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作品 《女奴隷のいるオダリスク》

素描・版画部門 : 19世紀

L'Odalisque à l'esclave

素描・版画
19世紀

執筆:
Prat Louis-Antoine

この素描は、アングルが1839年に描いた有名な絵画《女奴隷のいるオダリスク》を後から模写したものである。1842年作の同主題ではあるが背景に風景が描かれた別の油彩も、この素描以前に制作されている。この主題は、《グランド・オダリスク》にすでに見られ、ルーヴル美術館所蔵の有名な《トルコ風呂》で絶頂に達する、オリエンタリスム(東方趣味)の傾向に対するアングルの関心を表わしている。

異国趣味と細部への嗜好

ここでアングルは、けだるそうに後宮に横たわり、女召使の奏でる音楽にうっとりと聞き入っているオダリスクを描き出している。悦に入った様子で身をさらした若い女性は、アングルにはよく見られるけだるげなポーズの一つを取っており、まるで横たわったまま踊っているかのような、妙なるやり方で身体をくねらせている。ここでは、王冠、扇子、水煙管といった細部が、ハイパーレアリスムを思わせるような正確さで描かれている。閉じられた空間は、2人の若い女性の間に曖昧な関係をうみ出し、中景に位置する黒人の宦官の存在が、一層閉じ込められた印象を増す。

後期の模写

ここでアングルは、しばしばそうしていたように、以前に絵画作品を模写した素描を制作している。アングルは、ローマのヴィッラ・メディチでフランス・アカデミーの館長を務めていた1839年に、友人シャルル・マルコット、通称マルコット・ダルジャントゥイユ(1773-1864年)の注文に応じて、今日ケンブリッジのフォッグ美術館(マサチューセッツ)に所蔵されている絵画《女奴隷のいるオダリスク》を描いた。1842年以降、アングルは、突き当たりにオリエンタル風の壁龕(へきがん)が見える庭園に向かって背景が開かれている異作(バルティモア、ウォルターズ・アート・ギャラリー)を描いている。女性のモデルは、はるか以前の1814年にイタリアで描かれ、今日失われた絵画《ナポリの眠る女》のポーズを取っている。

勝ち誇ったオリエンタリスム

芸術家のオリエント旅行の発展や旅行記の影響、異国趣味といったものが、19世紀を通して発展したヨーロッパ絵画のこうした傾向を主につくり上げたのである。もっとも、例えばドラクロワとは逆に、アングルがオリエントを旅行したことはなかった。こうしてアングルは、版画に想を得て、あたう限りの異国情緒が漂う背景を描き、ペルシアの細密画にも霊感を得たのである。アングルがオリエンタルな雰囲気を醸し出したのは、色彩というより官能的なアラベスク風の線描によってであった。一時アングルは、この作品に《憩うサルタンの女》という標題を付けようとも考えたのである。

出典

- PRAT Louis-Antoine, Ingres, Paris, Milan, 5 Continents éditions, 2004, n 48.

作品データ

  • ジャン・オーギュスト・ドミニック・アングル(モントーバン、1780年-パリ、1867年)

    《女奴隷のいるオダリスク》

    1858年

  • 貼り付けられた透写紙に鉛筆、ペン、褐色インク、褐色の淡彩、白のハイライト

    縦34.5cm、横47.5cm

  • 1918年にロジェ・ガリションの遺贈

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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作品の補足情報

鉛筆で左下に書き込み:J. Ingres / 1858