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《ヴォルテール裸像》

© 2006 Musée du Louvre / Pierre Philibert

彫刻
17-18世紀のフランス

執筆:
Montalbetti Valérie

一作家が生存中に制作された初の肖像例である。このピガールの作品はスキャンダルを巻き起した。アーティストは老人の痩せ衰えた裸体を全く理想化することなく彫り刻んだ。ヴォルテールは制作の自由の名の下に身を任せる。しかし、顔の表情の美しさやダイナミックなポーズがこの老衰した姿を荘厳なものにしている。精神が体に打ち勝つのである。

一作家の彫像

ディドロやダランベール(『百科全書』の編纂者)も入会している文芸家協会は、1770年4月に、ヴォルテールの栄誉を讃えようと作家の大理石像を立てる事を決める。この費用捻出の為の寄付金公募が始まり、この原型に関するもめ事にも関わらず、プロイセン王フリードリヒ2世も間もなく参加した。一作家が、生存中に彫像として制作されるのは初めてのことである。それまでは王の特権であった。時の大彫刻家の一人、ジャン゠バティスト・ピガールが注文を受けた。ヴォルテールが隠遁していたフェルネー(スイス)を訪れ、哲学者の頭部の石膏像を持ち帰った。この像に関しては美しく、似ているとの評をもらっている。

解剖体の断面

ピガールの意図は、左肩から落ちて腰に巻き付く布を除いて、ヴォルテールの完全な裸体を彫刻する事だった。近代では前例を見ないこの案は、スキャンダルを巻き起し多くの嘲弄を招いた(スウェーデン王グスタフ3世はマントの為の寄付を提案した)。嘲笑を恐れたヴォルテールは彫刻家に思い留まらせようとしたが、結局創造の自由の名の下に彼の計画を認めた。
古代回帰支持者にとって、裸体は栄光の先例を表すものであった。ギリシアでは、英雄が裸で表されるのが常で、人間の体の美しさに勝るものは無かった。だが、老人にはそれは不適切である。特にピガールは、モデルの理想化を探求するどころか、痩せぎすの体、よれよれの皮膚、飛び出た筋等、外見の衰えを全て表した。多分ディドロから、当時《瀕死のセネカ》(ルーヴル美術館)と見られていたローマにあった裸の老人の彫像から想を得るよう助言されたに違いない。長老の表現は自然主義過ぎた為、嫌悪感を触発し全員一致の拒絶となった。10年後はウードンも危険を避け、永遠性のあるドレープで覆われた《ヴォルテール座像》(コメディー・フランセーズ)を提出し、今度は全般の承認を得た。

精神の勝利

今日ピガールの作品は傑作と評価されている。大理石の彫りは名人技で、構成は落ち着いている。背中には美しく広いドレープの流れが見られる。よれよれの皮膚の体は見事な解剖学的知識を物語る。ポーズはダイナミックで、左に傾き、一方の脚に寄りかかり、右足は爪先立ちで、ヴォルテールは今まさに立ち上がりそうである。ほとんど恍惚とした顔の表情は、この彫像に荘厳さを与えている。頭を天の方に向け、遠くを見る視線は知性に輝き、希望を見せる微笑が顔を明るくしている。ここには一般的な表現に共通する辛辣さは無い。
彫像は、壊れやすい体に対して精神の勝利を宣言しているようである。この作品はヴォルテールにより曾甥に遺贈され、後者がフランス学士院へ1807年に寄贈した。1962年にルーヴルに寄託され、交換に、マザランの霊廟が学士院の丸屋根の下に戻った。

出典

- COLTON Judith, « Pigalle’s Voltaire : realist manifesto or tribute all’antica ? », Transactions of the fifth international congress on the Enlightenment, IV, Oxford, 1980, pp. 1680-1687.

- GABORIT Jean-René, Jean-Baptiste Pigalle. Sculptures du musée du Louvre, cat. exp. musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, Paris,1985, pp. 70-74.

- HONOUR Hugh, Le Néo-classicisme, trad. de l’anglais par Pierre-Emmanuel Dauzat,  Librairie générale française, Paris,1998, pp. 142-145 (éd. anglaise, 1968).

- REAU Louis, J.-B. Pigalle, avec une préface de Francis Salet,  P. Tisné, Paris, 1950, pp. 60-67.

- ROCHEBLAVE Samuel-Élie, Jean-Baptiste Pigalle,  E. Lévy, Paris, 1919, pp. 277-288.    

作品データ

  • ジャン=バティスト・ピガール、パリ1714年—パリ1785年

    《ヴォルテール裸像》

    1776年

  • 大理石

    高さ1.50m、幅0.89m、奥行き0.77m

  • 1962—1962年フランス学士院寄託

    Ent. 1962. 1

  • 彫刻

    リシュリュー翼
    1階
    ピガル
    展示室24

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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