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作品 《剣を持って座る二人の男 : 聖パウロと聖ユリアヌス(?)》

素描・版画部門 : 14-15世紀

Deux hommes assis, tenant chacun une épée: saint Paul et saint Julien (?)

素描・版画
14-15世紀

執筆:
Boyer Sarah

かつてジェンティーレ・ベッリーニの作とされたこのデッサンは、向かい合って壇上に腰掛け、それぞれ剣のように見える持物(じもつ)を手にした二人の男性像を表わしている。この素描が神秘的であるのは、その図像表現からだけでなく、とりわけその作者の特定をめぐって論争がつきないことにもよる。というのも、この作は代わるがわる、ベッリーニ、スピネッロ・アレティーノ、ニッコロ・ディ・ピエトロ・ジェリーニ、そして多くの場合はマーゾ・ディ・バンコ、ジォットの作とされてきたからだ。いずれにせよ、その描画技術は、14世紀半ば頃の、きわめて古い作品であることを物語っている。

神秘的な図像表現

頭に光輪を戴いていないものの、この二人の座った男性は聖人であるようだ。左の聖パウロは剣を抜いて上に向けており、右の聖ユリアヌスは、鞘に収めた剣を左手で下に向けて持ち、右人差し指でその紐をいじっている。聖パウロの輪郭が下塗りの上にそのまま描かれ、消えてゆきそうなのに対し、聖ユリアヌスの輪郭はところどころ尖筆で刻み込まれてはっきり見えており、白のハイライトがそこではより強調されている。腰掛けた姿の聖パウロ像は《最後の審判》あるいは《聖トマス・アクィナスの称揚》などに見られるが、二人目の人物の存在は、たとえば聖母を取り巻く二人の聖人像のためといったような、異なる用途を示唆している。

マーゾ・ディ・バンコの作か?

14世紀の素描で、この作品ほどにジォットの作風、芸術、作法を思い起こさせるものはない。しかし、中にはその弟子の一人マーゾ・ディ・バンコの作とする論者もいる。というのも、この画家の作であることが確実ないくつかの作品において、類似のタイプ、たとえば輪郭の描き方、服のひだの抑制された彫塑性、頭部、眼、手の独特な表現、空間内で引き伸ばされた身体とその配置といった点が見られるからである。フィレンツェのサント・スピリート祭壇画の聖ユリアヌス、またはニューヨーク(メトロポリタン美術館)所蔵の《パドヴァの聖アントニウス》などがそうした例だ。ジォットとの関連が深いことからも、制作年は、マーゾがまだその師ジォットとナポリのカステルヌオーヴォ城で制作していた1329-32年頃であると推測される。

それともジォットの作か?

この作品の原作者が誰であるかということから、多くの問いが生じた。まず、聖パウロが禿頭でなく、聖ユリアヌスが使徒の衣を身につけていることから、そうした人物特定をするには矛盾がある。それゆえ、二人の人物は、今日では失われたパドヴァのパラッツォ・デッラ・ラジオーネの装飾に関連する、単に寓意を表わした人物像ではないか、と考えられる。これをジォットの作とする説は、パドヴァのスクロヴェーニ礼拝堂のいくつかの人物像(1303-1305年)との明らかな類似に基づいている。さらに、地塗りした紙に金属の尖筆で描き、白のハイライトを施す素描の技法は、チェンニーニによれば、ジォットその人が編み出したものである。最後に、師匠と弟子との間に作風上の違いが見える。というのも、弟子のマーゾはおもに、はっきりとした輪郭線と、ほとんど平塗りに見えるほど単純化されたモデリングを用いるのであるが、この素描では輪郭はほとんど強調されておらず、きわめて簡潔でありながら、自然な優美さを備えている。尖筆は、ゆっくりとしたリズムではあるが連続した動きで、身体を描き出している。この上なく繊細な描法、白い光と、陰の部分の強調は、人物像を、力強く、それでいて優しく浮かび上がらせるためであるかのように、巧みに組み合わされている。荘重さと繊細さ、均整と自由さ、優雅さと抑制、人間らしさと信念、これらの要素がすべて、今日この素描をジォットの作、特にスクロヴェーニ礼拝堂で制作していたパドヴァ時代のジォットの作であると考えさせるのである。

出典

- d'ARCAIS F. F., Giotto, Paris, 1996.

- BEAN Jacob, BOUCHOT-SAUPIQUE Jacqueline, Dessins de la collection de Filippo Baldinucci (1625-1696), cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions des musées nationaux, 1958, p. 15, n 2.

- BELLOSI L., "Su alcuni disegni italiani a la fine del due e la metà del quattrocento", in Bolletino d'Arte, 1985, n 30, pp. 1-15, 41.

- CASTELFRANCHI VEGAS Liana, L'arte medievale in Italia e nell'Occidente europeo, Milan, Jaca Book, 1993, pp. 94-96.

- DEGENHART Bernhard et SCHMITT Annegrit, Corpus der italienischen Zeichnungen 1300-1450, Berlin, 1968, vol. I, pp.66-68, vol. 3, cat. 24, pl. 49.

- RAGIONIERI G., Giotto. Bilancio critico di sessant'anni di studi e richerche, cat. exp. Florence, Galleria dell'Academia, 2000, pp. 133-134, n 11, pl. XI.

作品データ

  • マーゾ・ディ・バンコ (1320年に記載あり- 1350年に記載あり)

    《剣を持って座る二人の男 : 聖パウロと聖ユリアヌス(?)》

    1303-05年頃、あるいは1329-32年頃

  • 地塗りした紙に金属尖筆、白のハイライト

    縦20.9cm、横18.7cm

  • フィリッポ・バルディヌッチ・コレクション(第1巻、45葉)、フランチェスコ・サヴェリオ・バルディヌッチ(フィリッポの子息)・コレクション、パンドルフォ・パンドルフィーニ・コレクション、カミッロ・パンドルフィーニ・コレクション、ロベルト・パンドルフィーニ・コレクション、アンジォーロ・パンドルフィーニ・コレクション、アンナ・エレオノーラ・パンドルフィーニ(フィリッポ・ストロッツィの妻)・コレクション、エレオノーラ・テレーザ・パンドルフィーニ・コレクション、1806年に画家フランソワ=グザヴィエ・ファーブルの調査報告に基づき、フィリッポ・ストロッツィの仲介により購入

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

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