Go to content Go to navigation Go to search Change language

ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《天使の頭部》

Tête d'ange

素描・版画
18世紀

執筆:
Grollemund Hélène

ゴヤに関する著名な2人の伝記作家、画家にして考古学者のヴァレンティン・カルデレーラ(1796-1880年)と美術史家ポール・ラフォンは、それぞれ一時期この素描を所有していた。この素描は、当時25歳のゴヤが制作した最初の重要な装飾連作、すなわちサラゴーサのピラール聖堂の小内陣の穹窿(きゅうりゅう)の装飾(1772年)に関連している。この荘重なサンギーヌの素描からは、いかに若き日の天才素描家がアカデミックな範型を変貌させたかがうかがえる。

偉大な才能の曙

この大きな作品は、ゴヤの初期の素描として知られているものの一つである。この素描は、サラゴーサのピラール聖堂の小内陣天井の左端に位置する、天使の頭部の準備習作に当たる。1771年10月21日にピラールの教会財産管理委員会がゴヤにフレスコ画を注文した。フレスコ画のテーマは、この内陣で歌われる祈祷典礼を公に称揚するものとして、「神の名の栄光あるいはそれを讃える天使の礼拝」と定められた。ゴヤは、1771年11月11日に、いくつかの下絵とともにフレスコ画の試し描きを提出している。ゴヤが複数の準備習作を制作したかどうかは不明だが、最も重要なバルセロナ(個人蔵)の彩色下絵を見ると、ゴヤが直接その下絵に手直しを加えていたことがうかがえ、修正の跡が見える場合もある。ゴヤは、1772年1月27日に最終的な下絵を提出し、6月1日にフレスコ画を完成した。このフレスコ画は、ゴヤの作品の中で最初に資料で裏付けが取れ、年代が確定できる作品であり、18世紀後半のフレスコ装飾の伝統に則って、ゴヤは他の注文も受けるようになる(1774年のサラゴーサ近郊のアウラ・デイのカルトジオ会教会のためのフレスコ連作や、とりわけ1780年から1781年にかけてのサラゴーサのピラール聖堂の丸天井と穹隅[きゅうぐう]の装飾)。

天使―古典的なテーマ

黒チョークに白のハイライトがほどこされ、ゴヤ作とされる別の《天使の頭部》(マドリード、国立図書館)、および《雲の中の天使》のためのサンギーヌによる2枚の素描(マドリード、プラド美術館とカルデレーラ・コレクション)だけが、この時期のゴヤの素描として知られている。この3枚の素描が、同様にモデルが配置されている彩色下絵か最終作のフレスコ画の準備習作であるかどうかは不明だが、おそらく2つの作品の制作のために用いられたものと思われる。3枚の素描とも、彩色下絵やフレスコ画のより自由奔放な描き方とは明らかに異なっており、きわめて念入りに輪郭が描かれ、線描の硬さが際立っている。

イタリアから帰国後の素描

単なる準備習作というよりカルトン(下絵)に似ている、こうした大きなサンギーヌによる素描は、ゴヤのイタリア滞在(1770-1771年)後に知られている最初の素描である。このイタリア滞在は、スペインでの初期作品のためのいくつかの素描を含む『イタリア素描帳』(マドリード、プラド美術館)によって裏付けられている。しかしながら、ゴヤのスペインでの初期作品は、古代の作品(《ファルネーゼのヘラクレス》、ベルヴェデーレのトルソ)や、とりわけ同時代のローマ美術(ベネフィアル、ジャクゥイント、バトーニ、シュブレイラス、ユベール・ロベール)を参照した『イタリア素描帳』と同じような描き方をしているわけではない。また、スペインでの初期作品は、紙に作品の下絵をざっと描き、それから油彩による下絵を制作して細部を手直しし、最後に絵画を描くという、ゴヤの青年時代の一般的な制作方法といわれるものにも一致していない。きわめて完成度が高いこうした人物像は、逆にメングスの素描や、とりわけラモン・バエウやフランシスコ・バエウの素描に代表される、当時のアカデミックな伝統に従うものである。

出典

- BOUBLI LIzzie, Inventaire général des dessins : Ecole espagnole XVIe-XVIIIe siècle, Paris, RMN, 1984, n 187.

- SERULLAZ Arlette, Acquisitions du Cabinet des Dessins 1973-1983, cat. exp. Paris, musée du Louvre, 1984, n 156.

作品データ

  • フランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス(フエンテ・デ・トードス、1746年-ボルドー、1828年)

    《天使の頭部》

    1772年以前

  • 褐色の紙にサンギーヌ、わずかに白のハイライト

    縦46.6 cm、横34.8 cm

  • ハヴィエル・ゴヤ・イ・バエウ(ゴヤの子息)のコレクション。ヴァレンティン・カルデレーラ・コレクション(1796-1880年)。J.-P. ポール・ラフォン・コレクション。ラフォン・コレクション。1978年に取得

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

チケットを購入する

作品の補足情報

サンギーヌで左下に署名:Franc de Goya