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作品 《室内の情景》、もしくは《部屋履き》(19世紀に付された慣例的題名)

絵画部門 : オランダ絵画

《室内の情景》、もしくは《部屋履き》(19世紀に付された慣例的題名)

© 2008 Musée du Louvre / Georges Poncet

絵画
オランダ絵画

執筆:
Kazerouni Guillaume

1839‐1842年と1877‐1883年にかけて、作品にはピーテル・デ・ホーホの落款と1658年という制作年が記載されており、実際それらは正しいと思われる。ホーホとフェルメールの活動初期と同時代の作品ではあるが(かつては彼らの作品とみなされたこともあった)、フェルメールの行った研究とはおよそ関係がない。奥に掛かったテルボルフに由来する絵画のように、色恋沙汰に興じてこの家を留守にしている女性のむなしい暇つぶしが暗示されており、巧みな道徳的教訓と、観る者を惹きつける遠近法の効果、詩的な絵の静謐がそこにはある。

遠近法と詩情

作品は、その主題の欠如、あるいは少なくともオランダの平穏な室内に生気を与えるための人物が存在しないことによって観る者の意表をつく。ホーホストラーテンの関心は、空間の厳密な組み立てに集中しており、各々が互いに組み合わされたモチーフを正面から重ね合わせることで、奥行きがもたらされている。例えば、作品の額縁、2枚の扉の枠縁だけでなく、奥の壁に掛けられた2枚の絵画である。遠近法の錯覚は、さまざまなタイル張りの床の斜線と同時に、暖かな光と影の対照的な繰り返しによって巧みに強調されている。作品は窓と扉が別の時代へと開かれただまし絵となっているようである。線と色彩によってリズム感が与えられた魅力的な詩情が作品全体から醸し出され、同時代のピーテル・デ・ホーホの研究を彷彿とさせている。

道徳を説く象徴表現

絵には確かに空間的な錯覚の力が存在してはいるが、そこに純粋な形式上の演出のみを見ないよう注意せねばならない。単純で素朴な主題の外見の裏には、道徳的教訓が隠されているからだ。ホーホストラーテンは、物をこの物静かなブルジョワ的室内に無造作に配置したわけではない。ほとんどの物は当時、明白な象徴的暗示を含んでいたのである。絵の中央にはっきりと見える部屋履きは、廊下に急いで脱ぎ捨てられており、この小さな室内履きの放置はふしだらな生活を象徴している。家の主婦は、貞淑に果たすべきその家事をほったからかしにしている。菷は無造作に壁に立て掛けられ、意味ありげに閉じられた本でわかるように、恋人との約束に赴くため、読書も中断されたままである。作品中のもう一つの絵画、カスパル・ネッチェルの《父の叱責》(1655年、ゴータ市美術館蔵)は、ヘラルト・テルボルフの作品の異作であり、金銭ずくの愛を批判している。ドゥミ・モンド(色恋に熱中する女性たちの世界)の儚(はかな)さは、時間を浪費するだけの反道徳的行為の象徴である、消えたロウソクによって体現されている。こうして、部屋の連なりのの閨房に隠されて我々には見えないが、巧みにほのめかされたこの秘め事の告発の中に、ホーホストラーテンの才能が見事に示されている。

歴史的な移り変わり

フェルメールやデ・ホーホといった有名画家の影が、様々かつ意外な展開を招いたこの作品の歴史に痕跡を留めている。制作者の特定に関しては、様々な説が代わる代わる登場し、遂には18世紀または19世初頭の摸作だとする説までが飛び出した。19世紀には、幾人かの収集家は作品に新しいモチーフを描き込ませるまでに至り、小犬、ピーテル・デ・ホーホの落款と1658年という制作年、さらには座った少女が加えられた。この絵があまりにもがらんとしているため、この「背景」を何かで埋め、フェルメールやデ・ホーホの作品に近づけたかったのであろう。幸いなことに、これらの加筆は容易に取り除くことができ、本来のホーホストラーテン固有の純潔さが作品に取り戻されたのである。

出典

Le Siècle de Rembrandt : tableaux hollandais des collections publiques françaises, catalogue d'exposition, musée du Petit Palais, Editions de la Réunion des musées nationaux, Paris, 1970, p.110-111.

- FOUCART Jacques, "Les pantoufles par Samuel van Hoogstraten", Le tableau du mois n 29, du 4 septembre au 30 septembre 1996.

作品データ

  • サミュエル・ファン・ホーホストラーテン

    《室内の情景》、もしくは《部屋履き》(19世紀に付された慣例的題名)

    1654‐1662年の間

  • カンヴァス、油彩

    縦1.03m、横0.70m

  • 1930年パリ、オスカール・ド・レピーヌ伯爵の娘、ルイ・ド・クロイ大公妃オルタンス(1867-1932年)による寄贈。

    R.F. 3722

  • 絵画

来館情報

ルーヴル美術館 パリ フランス
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開館時間
月・木・土・日:9時-18時
水・金:9時-21時45分(夜間開館)

休館日:毎週火曜日、1月1日、5月1日、12月25日
 
 

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