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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《ロムルスとレムスに乳を与える雌狼のいる風景》

Amphorisque

© Musée du Louvre

素描・版画
16世紀

執筆:
Grollemund Hélène

素描家としてのアンニーバレの、ボローニャ時代の作風を知る上で重要なこの素描は、ボローニャのマニャーニ宮の大広間にある《ロムルスとレムス》のフレスコ画連作の最初の作品《雌狼に乳を与えられているロムルスとレムス》のための、ほぼ最終的な全体図案を示している。この素描は、画面に初めて風景が大きな場所を占めている点で、カラッチ三兄弟によって描かれた連作全体の中でも特に目を引く作品である。

置き去りにされた双子

図像表現はプルタルコスの語る物語に合致している。アムリウス王は、狩人に双子の兄弟を殺すよう命ずる。狩人は、二人を殺すに忍ばず、獰猛(どうもう)な雌狼のもとに置き去りにするが、雌狼は二人を救って育てる。フレスコ画の中では、右に見える狩人は地平線に浮かぶ人影に過ぎないが、雌狼はより堂々とした姿で際立って見える。フレスコ画をよく見てみると、絵が乾いた後の修正や加筆が認められるが、とりわけそれが顕著なのは、当初は素描通りに転写されていた狩人が、塗り消されて地平線まで押しやられている部分である。こうして前景が開放されているのである。

下絵となる素描群

カラッチ三兄弟によって1590年から1591年に描かれたこの装飾画のための素描で残っているものは数少ない。伝記作者マルヴァジア(1616-1693年)によれば、三人はこう宣言している。「この作品はカラッチ家によるものだ。すべて、我々が描いた。」実際には、三人の筆致の違いがはっきりとそこに認められるが、今日カラッチ兄弟のものとされている全体図の素描では、必ずしもその差異は明確ではない。ルーヴル所蔵のアンニーバレの素描、ウィンザー城にあるアゴスティーノの《アクロンに勝利するロムルス》、そしてベルリンにあるルドヴィーコの《アムリウス王の死》にもう一つ加えねばならない素描は、グワッシュでハイライトの施されたチャッツワースの素描《ローマ人とサビニ人の戦い》であるが、そのフレスコ画はどちらかといえばアゴスティーノによって描かれたものであろう。アムリウス王の前に連れて行かれるレムスを描いたフレスコ画の全体図の素描は、ルーヴルに所蔵され、チーロ・フェッリの作とされていたが、最終的にはアゴスティーノによるものとしなければならない。部分習作も同様に知られている。例えば、ウィンザー城の素描の裏面に黒チョークで描かれた《アトランテス(男像柱)》――これはアンニーバレとアゴスティーノのどちらの作かで意見が分かれる――、ルーヴルにあるアゴスティーノの《座ったアトランテスの習作》、同じくルーヴル蔵のアンニーバレによる《二人のアトランテス》、そして、アルベルティーナ美術館(ウィーン)蔵の、アンニーバレのサンギーヌによる《仮面の細部》などである。

ローマ時代の作品群の端緒

この風景画は、1595年にローマへ出発する前のアンニーバレの作風の方向性を示すものである。すでにそこで、きわめて見事な形で表われているのは、まずその風景の表現法、すなわち、淡彩の筆遣いによりざっと形を与えられた後、前景にペンで力強いアクセントを施すことでそれがくっきりと表われ出るという作法であり、また、歩いている人物像から見て取れるように、アンニーバレは動きのある人間の身体を熟知していたということ、そして時代遅れのマニエリスムの慣習にとらわれない、その自由な作風である。このような作品は、ローマでの大様式の端緒を示すものであると同時に、ファルネーゼ宮の連作、すなわち、そこに息吹を与えている精神からしてすでに17世紀に属している作品群の、予兆を成してもいるのである。

出典

- MAHON Denis, Mostra dei Carracci : disegni, exp. Bologne, Edizione Alfa, 1956, notice 95.

- BACOU Roseline, Le XVIe siècle européen : Dessins du Louvre, exp. Paris, musée du Louvre, Editions de la Réunion des Musées Nationaux, 1965, notice 134.

- LOISEL Catherine, Le dessin à Bologne 1580-1620 : La réforme des trois Carraci, exp. Paris, musée du louvre, Editions de la Réunion des Musées Nationaux, 1994, notice 48.

- BENATI Daniele, The Drawings of Annibale Carracci, exp. Washington, National Gallery of Art, 1999-2000, notice 16.

- LOISEL Catherine, "Il disegno : uno strumento privilegiato per i Carracci", in Gli Affreschi dei Carracci : Studi e disegni preparatori, Bologne, Palazzo Magnani, 2000, p. 53-131.

- LOISEL Catherine, Musée du Louvre, Département des Arts graphiques, Inventaire général des dessins italiens. Ludovico, Agostino, Annibale Carracci, musée du Louvre, Editions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 2005.

作品データ

  • アンニーバレ・カラッチ(ボローニャ、1560年-ローマ、1609年)

    《ロムルスとレムスに乳を与える雌狼のいる風景》

    1590年頃

  • 白地の紙に、ペンおよび褐色インク、褐色の淡彩、黒インクによる加筆

    縦23.8 cm、横33.8 cm

  • 不詳の蒐集家(黒インクで王冠の下にCFCの印あり)、枢機卿パオロ・コッカパーニ(1650年没)、アルフォンソ・デステ3世コレクション(1594-1644年)、1796年のフランス大革命時に、モデナのエステ家コレクションを接収、1797年に中央美術館に収蔵

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

右下に黒チョークで、モデナでの素描に多く見られる書き込みあり:annibal