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ホーム>作品と宮殿>コレクションと学芸部門>《女性の膝で安らぐ男》

Homme reposant sur les genoux d'une femme

RMN-Grand Palais - Photo M. Urtado

素描・版画
18世紀

執筆:
Chabod Christine

制作の質の高さと構図のバランスが見事なこの素描は、美しい身振りとしなやかな裸体による新しい感性の到来を高らかに告げている。ここでは、三色のチョークを用いたかくも自由な技法によって、皮膚の輝きが表わされている。当時きわめて重要であった男女のテーマからは、あらゆる神話の文脈が排除され、新しい親密な情感をもって描かれた。こうした作品が、18世紀の「雅」の考え方の基本である。

古代の英雄

2人の人物が互いに寄り添い、抱き合って座っている。男性は後ろ向きで、右側に向かって半ば横たわっている。この男性は腰まで裸であり、大きなドレープが腰を覆っている。男性は、若い女性の膝にもたれかかり、右腕で女性の腰を抱き締めている。女性は、正面を向いて座っている。この女性は、くつろいだ様子で頭を右腕にもたせかけ、若い男性の肩に左手を優しくかけている。ます目が引かれたこの作品は、ローマの創始者であるトロイの英雄アイネイアスの遍歴を辿った叙事詩、ウェルギリウスの『アエネイス』(紀元前70-19年)の一節を描いている。クマエの巫女デイフォベによってエリュシオンの野に導かれたアイネイアスは、父アンキセスと再会する。アンキセスは、ギリシア神話において冥界を流れ、その水は過去を忘れさせるというレテ川の辺にアイネイアスを連れて行く。アンキセスは、アイネイアスにその子孫となるべきローマの王子たちを示す(『アエネイス』、第6巻)。

コワペルの芸術の頂点―パレ=ロワイヤルの造営装飾

この素描は、絵画《冥界に降りる アイネイアス》の前景を占める男女のための習作である。この絵画は、パレ=ロワイヤルの新しい回廊の壁を飾っており、長い間消失したものと思われていたが、ルーヴル美術館で見つかった。この長い間の「消失」にもかかわらず、絵画の構図は、1740年のルイ・シュリュニュの版画とフランクフルト(シュテーデル美術研究所と市立ギャラリー)に所蔵されている全体習作の素描のおかげで知られていた。アントワーヌ・コワペルの庇護者であり友人でもあった若きフィリップ・ドルレアン公爵(1674-1723年)は、1701年にパレ=ロワイヤルの回廊の装飾をコワペルに依頼する。穹窿(きゅうりゅう)の装飾は1705年に完成し、壁のパネルは1714年から1718年にかけて完成した。この大規模な一連の装飾は、「アイネイアスの物語」を辿る14枚の絵画を含んでいた。しかし、1781年にルイ=フィリップ・ドルレアン(1747-1793年)によって回廊が破壊され、次いでフランス革命が勃発してこれらの絵画は不幸にも散り散りになってしまったのである。ルーヴル美術館は、コワペルの《冥界に降りる アイネイアス》のための他の4枚の習作と、すべて三色のチョークで描かれた、その他の失われた装飾のための100枚ほどの下絵を所蔵している。

転換期の様式

回廊の装飾事業は、コワペルの画業の絶頂を示している。この装飾は、ピエトロ・ダ・コルトーナの天井が天空に吹き抜けるような効果やアンニーバレ・カラッチの作風に想を得た、ローマ・バロックに対するコワペルの関心と同時に、フランスの偉大な装飾家シャルル・ル・ブランへの関心も表わしている。このようにコワペルが17世紀の巨匠に多くを負っているにもかかわらず、こうした素描は、人物の洗練された、にこやかで繊細な性格を表わす、新しい芸術的感性の到来を高らかに告げている。アントワーヌ・コワペルは、カラッチやアルバーニ、コレッジオといったイタリアの手本にインスピレーションを得、ヴェネチア派の芸術家やルーベンスから玉虫色に輝く色彩を取り入れた画家の世代に属している。

出典

- Roseline BACOU, Dessins et aquarelles des grands maîtres. Le XVIIIe siècle français, Paris, Éditions Princesse, 1976, p. 61.

- Roseline BACOU, Dessins français du XVIIIe siècle : de Watteau à Lemoine, LXXXIXe exposition du cabinet des Dessins, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux ,1987, notice 54.

- Choix de dessins français et de miniatures du XVIIIe siècle, VIIe exposition du cabinet des Dessins, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1954, notice 8.

- Nicole GARNIER-PELLE, Antoine Coypel 1661-1722, Paris, Arthena, 1989.

- Françoise MARDRUS, Le Palais Royal, cat. exp. Paris, musée Carnavalet, 1988, pp. 79-84.

- Geneviève MONNIER, Dessins français du XVIIIe siècle : amis et contemporains de Mariette, XXXVIIIe exposition du cabinet des Dessins, cat. exp. Paris, musée du Louvre, Éditions de la Réunion des musées nationaux, 1967, notice 5.

作品データ

  • アントワーヌ・コワペル(パリ、1661年-パリ、1722年)

    《女性の膝で安らぐ男》

    1716-1717年

  • 黒チョーク、白のハイライト、サンギーヌ、ます目、ベージュ色の紙

    縦28.5 cm、横43. 5 cm

  • 旧国王美術品蒐集室

  • 素描・版画

    保存上の理由により、当部門の作品は常設展示室では展示されていません。

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
地下鉄:1番線または7番線、Palais-Royal Musée du Louvre 駅
 
開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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