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作品 《大きな帽子をかぶった若い娘「私のアガル」の肖像》

素描・版画部門 : 19世紀

Portrait de jeune fille au grand chapeau 'Mon Agar'

RMN-Grand Palais - Photo T. Le Mage

素描・版画
19世紀

執筆:
Chabod Christine

コローの手になる肖像画の数は、50枚程度を越えないが、人物像自体は、コローの生涯を通して素描や画帖に登場している。その大半は、1845年以前に描かれたもので、全てルネサンスの肖像画の厳格さや巧みな構図を思い起こさせる。こうしたルネサンスとの親近性は、1956年にルーヴル美術館がレオナルド・ダ・ヴィンチに敬意を捧げた際にも強調された。その際、コローの《真珠の女》(RF 2040)は、ルーヴル美術館のグランド・ギャラリーに、《モナ・リザ》とラファエッロの素描の間に掛けられたのである。

成就しなかった恋?

このルネサンスのモデルのように表わされた若い娘の肖像画は、画家の母コロー夫人の服飾関係のアトリエで働いていた若き婦人帽子屋アレクシナ・ルグーを描いたものと思われる。コローは、最初のイタリア旅行(1825-1828年)以前にルグーを知っており、後になって彼女を描いたと考えられる。ルーヴル美術館所蔵で、1840年頃の作とされる油彩によるルグーの肖像画(R.F. 1638)と、この素描がきわめて似通っているため、この素描肖像画の特定は一層容易になる。コローがその伝記作者エティエンヌ・モロー=ネラトンに「それは僕のアガルだ」と打ち明けたと言う話は、素描の裏面への書き込み「アガル/1830年頃」とも合致する。もっとも、この書き込みがコローの手になるかどうかについては疑義をはさむ研究者もいる。この打ち明け話は、コローが1835年のサロンに出品した絵画(ニューヨーク、メトロポリタン美術館)で描き出した、アガルの悲壮な物語を特に説明することなく思い起こさせる。こうした全ての要素から、モロー=ネラトンは、コローと若いルグーの間に望みのない恋愛関係があったと想像している。残念なことに、このロマンティックで心を揺さぶる清純な恋の仮定を裏付ける情報は何もない。見捨てられた孤独な状態の象徴であるアガルの主題が選ばれているにもかかわらず、この素描は謎のままである。

巨匠たちを踏襲して

この肖像画の全く古典的なたたずまいから、コローは、ここで15世紀の素描肖像画家の伝統に倣おうとしたように思われる。この素描では、人物像が完全に紙葉を占め、紙の灰色と鉛筆の灰色の色調とのかすかな違いが巧みに生かされている。ここでは、陰影と描線に等しく価値が与えられ、多かれ少なかれ目の詰まった平行するハッチングだけで、鋭く問いかけるような眼差しや、口元に漂うメランコリー、衣裳と帽子の折れ曲がった襞が表わされている。ルネサンスの肖像画のように、モデルは、斜め前向きで、なで肩をしており、胸、腰、首はわずかに描かれるだけで、ヴォリュームを定め、細部に配慮して簡潔な輪郭線でくっきりと描き出すことが優先されている。こうした全てによって、この人物像はドイツ・ルネサンスの肖像画の系譜に位置づけられ、その作風の簡素さと厳密さから、ホルバイン(父)のいくつかの素描を思い起こさせる。

出典

- MOREAU-NELATON Etienne, Corot raconté par lui-même, Paris, 1924.

- SERULLAZ Arlette, De Corot aux Impressionnistes, donations Moreau-Nélaton, cat. exp. Paris, Galeries nationales du Grand Palais, avril-juillet 1991, notice 189.

- SERULLAZ Arlette, Corot : le génie du trait : estampes et dessins. L'oeuvre gravé et dessiné de Corot, cat. exp. Paris, Bibliothèque nationale de France, février-mai 1996, notice 127.

- ROBAUT Alfred, L'oeuvre de Corot : catalogue raisonné et illustré, Paris, 1905.

- VIATTE Françoise, "Un dessin de Corot : Mon Agar", in Rendez-vous en France, 1988, n 2, pp. 2-3.

作品データ

  • カミーユ・コロー(パリ、1796年-パリ、1875年)

    《大きな帽子をかぶった若い娘「私のアガル」の肖像》

    1830年頃

  • 灰色の紙に鉛筆

    縦18,40 cm、横15,20 cm

  • アルフレッド・ロボー・コレクション、アドルフ・モロー・コレクション、エティエンヌ・モロー=ネラトン・コレクション、1906年にルーヴル美術館に寄贈

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

裏面に鉛筆で、コローが(?)、線を引いて消した書き込み:Agar / vers 1830(アガル/1830年頃)