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作品 《ヴィルヌーヴ=レ=ザヴィニョンのピエタ》

絵画部門 : フランス絵画

《ヴィルヌーヴ=レ=ザヴィニョンのピエタ》

© 2007 Musée du Louvre / Angèle Dequier

絵画
フランス絵画

執筆:
Ponge Geneviève

このプロヴァンス派の傑作は、長い間作者不詳だったが、同じ場所にあるカルトジオ会修道院のために、1453-1454年頃に描かれた《聖母戴冠》(ヴィルヌーヴ=レ=ザヴィニョン美術館)の作者アンゲラン・カルトンの作とされた。福音書記者聖ヨハネ、マグダラのマリアと共に、ピエタの幻影を見ている参事会の寄贈者は、未だ特定されていない。

ピエタのテーマに関するきわめて独創的な解釈

膝の上に息子の遺骸を抱いた聖母の表現(敬虔の聖母、すなわちピエタ)は、15世紀ヨーロッパで絵画と同様に彫刻の分野でも最も広く普及したテーマの一つである。ここでは、この主題は「哀悼」のテーマに結び付けられている。中央では、苦悩によって老いが顔に刻み込まれた聖母が、手を合わせながらキリストの犠牲を甘受しているかのようである。そしておそらく聖母が、金地の周囲に刻まれている『預言者エレミヤの哀歌』(哀歌1章12節)から引用された言葉を告げているのであろう。息子の弓なりに曲がった身体は、細長いアラベスク風の曲線を描き、力なく垂れ下がった右腕は、同様に垂れた脚と響き合っている。キリストのお気に入りの使徒であった福音書記者聖ヨハネが、ほっそりとしたその指で救世主の頭から茨の冠をそっと抜き、香壺を手に髪を乱したマグダラのマリアは、涙をぬぐっている。画面の左端に聖人たちと同じ大きさで描かれている謎に包まれた寄贈者は、白いスルプリと左腕に掛けられた毛皮によって参事会員であることが分かるが、聖なるドラマには参加せず、全く内面的な幻影を見ている。

作品の受容

15世紀ヨーロッパ絵画におけるこの傑作の作者、制作年、元あった場所に関する情報を与えてくれる文献は、全く存在していない。この作品に最初に関心を抱いたのは、当時若き歴史建造物検査官であったプロスペール・メリメで、彼が1834年にヴィルヌーヴ=レ=ザヴィニョン小教区の教会の薄暗い礼拝堂の中で発見したのである。その後作品は、1904年にパリで開かれたフランス・プリミティフ派の展覧会で絶賛され、その翌年にルーヴル友の会が美術館に寄贈するために購入した。この時代の絵画の最良の専門家の一人であるシャルル・ステーリングは、この作品が1455年頃に制作されたと推定し、1959年にはアンゲラン・カルトン作であると主張した。この説は、今日大多数の専門家によって支持されている。

アンゲラン・カルトン、15世紀フランス絵画を代表する大画家

ピカルディー地方のラン司教区の出身であるアンゲラン・カルトンは、1444年から1466年までプロヴァンスで活躍していたことによってのみ、その存在が知られている。この画家の芸術的個性は、それぞれ1452年と1453年に画家と注文主の間で交わされた2通の契約書によって、作者であることが明らかな、見事な2点の絵画《慈悲の聖母》(シャンティイ、コンデ美術館)と《聖母戴冠》(ヴィルヌーヴ=レ=ザヴィニョン美術館)を基に定義された。これら2点の作品と比較した結果、その他の絵画パネルや彩色挿絵もアンゲラン・カルトン作とされたのである。アンゲラン・カルトンの構図に見られるモニュメンタルな構成、《ピエタ》でかくも印象的な線描の優雅なリズムは、おそらくゴシック様式の大聖堂や彩色挿絵画家のアトリエがあったフランス北部での修行時代からきていると思われる。おそらくアンゲラン・カルトンは、そこから遠くはない所で、ファン・エイク兄弟が体現したフランドルの新しい芸術を知り、その後プロヴァンス地方に来た時には、前世紀のシエナ派の絵画の作例だけでなく、より「現代的」なイタリア絵画を見たに違いない。こうした多岐に渡る影響から、現実の鋭い感覚と装飾的な意志が融合した、はっきりと個性的な作風が生まれたのである。

出典

- THIEBAUT Dominique, LORENTZ Philippe, MARTIN François René, Les Primitifs français, Découvertes et redécouvertes, Editions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 2004.

- LACLOTTE Michel, Thiebaut Dominique, L'Ecole d'Avignon, Paris, 1983.

- STERLING Charles, Enguerrand Quarton. Le peintre de la Pietà d'Avignon, Paris, 1983.

- STERLING Charles, Enguerrand Quarton in : Bulletin de la Société nationale des Antiquaires de France, séance du 1er juillet 1959, p. 213-223.

- BOUCHOT Henri, Les Primitifs français, Paris, 1904.

作品データ

  • アンゲラン・カルトン―1444年から1466年までプロヴァンスで知られる

    《ヴィルヌーヴ=レ=ザヴィニョンのピエタ》

    1455年頃

    ヴィルヌーヴ=レ=ザヴィニョン教会

  • 油彩、胡桃材の3枚の板

    縦1.63m、横2.18m

  • ヴィルヌーヴ=レ=ザヴィニョン製造所からの取得。1905年、ルーヴル友の会からの寄贈

    R.F. 1569

  • 絵画

    リシュリュー翼
    3階
    ヴィルヌーヴ=レ=ザヴィニョンのピエタ
    展示室4

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

「道行く人よ、心して目を留めよ、よく見よ。これほどの痛みがあったろうか。」「福音書記者ヨハネ」「聖母マリア」「マグダラのマリア」