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《レーネン近辺の風景》

© 1996 RMN / Jean-Gilles Berizzi

絵画
オランダ絵画

執筆:
Collange Adeline

イタリアの理想的な光で美化された、北方のアルカディアのようなこの風景は、知られているカイプ作品の中でも最も有名な絵画のひとつに数え挙げられる。画面から発散される魅惑的な詩情が好評を博し、カイプをオランダの真のクロード・ロランと鳴らしめた。奥に見えるのはユトレヒト大聖堂ではなく、レーネン教会の鐘楼である。

安らかな休息地

アールベルト・カイプは、肖像画、風景画、静物画そして動物画など、多くのジャンルで名を上げている。最も大型で、最も成功を収めた作品の一つである本作の中で、画家はその多岐にわたる才能を発揮している。一人の羊飼いが、牧犬をなでながら注意深く耳を傾ける少年と少女のために笛を吹いている。前景の明暗法が赤褐色や黄土色といった雌牛の暖色を引き立てている。大人しそうな家畜牛は自然主義的な力強さで描かれており、背骨は浮かび上がり、毛並みの下の筋肉は細かく震えている。カイプは一頭の赤毛の雌牛の放尿する様子までをもきわめてリアルに描いている。不安定な空の巨大な雲の下に広がる靄のかかった遠景には、2台の風車と川面に映るもの静かな都市の輪郭が姿を現している。目に留まる教会の鐘楼によって、それがレーネンの街であることが分かる。朧げな灰色の色調は、ヤン・ファン・ホイエンのものに非常に似通っている。

アルカディア風の風景

絵を斜めに区切る対角線を中心として、人物像と、風景を輝かせる金色の光との間に、ある種の壮大な均衡感が生まれている。すなわちそこでは曙もしくは黄昏の一瞬が捉えられており、人物の顔を満たす影からもそれを察することが出来る。一方でその瞬間は、わずかな憂いに染められている。この牧歌的な場面の穏やかな調和は、これらの人々を結びつけている目に見えない調べと同じくらい儚(はかな)いのである。こうして、一見いかにもありふれたこの風景の中には、多くの画家によってたびたび思い描かれたアルカディアが暗示されている。すなわちここでは北方のアルカディアが描かれているのだ。

「オランダのクロード」

カイプは一度もイタリアに赴いたことがないが、ヤン・ボトのようなイタリア芸術派の画家らから多大な影響を受けている。非常に計算された構図や前景に見られる金色の光などへの好みは、この流れから来ているものである。とは言え、クロード・ジュレ(通称ロラン)のものと対比される理想化された光が、画家の典型的な北方風場面を浸している。この独自の画風の綜合は、お世辞も含め、画家に18世紀の「オランダのクロード」の異名を与え、その魅力的な田園詩はマルセル・プルーストにもインスピレーションを与えている。

「カイプ、傾き始めた太陽は、澄み切った空に溶け
その空を一羽の灰色のモリバトが水のように濁らせている
黄金の湿りが雄牛の額あるいはカバノキに後光を射し
小さな丘の斜面には晴れた日の青い香がくすぶっている
はたまたがらんとしとした空によどむ輝きの沼であるか」
(『模作と雑録』、1919年より)

出典

- Le Siècle de Rembrandt : tableaux hollandais des collections publiques françaises, Editions de la réunion des musées nationaux, Paris, 1970, p. 48.

作品データ

  • アールベルト・カイプ(ドルトレヒト、1620‐1691年)

    《レーネン近辺の風景》

    1660-1665年頃

  • カンヴァス、油彩

    縦1.70m、横2.29m

  • 1783年ブリュッセルにて取得、ルイ16世コレクションへ収蔵

    Vaches au pâturage et berger jouant de la flûte

    INV. 1190

  • 絵画

    リシュリュー翼
    3階
    オランダ 17世紀中頃と後半 アルベルト・カイプ
    展示室34

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

署名:A. CUYP