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《壊れた甕》

© 2007 Musée du Louvre / Angèle Dequier

絵画
フランス絵画

執筆:
Perny Michèle

この絵の題は、よく知られた人気のある諺とおそらく関連付けられるが、この絵はまた、ラ・フォンテーヌの寓話の中に登場するペレットの災難をも連想させる・・・これはおそらくグルーズの最も有名な絵で、いささか曖昧な主題は、実のところ、当時大衆に大変な人気のあったテーマである、失われた純潔の寓意に過ぎない。

失われた純潔

無邪気な目を大きく見開き、紫色のリボンと花を頭に挿した、子供っぽい無垢な少女が佇み、ドレスの中で散った花を両手で押さえている。ひび割れた甕が、少女の左腕に掛けられている。フィシュ(三角形の婦人用スカーフ)は乱れて、少女のふくよかな喉下が垣間見え、ドレスの身ごろに付けられた一輪のバラの花弁はむしられ、白サテンの美しいドレスはやや無造作に身に付けられている。
少々悔しそうな雰囲気を見せているにもかかわらず、モデルは、穢れのない無邪気さと挑発との間で揺れ動いている。グルーズは、おそらく画家自身の妻とも考えられているこの見事な人物像の、肌の透明感や滑らかさ、それに偽りの純情も見抜いて、巧みに表現している。背景には古代風の噴水が認められる。

デュ・バリー伯爵夫人による注文

この絵画は、最初に新古典主義を普及させるのに重要な役割を果たした、デュ・バリー伯爵夫人が蒐集していた作品の質の高さを示す好例である。おそらく作品は、ルイ15世の寵妃であった夫人からの正式な注文、あるいは少なくとも夫人が直接購入したものと思われる。この絵は、ルイ15世が逝去した年である1774年までヴェルサイユに所蔵され、夫人が所有していた5点の作品のうち、1777年の夫人のコレクションの競売の後、唯一残ったグルーズの作品である。1794年のルーヴシエンヌ城の目録の中に、その前年に斬首刑に処せられた伯爵夫人の財産として、この絵が記録されており、その後作品は国のコレクションに収蔵されることになる。
この肖像画の中で、グルーズは風俗画における新たな手法を試みている。こうして絵画に表わされているものは、ほのめかされた物語の導線に過ぎず、結局のところ見る者自身が作品を再構成しなければならないのだ。表わされた主題がどちらともつかなかったので、それにはある種の曖昧さがなかったわけではなく、それ故グルーズはしばしば非難された。グルーズが自らの作品を大量に版画に刷らせたため、このテーマは大変広く普及したのである。

一種の気取り?

心の琴線に触れるこの肖像画が裏付けているように、グルーズは、青春期を描き出す優れた肖像画家であり、当時の観衆の目を苛立たせたに違いない一種の気取りを越えて、申し分ない才能を示している。当時の文脈の中にこの作品を改めて位置づけてみると、グルーズの芸術における道徳的な意図の重要性と、古典主義美学と断絶した、この新しい美学によってもたらされた真の革命が、画家の要請として響き合った時に、作品はさらに別の次元を獲得するのだ。グルーズは観者の感情に触れ、それを引き起こそうとしたのである。
主題を日常生活から意図的に選び取り、絵画作品を複製と版画によって広範囲に普及させることによって、グルーズはその時代に名声を博し、芸術文化の一種の民主化に携わったと言える。確かに、元の作品の姿を歪めた幾つかの凡庸な複製や模作は、この画家の悪いイメージを生み出すことになってしまったが、それにもかかわらずグルーズは、18世紀美術を代表する最も才能豊かな画家であり続けているのである。

作品データ

  • ジャン=バティスト・グルーズ(トゥルニュ、1725年-パリ、1805年)

    《壊れた甕》

    1772年または1773年?

    デュ・バリー夫人による注文

  • 油彩、カンヴァス

    楕円形:縦1.08m、横0.86m

  • ルーヴシエンヌのデュ・バリー伯爵夫人コレクションのフランス革命時接収品

    INV. 5036

  • 絵画

    シュリー翼
    3階
    グルーズ
    展示室51

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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