるように、絵画空間は圧縮されている。

出典

- ROSENBLUM Robert, Ingres, Paris, Cercle d'art, 1968, pp. 134-137.

- TOUSSAINT Hélène, Les Portraits d'Ingres, Éditions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1985, pp. 71-75.

- TERNOIS Daniel, Monsieur Bertin, Collection Solo, Éditions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1998.

CARRINGTON SHELTON Andrew, in Portraits by Ingres. Image of an epoch, catalogue d'exposition, New York, The Metropolitan Museum of Art, London, The National Gallery, 1999, pp. 300-307.

作品データ

  • ジャン=オーギュスト=ドミニック・アングル(モントーバン、1780年-パリ、1867年)

    《ルイ=フランソワ・ベルタン》

    1832年

  • 油彩、カンヴァス

    縦1.16 m、横0.95 m

  • 1897年、ベルタン氏の子孫より取得

    R.F. 1071

  • 絵画

    ドゥノン翼
    2階
    ダリュ 新古典主義
    展示室75

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

左上に署名および年記: J. INGRES PINXIT. / 1832.