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《天然水晶製の飾り壺》

工芸品
ルネサンス

執筆:
Muriel Barbier


1681年から1684年の間にルイ14世コレクションへ収蔵されたこの取っ手付きの大型飾り壺は、16世紀にミラノで制作されたものである。一枚岩の天然水晶からできており、そこに施された彫刻は、巻葉装飾や花輪飾りによる装飾をともなった他の壺の作品群と似通っている。彫刻の装飾より後の時代のものである金の縁飾りは、同様にミラノ製であり、非常にきらびやかな作りである。

一枚岩の天然水晶製飾り壺

この飾り壺は、その大きさ、水晶の質の高さ、彫刻の装飾の美しさで、比類のないものである。胴部は、わずかに平らになった球形をしている。その形状、および、塊の石から切り出されているところから、制作年代は比較的古い時代と考えられる。首および台座は、短く、彫りが入っていないままである。肩の部分、および胴の下の方には、浮彫りの丸ひだ模様があしらってある。肩の上には、同じく浮彫りの二つの怪人面が配され、その面が、琺瑯引きの金の輪で取付けられた二つの注ぎ口を支える格好になっている。この形状は、ウィーンの美術史美術館に保管されている天然水晶製の飾り鉢を連想させる。大きな丸ひだ装飾、および塊から切り出された石細工により、この飾り壺は、巻葉模様と花輪飾りにより装飾された一群の飾り壺作品の中に位置づけることができよう。

彫刻の装飾

壺の中央部分は、ノアの生涯のいくつかの場面を、木々で区切って彫り込んだフリーズによって飾られている。一方では、ノアとその二人の息子が、若いブドウの木の下で忙しく立ち働いており、同時に、果物籠を持った一人の女が彼らに軽食を運んできている。もう一方では、農業と牧畜とが対比されている。ブドウの木が、情景の全体を覆っている。酔ったノアは、祝宴のテーブルのそばでまどろんでいる。セムとヤペテはノアをマントで覆い隠し、ハムは自分の羊の群れと共に遠ざかってゆくところである。この絵柄は、ウィーンの美術史美術館に保管されている天然水晶製の飾り壺のそれ、すなわち、エティエンヌ・ドローヌに基づく《バッコスの勝利》のフリーズによる装飾と比較することができる。もっとも、双方のフリーズの作風は同一ではない。

縁飾り部分

縁飾りは、黒の琺瑯を施した金の四つの輪から成っている。壺の口部分の金輪は、濃い緑と青の半透明琺瑯のモチーフによって華やかに飾られており、元は蓋を支えるためのものであったが、蓋は消失してしまっている。台座部分の金輪には、宝石(今日では消失)を嵌め込むための8つの場所で区切られた、黒の琺瑯による渦巻装飾が施してある。取っ手は、壺に蓋を付けてその形に変更を加えた際に取付けられたものであり、二つの注ぎ口は16世紀後半に取付けられた。三本の釘でおおざっぱに留められた取っ手は、翼をもち、互いに背中合わせになった二匹のセイレーンからなっており、それぞれ冠(かぶ)り物をかぶり、豊かに飾り付けた首輪と帯とを身に着けている。また、両方とも、ライオンの鼻面をかたどった渦巻装飾を戴いている。これらの渦巻装飾は、中央の結び目部分で、上に金輪を付けた4人のハルピュイア(女面鷲身の女神)の胸像によってつなぎ合わされている。不透明な白と青の琺瑯が全体において支配的であるものの、いくつかの部分には半透明の赤、緑、あるいは濃い青の琺瑯が施されており、またかつてはルビーとダイヤモンドがそこにちりばめられていたが、今日ではその大部分が失われてしまっている。

出典

Alcouffe Daniel, Les Gemmes de la Couronne, Editions de la Réunion des musées nationaux, 2001, p. 253-255.

作品データ

  • 《天然水晶製の飾り壺》

    16世紀の半ばおよび後半

    王室コレクション

    イタリア、ミラノ

  • 天然水晶、ルビー56個、ダイヤモンド1個、琺瑯引きの金

    高さ(取っ手なし)22.4 cm、 高さ(取っ手を含む)42 cm、 直径25 cm、厚み(平均)0.4 cm

  • -ノアの酩酊-

    MR 285

  • 工芸品

    ドゥノン翼
    2階
    アポロンのギャラリー
    展示室66

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

台座の裏に番号の彫込みあり : 178 (1791年時点での目録番号)