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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《四つの少女の頭部と二つの手》

Quatre têtes de fillettes et deux mains

Musée du Louvre, dist. RMN-Grand Palais - Photo M. Beck-Coppola

素描・版画
16世紀

執筆:
Grollemund Hélène

15世紀終わりのブリュージュにおける傑出した存在であったヘラルト・ダヴィットは、15世紀に発達した伝統的画法を継け承ぐ芸術家である。とは言うものの、ダヴィットはこの習作の中で、顔の観察における感受性の高さと、名人芸を求めることのない誠実さを示している。様々な特徴が、その素描を16世紀の肖像画に近いものにしている。

瞬間を捉える

ここでは作者が、子供らしさ、その表情の変化を表現することに楽しみを見出しているのがわかる。画家は少女を、様々な角度から捉えているからである。きわめて精緻に金属尖筆を用いたヤン・ファン・エイクやロヒール・ファン・デル・ウェイデンら先人たちとは逆に、ヘラルト・ダヴィットはこの技法を非常に自由に用いる。流れるような描線、素早いハッチング、幾度も重ねられた輪郭線は、微妙な移調を作り出している。この小さな素描から発される細かな震えが、作者がこの作品を仕上げた素早さを表わしている。作者はおそらく、この素描を描くのにディルク・ボウツのアトリエの画家らの手法の影響を受けたと思われる。少女の頭部の脇には二つの手が粗描されているが、これらはヘラルト・ダヴィットが形の構造を観察して学ぶことを好んでいたことを示している。というのも、手の骨はきわめて薄い皮膚一枚で覆われているだけであるのに対し、その節々は誇張気味に大きく描かれているからである。

散逸したクロッキー帳

この習作は、今日では確実にヘラルト・ダヴィットの作品であると認められているが、以前は順に、まずホルバイン(子)、次いでロヒール・ファン・デル・ウェイデン、そして15世紀のフランス派の作とされてきた。この素描は、様々なコレクション(クラクフ、チャルトリスキ美術館、フランクフルト、シュテーデル美術研究所、パリ、ルーヴル美術館、ロットシールド・コレクション、inv. 170DR、また二枚のデッサンが所在不明)に所蔵されていた五つの素描連作の一枚であるとされているが、すべて、元は1889年にウィーンで散逸してしまったクリンコッシュ・コレクションに属していたものである。これらのデッサンは元々は一冊のクロッキー帳に含まれていたものに違いない。皆同じような大きさで、下塗りした紙の上に金属尖筆で描かれており、紙は湿気で下の部分が傷んでいると同時に、すべてインクにより番号が記されている(この作には33が付されている)。すべて、モデルを写生した頭部と手の習作であり、様々なポーズと表情は、ダヴィットが絵画作品を描くための役に立っていたのである。

制作年に関する最近の説

これらの素描が既知の作品のための準備習作ではないとしても、そのうちのいくつかは、ヘラルト・ダヴィットの絵画作品、例えば《カナの婚礼》(ルーヴル美術館)、《処女(おとめ)らの間の聖母》(ルーアン美術館)、三連祭壇画《キリストの洗礼》(ブリュージュ、グルーニング美術館)等に関連付けられている。最近ではこれらの素描は、ヘラルト・ダヴィット、あるいは不詳のブリュージュの細密画家の作とされる祈禱書(ニューヨーク、モーガン図書館)に含まれる細密画《処女らの間の聖母》とも比較考証がなされている。これらの関連性から、この《四つの少女の頭部》は1500年から1505年の作であると推定することができる。

出典

- AINSWORTH Marian W., Gerard David : Purity of Vision in an Age of Transition, New York, 1998, pp. 7-17.

- AINSWORTH Marian W., Illuminating the Renaissance : The Triumph of Flemish manuscript Painting in Europe, cat. exp. Los Angeles, The J. Paul Getty museum, 2003, n 106.

- CALVET Arlette, Dessins du Louvre : écoles allemande, flamande, hollandaise, Paris, 1968, n 35.

- DUCLOS Lise, Le XVIe siècle européen : Dessins du Louvre, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1965, n 65.

- LUGT Frits, Inventaire général des dessins des Ecoles du Nord : Maîtres des anciens Pays-Bas nés avant 1550, Paris, 1968, n 57.

- VAN MIEGROET Hans J., Gerard David, Anvers, 1989, n 75C.

- WINKLER Friedrich, "Das Skizzenbuch Gerard Davids", in Pantheon, 1929, Heft, pp. 271-275, n 6.

作品データ

  • ヘラルト・ダヴィット(アウデワーテル、1455-1460年頃-ブリュージュ、1523年)

    《四つの少女の頭部と二つの手》

    1500-1505年頃

  • 白色に下塗りした紙に黒チョークによる下絵、その上に金属尖筆(おそらく銀)

    縦9 cm、横9.7 cm

  • 1874年までフィリップ・ドレクスラー・フォン・カリン・コレクション、ヨーゼフ・カール・フォン・クリンコッシュ・コレクション、1889年4月にウィーンでその競売(468番)。プラハのA.フォン・ランナ・コレクション、1910年5月6-11日にシュトゥットガルトでその競売(199番)、ルーヴル美術館により取得

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

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水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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