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《レカミエ夫人》

© 2002 RMN / Gérard Blot

絵画
フランス絵画

執筆:
De Vergnette François

パリのとある銀行家夫人であるジュリエット・レカミエは、当時最も知られた婦人の一人であった。ポンペイ様式の家具に囲まれて「古代風」の衣裳に身を包んだ夫人を、飾り気のない背景の中に描いたこの肖像画は、1800年において前衛的な作品であった。未完成の状態であることから(その原因は不明なのだが)、震えるようなタッチと背景の「ぼかし」に半透明色で「上塗り」が施される前の、ダヴィッドの技法を調べることができる。

女性における理想的な気品

寝台の上に優雅に横たわったレカミエ夫人が、観者の方を振り向いている。腕と足が露になった古代風の白いドレスを身に纏っており、ソファー以外には足台と古代から想を得た大燭台しかない、がらんとした室内に描かれている。人物像全体はかなり遠くから捉えられており、彼女の顔は僅かな位置を占めているに過ぎない。すなわち、この作品は一人の人物を描写しているというよりはむしろ、女性における理想的な気品を描き出したものと言ってよいだろう。レカミエ夫人(1777-1849年)は当時23歳であったが、その美貌と彼女の主催するサロンゆえに既に最も賞賛されていた女性の一人であり、革命後の新しいエリート階級の社会的地位の向上を象徴する人物であった。公証人の娘であった彼女は、1793年に年上の銀行家レカミエ氏と結婚したが、氏は第一執政官ナポレオン・ボナパルトの財政を援助する主要な一人となる。建築家シャルル・ペルシエによって再建され、高級家具職人ジャコブによって家具が備え付けられたレカミエ家の邸宅では、女主人に夢中であったバンジャマン・コンスタンやシャトーブリアンといった数多くの作家たちが夫妻のもてなしを受けた。

ダヴィッドの気まぐれ

1800年にレカミエ夫人からダヴィッドに注文されたこの絵画は、よく分からない、そしておそらくは色々あった理由のために未完成の状態に留まっている。ダヴィッドが作品の出来に満足せずに手直しをしようとしたところ、仕上がりのあまりの遅さにレカミエ夫人はダヴィッドの弟子の一人に肖像画を依頼した。感情を害したダヴィッドは、モデルのレカミエ夫人に「女性は気まぐれなものだが、画家もそうである。私の気まぐれを満足させるためにも、貴女の肖像画は私が取っておきましょう」と言ったと伝えられている。作品は画家のアトリエで保管され、1826年にルーヴルに収蔵された後になって再発見されたのである。1864年、テオフィル・ゴーティエはこの女性像の「無名詩人の詩のような、いわく言いがたい魅惑」について言及している。

未完成の美学

きわめて革新的なこの作品は、本来は歴史画のために用いられ、肖像画にとっては奇異な横長の画布に描かれている。ダヴィッドは人物の周囲に空間を創り出し、女性の身体のアラベスク風の優雅な曲線を強調している。レカミエ夫人の古代風のポーズ、装飾品の排除や若い婦人の衣裳などが、新古典主義の理想美に呼応している。ジュリエット・レカミエの白いドレスがもたらす全体の明瞭な調和に、家具の暖かな色調が彩りを添えている。この作品ではモデルの頭部がほとんど完成されているだけで、ドレスの部分の滑らかな絵具には上塗りが施されていない状態である。同様に付属品、壁、床も震えるような薄塗りの状態のままであり、所々に白い下地が見えている。作品は未完成であるがゆえに、この肖像画を完成することによってダヴィッドが求めていたであろうものとはおよそ違った謎めいた詩的な様相を呈している。アンシャン・レジーム下で克明な肖像画を残した後、フランス革命以降のダヴィッドの作品には、この絵のように未完成の背景の上に描いた肖像画(《トリュデーヌ夫人》、ルーヴル美術館)がいくつか見受けられる。

出典

- SCHNAPPER Antoine, Jacques-Louis David 1748-1825, catalogue de l'exposition, Musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1989, p. 356-357.

作品データ

  • ジャック=ルイ・ダヴィッド(パリ、1748年-ブリュッセル、1825年)

    《レカミエ夫人》

    1800年

  • 油彩、カンヴァス

    縦1.74 m、横 2.44 m

  • 1826年、ダヴィッドのアトリエの競売にて取得

    INV. 3708

  • 絵画

    ドゥノン翼
    2階
    ダリュ 新古典主義
    展示室75

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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